リーマンショック当時の銀行界隈の決算分析②決算型の不況の場合、決算での底値のチェックが重要かもしれない
前回の記事に続き、今回はリーマンショックの時の振り返りをしてみたいと思います。
前回の記事では、2007年にはリーマンブラザーズの決算がそこまで右肩上がりになっているという話をしました。
これを踏まえた上で、2008年の決算を見てみましょう。
当時のデータはSEC(証券取引委員会)に残っていました。
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/806085/000110465908057829/a08-22764_2ex99d1.htm
当時のリーマンブラザーズの収益・EPSをまとめたのが以下になります。
このように、明らかに悪くなっているのはわかりますが、問題はこれが会社全体のデフォルトそして、アメリカ全体、さらには世界全体に波及するというレベルに発展するような事態まで予見できたかどうか、観点でしょうか?
われわれ個人投資家としては、いかに高いところで売って、低いところで買えるか、というところは少なくとも考えているのではないか?と思います。
その点でいえば、結果的に、2008年の5月31日〆分の決算が出てきた段階で、キャッシュを増やしておく、といった形をとること自体ができていれば、9月のリーマンブラザーズ破綻からの株式下落に備えることができていたということになります。
上のグラフのように、2007年10月で1539の高値をつけて、そこから下落傾向ですが、
仮に2008年6月の1341で売ることができていれば、15%未満の損で抜けることができていたということになります。
もちろんこれは結果論の部分があります。
当時のリーマンブラザーズはアメリカ国内で4番目に大規模の銀行でしたから、銀行の決算の異変に気づくためには、目安として規模の順番で5個ほど、最低でも4個の銘柄の決算を米四半期チェックしている必要があったということになります。
また、もう1点はどこで底値近くを拾いに行くか、という問題があります。
リーマンショックの場合ですと、以下のグラフのように、ゼロ金利になってからも株価が下がってます。決算内容が発端で株価が下がっている場合、金利が下がっているからと言って株価が上がる、といったケースは当てはまらないようです。それはどちらかというと、1970年代・80年代や去年今年にかけての流れのように、継続的な原油高騰からのCPI上昇を軸にして金融政策を決定するケースに当てはまるように思います。さらにいえば、当時はゼロ金利政策をアメリカが行ったのは史上初でした。
では、何をみてSP500の底値を大まかに判断するか、という判断材料として有効そうだなと思ったのは、決算の部分である可能性を考えています。再度EPSとSP500の関係性についてのグラフを下に載せてみました。
月ベースだと、SP500の底値は2009年の3月だったようです。
一方のEPSも2009年の3月が底値でした。
結果的に、SP500のEPSをチェックしておいて、そこが上昇に転じたところで買うことで底値に近いところで指数を拾えたことになります。
しかしながら、これはやはり結果論の側面が否めません。
後ほどの記事では、これが当てはまるのであれば、ドットコムバブル崩壊がリーマンショックのように決算型不況だと仮定した場合、今回のような方法がどれくらい当てはまるのか、当時のデータを踏まえて検証してみようと思います。