サームルール発動時にS&P500をショートするのは適切なのか

概要

サームルールは、しばしば景気後退のシグナルと言われる。サームルールの発動したから投資撤退したほうが良いのではないかと思うことがある。ある程度の撤退の指標にするのは正しいとは思うものの、私は逆にむしろショートをかけると面白いんじゃね?ということで、果たして歴史のデータ的にその判断が適切なのかをS&P500を例に見てみた。

詳細

そのため、まずS&P500とアメリカでの失業率の時系列グラフをまず表示してみる。

S&P500と失業率 (from TradingView)

これにサームルールが発動した年月を青い縦線で描画する。サームルールの計算自体はめんどくさいので下記から引っ張ってきた。
https://www.businessinsider.jp/post-291580

S&P500と失業率 (from TradingView)およびサームルール発動年月

この時、サームルールが発動した際にその次の始値でS&P500に対してショートをかけたとして、どれくらいの期間ショートをかけられるのだろうか?

まずは、1953~1959年のケース。1953年はショートかけると死ぬ。初っ端からショートかけないほうがいいという結果に。。。いったん全部見ていこう。1957年は2か月は持っておけそうだ。1959年のケースは序盤少し評価損が起きるがそこから60年10月までにかけて下がっているのでそこまで利益を取りに行けそうである。

1953-1959年の場合

次に1970-1980年のケースを見る。1970年は次の年から大きく下落して3か月間大きく利益を伸ばせそうだ。1974年も同様である。1980年は1か月がせいぜいであった。

1970-1980年の場合

1981-1990年の場合、1981年のほうは半年強下落トレンドを追えるが、1990年の方は残念ながら利益が出ない。

1981-1990年の場合

2001-2008年の場合、1年半の下落トレンドに乗ることができている。2008年も同様な結果だ。

2001-2008年の場合

最後に2020年の場合、2020年の場合は残念ながらショートをかけて利益は出なかった。

2020年の場合

結果・考察

まとめると、1950年以降発生していたサームルール11回のうちなんと3回が利益が一切出ない結果ということになった。

ここからいえることは、サームルールが発動したタイミングでショートをかけるのは必ずしも適切ではない、ということだ。使うにしてもこれに加えて別の判断指標が必要であると考える。そもそも、サームルール自体の指標は2019年に出来たもので新しい指標であり、それ以降に発生したコロナショックでさえも結局ショートをかけて利益を取りに行けていない。ここからもサームルール発動をタイミングとしてショートをかけることは適切でないと判断できる。(するにしても適切な損切タイミングを設定すべき)

そもそもサームルールが発動した時点で景気後退に入っていました、というケースもあるので、サームルールが発動した時点で投資タイミングとしては既に遅いのかもしれない。。。一つあり得るとすれば、今まだ景気後退に入っていなくてこれから入るんだ、というシナリオを想定してショートをかけるということか。

サームルール発動タイミングと景気後退タイミング
(https://www.businessinsider.jp/post-291580)

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