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夜の動物園

冨永裕輔
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※試聴版。オリジナル版(02:20)は購入後に視聴可能。

昨夜のTokyo Star Radio「冨永裕輔 癒しの森 八王子時間」で世界初オンエアした蔵出し音源、『夜の動物園』をnote限定初配信でお届けします。

今回もセルフ・ライナーノーツとともにお楽しみください。

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制作は2015年。
ちょうど全国的に動物園が再注目され、夜の動物園を楽しめる企画なども各地で人気を集めていました。
そんななか、ぼくも実際に久しぶりの動物園に足を運び歌のイメージを湧かせました。
動物園には癒しと学びがあります。
小学校三年生、四年生の頃には到津(いとうづ)遊園という動物園で、夏休みに林間学園に参加した経験があります。

違う学校の子たちと出会い、朝早くから園のうたを歌い体操をして、動物と触れ合い動物の絵を描いたり、俳句に挑戦したりして毎日を過ごしました。
そのとき人生で初めて読んだ俳句は今でも覚えています。

「椎の葉は 風にゆらゆら きもちそう」

気持ち良さそうと書きたくて文字数を気にして完全な造語が生まれています。
そのことを注意されるかなと思いながら提出すると、先生は、「気持ち良さそうな椎の葉の気持ちが伝わってくるね」とただ誉めてくれました。
時にはルールに縛られるよりも率直な感性を優先していい。
そして、創作によって自然の気持ちを想像し、物言わぬ自然と対話することができるということを教えてくれた体験でした。

林間学校最後の日にはみんなが楽しみが待っていました。
白いコックコートにコック帽のシェフが来てくれて、大きな寸胴鍋で出来立て熱々の特製カレーライスをみんなに振舞ってくれるのです。ワクワクしながら行列に並びます。ようやく自分の順番がやってくると、白いライスにたっぷりと湯気の立つカレーがかけられて、自分はなんて幸せなんだろうと満たされた思いがしました。
カレーの香り漂う園内の、自分の好きな場所で、仲良くなった他校の友達と並んで食べたカレーライスの美味しさは忘れられません。

改めて調べてみると、この現・到津の森公園の林間学園は1937年に始まった長い歴史がありました。
口演童話の創始者である日本のアンデルセン、久留島武彦氏から「子どもたちの健康と夢を活かすためには、自然の中で生きた教育ができる林間学園を開いてはどうか」との提案を受けたことがきっかけだったそうです。
その後、戦争と閉園(経営悪化により閉園となったが、市民の熱烈な署名活動や支援により市運営として復活)による中断を挟んだものの現在に続いています。
幸運にもその歴史の中の参加者の一人として、まさに自然の中で健康と夢を育んでもらい、今があります。先人たちの志は確かに次の子どもたちに届いています。そしてそのたすきをまた次世代に繋いでいきたいと思いますし、この楽曲もいただいた経験から生み出したその形のひとつです。

残念ながら、今年はコロナ禍の影響によりこの林間学園は中止となってしまったそうです。
また来年には子供たちの笑顔が戻ることを心から願っています。
三密を避けながら野外で楽しめる動物園は、今後も子どもにも大人にも大切なスポットになると思います。

さて、ジャケットにはすやすやと眠るひつじを撮影して、絵本風にデザインしてみました。
子どもの頃から絵本が好きでたくさんの絵本を読みました。
もちろん親や幼稚園の先生が読んでくれた大好きな絵本もたくさんあります。林間学園では、戦争のために殺処分されなくてはならなかったかわいそうな動物の絵本をもらいました。
絵本から学んだこと、得たことはきっと今の感性や世界観に生きていると思います。

余談ですが、ぼくは牡羊座なのでひつじが好きです。
もこもことしておっとりとしていて見ているだけで安心してしまいます。
ぼくも広い草原を見ると嬉しくて走り出したくなります。
牡羊座に限らず、人も時にはそのようにして自然に帰る時間が必要だと思います。

さて、眠れないときに数えるのもひつじです。
この写真と歌が、子ども心に帰って無邪気に動物園で遊ぶみたいに、この冬あなたをやさしい眠りに誘いますように。


「夜の動物園」        詞・曲/冨永裕輔

夜の動物園では シマウマが走る
瞳をきらめかせて 星を追いかける

夜の動物園では ライオンが食べる
貸切のレストラン 俺様 王様

夜があるから 朝が来る
月が照らした夢がある

夜の動物園ではフラミンゴ踊る
ダンスパーティーだよ きみも踊らない?

三日月ぽっかり真っ暗な夜
また逢いたいな さみしいよ

夜の動物園にも やがて朝が来る
フクロウにアライグマ そろそろ眠るよ

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明日もあなたに良いことがありますように♪

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