画像1

BACK TO THE SONG 2010.5.16 冨永裕輔ワンマンライブ『ひとりかい?』江古田マーキー 〜後半〜

冨永裕輔
00:00 | 00:00

※試聴版。オリジナル版(51:35)は購入後に視聴可能。

いよいよ冨永裕輔ワンマンライブ『ひとりかい?』も最終の2ndステージの後半、クライマックスです。アンコールまで聴きどころ満載でお届けします。

ところで前半の記事の中で、ぼくが実践している暗譜法、練習法などを詳しく書いてみました。

世の中のアーティストは毎回そんなに暗譜しているのか?
と疑問に思ったかもしれません。

もちろん多くのアーティストが、本番に向けて血の滲むような準備を積むからこそ、感動的なライブを実現していると思います。
しかし、それだけではさすがにすべてのイベントは成り立ちません。
そこには文明の利器を活用したサポートもあります。

一般的に規模の大きなイベントなどではプロンプター(prompter)といって、アーティストの足元のモニター画面に歌詞やコード(演奏すべき音階を簡略表記した記号)などが映し出される装置があります。
ちなみに音楽の現場に限らず、ニュース番組ではカメラのところにプロンプターがあり、アナウンサーから原稿が見えるようになっています。その結果、アナウンサーは下を向かずにカメラ目線のままで、必要な場面では原稿を確認しながら喋ることができるのです。近年では政治家の方の演説の場面でも、プロンプターが活用されています。

さて、『ひとりかい?』を経験してから数年後。ぼくもこのプロンプターを初体験する機会がありました。

それは大ホールで開催された全国規模のイベントで、複数の出演者がたくさんの楽曲をカバーして歌うイベントでした。
ぼくはそれまでプロンプターの経験がなかったため、かなりの楽曲数でしたが暗譜する必要があると思い、今までのように一人リハーサルを繰り返し、全楽曲を暗譜して本番に挑みました。
そして迎えた当日の会場リハーサルで、足元にプロンプターが設置されており、歌詞やイベント進行の流れが映し出されることを知りました。

当然ながら、そのようなイベントへの出演に慣れている他の出演者は、足元にあるプロンプターを見ながら歌い、トークを進行させていきました。
ぼくの足元にもプロンプターを用意してもらっていて、自分もついにそのような恵まれた環境のステージに立てるようになったことへの感慨もありました。

ただ、楽曲やイベントの進行を頭や体に入れて挑んでいたので、せっかくなら足元の画面ではなく、会場のお客さんを見ながら歌いかけ、語りかけることを選びました。
客席からはプロンプターは目立ちませんので、お客さんからは特に大差のないことだったかもしれません。
ですが、参加してくれたお客さんに視線を送りながら歌い、語りかけた方が、その言葉に込めた心が届くと思ったのです。

それは、どちらが良いとか悪いとかの話ではまったくありません。
便利な装置ですから必要なときは活用すべきです。何よりもスムーズにイベントを進行させて成功させることが重要な場面では、大変心強いサポートになり得ます。
ただそのときは、『ひとりかい?』のようなライブを繰り返し、叩き上げで泥臭くやってきた自分の意地というか矜持みたいな思いがあり、まっすぐにお客さんに顔を向けて最後まで歌い切りました。

あれから大小様々なステージに立ってきました。
音響環境面なども毎回様々です。
必ずしも歌いやすい環境ばかりではありません。
しかし、逆境でこそ力が湧いてきて、どんな場面でも気持ちを高い位置に持ち直し、顔を上げてお客さんに向けて歌えるのは、『ひとりかい?』のような下積み時代の数々のライブに、地道に鍛えてもらったからだと思っています。
だから、歌い続けることが、自分にとって、自分が出会っているすべての人への、自分なりの一番の感謝の表現だと思っています。

ぼくが歌い続けられるのは、こうやってぼくのnoteやラジオ、ライブを受け取ってくださるあなたがいてくれるからこそです。
これからもその矜持と感謝を持って、再びライブステージに立てる日には、顔を上げて聴いてくださるあなたにまっすぐに歌を届けたいと思います。

さあ、今夜、アンコールの最後の最後まで、ともに最高の夜を過ごしましょう。
『ひとりかい?』後半もあなたのための特等席でお楽しみください。

ここから先は

¥ 1,500

よろしければサポートをお願いします! コロナによりライブ中心の音楽活動は難しくなりました。 しかし変革のチャンスにして、レコーディング、撮影、配信機材を整えています。いただいたサポートを更なる向上と持続に活かし、ますます有意義であなたにお楽しみいただけるnote発信を続けます。