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ドラマ 火花についての限りなく私的な考察③ 真樹さん

門脇麦さん演じる真樹さんについてのお話。

真樹さんは登場した時から、不思議な存在感だ。初めて会った時、神谷は、徳永は、どう感じたんだろう。私には天女のように見えてるんじゃないかと思えた。優しく儚げで、可愛らしくて、透明な美しさで。

麦ちゃん自身は神谷と徳永のお母さんのつもりで演じてたと言っていたけど、そうなのかな。私にも息子がいるけれどそこは良く解らない。あんなお母さんにはなれないな。

真樹さんは神谷と2人の時間、時々徳永を交えて3人で過ごす時間をとても幸せで楽しいものと感じていたと思う。
でも離れる時は柔らかで、優しかったけれどきっぱりと後をひかない。
最後まで変顔で2人を笑わせようとしてた。ドアを閉めた後姿は泣いていたけど。

やっぱり天女だな。
羽衣を渡してしまった神谷は、失なってからその意味を引き受けるしかなく、それはそれは苦しかっただろう。その苦しさに徳永も感応していた。
かつての喜びが深ければ深いほど、喪失の苦しみも激しいものであっただろう。

でも、真樹さんだって相当苦しかったし悲しかったろう。大好きな人達と離れる事を自分から選んだのだから。

風俗の仕事はきっと魂を削られる、厳しい仕事だ。真樹さんはそうして得たお金を神谷に渡していた。そのお金で3人の幸福な時間を創りだしていた。
長くは続かない、続ければそれはゆっくりと損なわれてしまう。
その前にどこかで終わりにしなければ。

そこは又吉もドラマも具体的に描かないので、時を経て偶然徳永の目に写った真樹さんは平穏な幸福に輝いている。人生の尊さと美しさを象徴する存在として。

ドラマ 火花に出てくる真樹さんは見ようによっては、男性の幻想を具現化した理想の姿だ。でも同時に不思議なリアリティがある。
こうあれたら幸せだろう。と女である私が観てもそう思える時間が描かれているからかな。

だから何度も何度も観たくなる。
この後には残酷な展開が待っているのだとわかっていても、その仄かな予兆も含めてあまりに幸福な時間がここにあるから。

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