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妻との会話

「お姉ちゃん、フラ○スベッドの寝心地って、どんなもん?」

義弟から妻に電話がかかってきた。
新しいベッドを買おうと思い立った義弟が、その参考にうちのベッドのについて教えてほしいとのことだ。

後で妻が電話の内容を話してくれた。

「あの子な、今あるベッドが古なってきたし、この際、寝心地のいいベッドを買おうと思ったんやって」

「うん。そんで?」

「で、はじめはニ○リに行ったんやって。
 そこで色々と寝心地を試したら、7万円くらいのベッドで気に入ったのがあったんやって」

「ほなそれにしたらええやん。買うたん?」

「そのとき、私らが結婚したときにフラ○スベッドのベッドを買ったことを思い出したんやって。
 せっかくそこそこのお金を出してベッドを買うのなら、奮発してフラ○スベッドのでもええなぁ。とりあえず試しとこう。
って思って、フラ○スベッドの売り場だか展示会場だかまで行ったんやって」

「そうなんや。
 俺はニ○リのベッドで、上にエ○ウェーブとかええマットレス敷くとかした方が安上がりでええ寝心地のベッドになるような気もするで。交換も簡単やし」

「その辺は考え方も色々あると思うけど。
 で、フラ○スベッドの売り場って、お客さん一組に一人ずつ販売員がついてくれるやん?」

「確かそうやったかな。
 そういう人件費も含まれるくらいんやから、俺はやっぱりニ○リでええと思うけど…」

「話の腰折らんとって。
 で、あの子、予算が10万円くらいって販売員さんに伝えたんやって。
 ほんで、『こちらへどうぞ』って案内されたベッドの値段が、15万円…」

「いや、おかしいやん!
 予算オーバーしてるし!
 そもそも、10万円のベッドなんて置いてないってこと?」

「あの子もそう思ったらしいわ。
 で、『あのぉ…予算は10万円なんですけど?』って言うたんやって」

「すごいな。ようそんなん言えるわ!
 俺、自分の予算が最低ランクにも満たへんってわかったら、恥ずかしくて、適当にベッド見た後そーっと店出るで…」

「それは君の器がちっちゃいだけでしょ。
 話を戻すと、それを聞いた販売員さんは、
 『えっ…! あっ…! すみません!!
 私、20万円と聞き間違えておりました』
 って慌て出したんやって」

「ほら!
 販売員かて、まさか予算10万で来るなんてこっから先も考えてへんかったからこそ、そういう聞き間違いしたんやで。
 というか、それは聞き間違いというよりも、販売員の脳が取扱商品の相場に合わせて聴覚情報を『補正』したと考えるべきちゃうか?」

「そういう理屈は要らんの!
 ほんで、恐縮しきった販売員さんが、端末で何か調べ始めたんやって。
 それでもあかんかったんか、その販売員さん、現場のチーフみたいな人に相談に行ったんやって」

「ほら、やっぱり!
 10万円のベッドなんて探してもないから、困り果ててるやん。
 弟君、帰った後、絶対『予算10万』とかあだ名つけられてるで」

「それ、ネットの書き込みであったコンビニバイトのグチと一緒やん!
 ほんで、その販売員さんが戻ってきて、案内してくれたんやって」

「わかった!
 販売員に『こちらへどうぞ』って案内されて、
 言われるままに案内されて売り場を出て、
 建物を出て、隣の建物に入って、
 『こちらです』って言われたんが、
 
 ニ○リのベッド売り場やったんやろ!

なぜか「…もういい」と妻に言われ、この話はそれっきりとなってしましました。

…聞き上手への道はまだまだ遠いなぁ、ワシ。

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