住まいとお金

住まいとお金。

結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。

ゼクシィのCMで流れたこの言葉は、多くの人の共感を得ました。結婚に対して、ちょっと否定的な声が大きくなっていた頃。事実婚や別居婚、同性婚。「伝統的な結婚観に縛られてたまるもんか」というムードが漂っていました。でも、よくよく考えてみると結婚しない幸せもあるけど、結婚もやっぱり幸せの形の一つだよねと。目線を合わせつつも、ストレートな強い意思を感じられる言葉だからこそ、多くの共感を得たのかもしれません。

家を買わなくても幸せになれるこの時代に、私は、家を買いたいのです。

SNSをのぞけば、「家なんていらない」という声が溢れます。最近では、特定の拠点を持たずに国内外のホテルや民泊で転々として暮らす「アドレスホッパー」というライフスタイルも広がりつつあります。一生賃貸で良いという声も多く聴かれます。

その一方で、大きなお金をかけて家を買う人もいる。その人たちは家に何を求めるのか。なぜ35年ローンを組んでまで、家を買うのか。

ある20代の単身男性は、賃貸で探しても理想の物件に出会えなかったから。しばらく結婚する予定もないし、資産形成も兼ねて。

ある30代の夫婦は妊娠を機に。子供が増えると手狭になるし、どうせ引っ越すなら家賃がもったいないから買おう。

ある50代の単身女性は引っ越そうと思ったら、「単身」と「年齢」が理由で貸してらうのに非常に苦労した。もっと歳をとったら借りられなくなるんじゃないかという老後の不安から。

理由は人それぞれ。
海外では、こんな考え方もあります。

「アイデンティティ」としての住まい

北欧は幸福度が高いことで有名。その中でもデンマークは世界幸福度ランキング常に上位に位置します。デンマーク人にとっての住まいとは。

「写真をライフワークにしているからこの空間が必要なんだ」
「このブランドの世界観に共感しているからこの椅子を選んだんだ」
「この椅子に、あえて逆のテイストの花瓶を合わせてみたんだ」

デンマーク人の住まいには「なんとなく」ではなく、自分だからこその理由がはっきりと、点在しています。

住まいは「アイデンティティ」。

共感できる人、日本にも増えてきているのではないでしょうか。物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさを求めるミレニアム世代(1981年から1996年の間に生まれた人々)の方は特に共感値が高いように思います。

ここからは、そんなアイデンティティとしての住まいを手に入れたい人のために、住まいとお金について。

住まいを語る上で避けて通れないのが「お金」。多くの人が住宅ローンを利用しますよね。まずは「自分が借りられる額」と、「無理なく返せる額」を知ることから初めてみましょう。

住まいにいくらお金をかけるべきか

借りられる額 = 年収の7-8倍
無理なく返せる額 = 年収の5-6倍

借りられるからといって、借りられる額いっぱいいっぱいまで借りてはいけません。住宅ローンを返すのに必死で、日常を愉しめない状況が待っています。理想の暮らしを実現する手段としての「住まい」です。

年収500万円なら、2,500-3,000万円の借入にしておくことで、比較的ゆとりのある資金計画を組むことができます。ただし、住宅ローンの他に借入がある場合は別です。

LIFE IS SHORT or LONG?

「人生は短い」
「人生100年時代」
「人生は長い」

人生を長いととらえるか、短いととらえるかは人それぞれですが、一つだけ言えることがあります。

人間の寿命は延びていて、企業の寿命は短くなっている。

ある調査では、企業の平均寿命は20年足らず。20歳で就職して、60歳まで働くとして40年。1つの会社、1つの職種、1つの業種で最後までいくということは現実的ではなくなっているのです。

そんな時代に、「無理ない予算で家を買う」ことを考えたときに、何が大切なのか。

それは出口を見据えて家を買うことです。いざとなったときに売ったり貸したりできる物件を見極めることが大切になります。

メルカリだと思って考えてみる

今では、本や服を買うと同時にメルカリに出品する人もいるようです。少し高めに出品しておいて、ある程度期間が経過したり、読み終わったりすると値下げして、本気で売りにいく。

目のつけどころがよければ、限界費用が限りなくゼロに近い状態でモノを使うことができます。

これを住まいにもいえることです。

資産価値が落ちにくい物件を選ぶ。
2000万円で買って、1000万円のリノベーションをする。
5年後、2800万円で売れた。

こんなことが市場では起きています。
すると、賃貸で暮らしたときよりも実質安く、住めてしまうのです。
それを元手に、新たなライフスタイルに見合う、資産価値の高い物件を選ぶ。

これを繰り返すことによって、住まいのコストをグッと抑えつつ、アイデンティティとしての住まいを持つことができ、ライフステージの変化に合わせてアップデートしていくことができます。

いつか「出品」することを考えたときに

資産価値が下がりにくい物件のキーワードは3つあります。

➊築20年以上の物件を買う
➋居住誘導区域内で買う
➌管理状態良好な物件を買う

キーワード築20年以上の物件を買う

新築の物件はおおよそ20年で建物価値はほぼゼロになり、残りは土地値がメインです。土地値は主に人口の増減によって変動するため、急に人口が倍になったり、半分になるようなことが起きない限り、乱高下はしません。

キーワード居住誘導区域内で買う

人口が減少していく中で人の住む場所が点々バラバラになると、電気水道などのインフラの維持が難しくなったり、高齢者が非常に多いのにも関わらず、車でないと病院にいけないなどの医療の問題が発生します。

それに備えて、「ここら辺に住んでね」という地域がつくられています。そこには、市役所などの行政機関をはじめ、病院や学校、スーパーなどの商業施設などが集められます。これを居住誘導区域といいます。

誘導区域内であれば、全体の人口が減る中でも、極地的には人口を維持することがしやすくなります。利便性が保たれ、地価は下落しにくくなります。その一方で、居住誘導区域外には今後建物が建てづらくなります。そのエリアは徐々に人口が減っていくため、資産価値が落ちやすくなります。

キーワード管理状態良好な物件を買う

築20年以上がオススメとはいえ、「何年住めるの」が気になるところでしょう。国土交通省の研究例によると鉄筋コンクリートの寿命は100年以上といわれています。建物を維持していくために必要なのが「管理」。

マンションの場合、「長期修繕計画」と「重要事項調査報告書」の二つの書類を見て判断します。何を見るかというと、こんなことです。

・修繕計画があるか
・計画通り施工されているか
・お金が十分に溜まっているか
・修繕積立金の月額が適正か
・修繕積立金の値上げ予定はないか

これらは、判断するのに少し知識が必要なため、然るべきプロに相談するのがオススメです。

まとめ

・無理ない額で買う
・ローン借入の目安は年収の5-6倍
・資産価値の下がりにくい物件を選ぶ
・築20年以上の居住誘導区域内の管理状態良好な物件がオススメ

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