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TOOLS FOR CULTURE

DIYが世界に広がるワケ

DIYには「行為」と「精神性」の2つの意味合いがあります。専門業者に頼まず、自分で作る行為を指す場合。そして「自ら作ること」を暮らしのベースする精神を指します。これらは「DIY精神」ともいい、世界中に広がっています。手間のかかるDIYが、なぜ世界中で支持されているのでしょうか。

一つ目の理由はコスト。自分で部材を買って組み立てれば、多くの場合は既製品を買うより安く抑えられるでしょう。最近では工具と場所を貸してくれるホームセンターが増えてきました。道具一式を揃えなくとも作れるので、より安価に作れるようになってきたといえます。

二つ目の理由はオリジナリティ。モノは溢れているのに、欲しいものはない(あっても高くて買えない)。そんな思いをしたことはありませんか。DIYなら、色、サイズ、素材等、自分にピッタリなものをつくることができます。

三つ目の理由は満足度。自分自身で作ることで、達成感を感じ、そのモノに対する愛着がより湧く。これはIKEA効果といい、2011年に論文として発表され、効果が実証されています。物質的な豊かさではなく、精神的豊かさを重視する現代において、DIY(精神)は時代にマッチする考え方といえます。

DIYの現在:「世界観」と「テクノロジー」

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引用:pinterest

街全体にDIY精神が根付くポートランド。街のアイコン的存在である「ACE HOTEL」は世界観の塊です。2006年にオープンしたこのホテルの出現から、「ただ作る」のではなく、「世界観を実現するために作る」に潮流が変化したように感じます。

同時期の2005年、テクノロジー系DIY工作専門雑誌『Make:』が米国で創刊され、DIYのデジタル化が始まりました。自宅の工作室をオンライン化し、個人が自身でデジタル技術を使って、オンラインで繋がった人とモノづくりをするように。 この潮流は「メイカームーブメント」と呼ばれています。

DIYの過去:戦後復興のスローガンが発祥

DIYはそもそも、どこでどのようにして生まれたのでしょうか。起源は第二次世界大戦後のロンドン。1945年の終戦とともに、破壊された街を自分達の手で復興させる国民運動が始まった際、スローガンとして「D.I.Y.」=「Do it yourself」が生まれたそうです。

この運動はイギリス中に広がり、1957年には雑誌『Do it yourself』が刊行され、ヨーロッパからアメリカへと広がっていきました。やがて、DIYは「復興」から「レジャー」へと変化し、現在へとつながっていきます。

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雑誌『Do it yourself』 参考:pinterest

DIYの未来:カルチャーとライフスタイルを繋ぐ手段

戦後復興のスローガンとして生まれ、レジャー化とともに世界中に広がったDIY。DIYのHOW(やり方)とWHY(動機)はこう変わるのではないでしょうか。

HOWの変化
クリス・アンダーソンはWIRED CONFERENCE 2012で、メイカーズムーブメントで3つの変化を指摘しました。

➊3Dプリンタやレーザーカッターのようなデジタル工作機械がデスクトップに置かれるようになり、専門知識を持たない人たちでもモノをデザインできるようになった。

➋デザインされたアイデアをオンラインのコミュニティで公開しながら、オープンイノベーションによって世界中の仲間と共創できるようになった

➌世界中にある製造ソーシング会社をネット経由で利用すれば、そこで生まれたアイデアをクリック一つで低価格・小ロット生産することができるようになった。

「1人の発想からアイデアが生まれ、共感した世界中の人とオンラインで図面を完成させ、クラウドファンディングで資金調達し、名古屋の小さな工房で生産し、オンラインコミュニティ内のファンに届ける」。テクノロジーによって、こんなことが当たり前になるかもしれません。

WHYの変化
DIYは復興のために生まれ、レジャー化、世界中に広がりました。モノで溢れ、意味がなくただ作ることの価値が薄れた現在、DIYはより個人的で、個人的に惚れ込む世界観をつくるためのものへと動機が変化するでしょう。

「既製品よりも安く、収納量のある靴箱をつくろう」から、「VANSのスニーカーに合う、スケーターカルチャーの世界観を体現した靴箱をつくろう」というように。

TOOLS FOR CULTURE

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写真:pinterest

それこそがTOOLS FOR CULTURE。カルチャーの道具をDIYするということ。例えば、DJブースはDIYの入る余地が大きい。90年代東海岸の世界観に惚れ込んだ人が作るDJブースは、当人にとってはたまらなく嬉しいのではないでしょうか。DIYとカルチャーはとても相性が良いように思えるのです。

INFO

オリジナルオーダー家具・インテリアのbob furniture
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