金木犀の唄

一年ぶりに金木犀の香りが漂ってきた
そうか
もう10月になるのだ
よく咲く時を間違うことなく
今年も甘い香りとともに
咲き戻ってきてくれた

ふと思った
この金木犀は
だれが植えたのだろうか
だれかがきっと植えたのだ

そのひとは
いつか遠い未来に
ここに住むだれかが
ここを行き交うだれかが

深まりゆく秋とともに
甘い金木犀の香りに
癒され　包まれ　酔いしれることを
想像しながら植えてくれたのだろうか

ぼくは
金木犀の香りとともに
会ったこともない
そしてきっとこれからも会うことのないだれかに
出会えたような気がした


その想いを
その願いを
その愛を
たしかに受け取れた気がした

金木犀の季節は
驚くほどはやく過ぎてしまう

そしてやがていつの日か
ぼくがいなくなったこの金木犀の前を
通るだれかが

ぼくと同じように
秋空を見上げ
金木犀の香りを抱きしめるように
包まれるように
立ち止まる秋が
またくるのだ

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明日もあなたに良いことがありますように♪