見出し画像

明け方の雨が好きだった

今年は例年になく早い梅雨入りだそうですね。

湿度の高い季節がしばらく続きます。

雨は時に憂鬱な気持ちにもさせますが、救いや癒しをもたらす側面もあります。

そして、止まない雨はなく、やがて梅雨も明けていくように、人生における雨降りの時期も必ず通り過ぎて好天がやってきます。

そうやって考えてみると、今のこの日々も永遠には続きません。

その昔、ぼくがまだ自分の道や居場所を探しあぐねていた10代の頃、優しくしてくれた雨の思い出を詩に綴ります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『明け方の雨が好きだった』


明け方の雨が好きだった

傘に隠れて歩けるから

しとしと降る雨が好きだった

渇ききった心を濡らしてくれるから

乾ききらない涙を紛らしてくれるから


自分を知られるのがこわかった

なぜなら私には何もなかったから

目指すべきものや

たどり着きたい場所 

守るべき人

語るほどの物語もなくて


ただ、今の自分がいやだけど 

ほかの誰にもなれなくて

ただ、どうすればいいのかわからなくて

時が過ぎるのを待つばかりだった

じっと 雨音を聴いていた


家の中にも教室にも居場所がなくて

どこかへ向かう傘の中だけで安らいでいた

だってどこに居てもいいかわからなくて

どこかへ向かっていれば寂しさも紛れて


そう、いつか雨は

この雨が止む日が来るなんて・・・


明け方の雨を聴いている

今日は強く降る明け方

いつかの傘に隠れてた私を思い出す

あの頃の悩みが 

今は宝物で

あの頃があったから

そのあとの幸せがあった

そうやって繰り返しながら

人は生きていく

今では傘をさすのを億劫がっている


願わくば、ああ、願わくば 

明け方の雨よ

傘に隠れたいだれかの悲しみを癒してくれ

どこかへ向かうだれかの寂しさを

包んであげてくれ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

明日もあなたに良いことがありますように♪





いいなと思ったら応援しよう!

冨永裕輔 Yusuke Tominaga
よろしければサポートをお願いします! コロナによりライブ中心の音楽活動は難しくなりました。 しかし変革のチャンスにして、レコーディング、撮影、配信機材を整えています。いただいたサポートを更なる向上と持続に活かし、ますます有意義であなたにお楽しみいただけるnote発信を続けます。