急に現実味を帯びてきた出産(36w4d)
1年以上こどもを授かることがなかった。
気持ちが先走り過ぎたのか、生理が3ヶ月に1回しか来なくなって、基礎体温も乱れ、タイミング法を自力で取ることが難しくなった。
病気でもなんでもないけど、この状況を世間では「不妊症」というらしい。
不妊症とは、生殖年齢の男女が妊娠を希望し、1年以上避妊せず性交を行っているにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合をいいます。
自力での妊娠は難しいのかもと思い、不妊治療を始めることになった。
治療を始めて4ヶ月ほどで授かることが出来た。
だけど、思った以上に心が冷静だった。
もっと浮かれるものだと思っていた。
それからは、つわりもほぼなく、順調に育っていった。
安定期に入り、両親へ報告したら思った以上に祝福された。
両親が喜んでくれて嬉しい気持ちはあったけど、でもどこか他人事のままだった。
エコーで心臓の音や動いている姿や成長の過程を見ても、妊娠に伴って身体の変化があっても、胎動を感じても、別の命が私の体の中にあることは理解出来ているけど、感情がいつまで経っても追い付かなくて、そのまま臨月を迎えた。
もっとわくわくするものだと思ってた。
浮かれるものだと思ってた。
想像してた妊婦の心境とは違って戸惑ってしまった。
計画無痛分娩だから、ざっくりとした入院日と出産日が決まった。
予定日よりも1週間早い日程になった。
今回は感染症対策のため立ち会いも面会も出来ない。
孤独な出産になることが現実味を帯びてきた。
すると妊娠から臨月まで棒立ちの状態だった心が慌て始めた。
とても寂しくて、怖くて、不安だ。