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横顔

冨永裕輔
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※試聴版。オリジナル版(04:27)は購入後に視聴可能。

こんばんは。10月も最終週の火曜noteになりました。

今夜は勝てば優勝の大一番に和田毅投手が「21」とともに先発マウンドに上がりました。ラジオ生放送を通じてファンの皆さんと共有できた特別な日になりましたね。

さて、今夜はいただいたリクエストにお応えします。
10月15日(木)にTokyo Star Radio「冨永裕輔 癒しの森 八王子時間」にて初オンエアした『横顔』を、note限定初配信したいと思います。
そして、この度リクエストをいただいてから、正式にSho Hamadaにアレンジを依頼し、いま成せる最高の音響でボーカルレコーディング、また多重録音コーラスをレコーディングし、ミックス、マスタリングを行い完成させた、気合の入った未公開の音源をお届けします。
ぜひ、お聴きください。

今夜もセルフライナーノーツとともにお楽しみいただければ幸いです。

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もともと『横顔』は、2018年にギターSho Hamadaとの曲作りセッションの中で生まれた一曲であり、発表の機会を得ぬまま月日は流れていました。
ですが、ぼくにとっては自信を持てる大切な楽曲だと感じていました。
まさに、このような楽曲こそ、ぼくにしか書けない、いわゆるシンガー・ソングライターらしい楽曲であると。

つまりそれは、ぼく自身の経験(未来に訪れることも含めて)から生まれ、導かれるようにメロディーをまとった詩が舞い降りてくる、魂の叫びというものです。
それは必ずしもキャッチーではないかもしれませんし、華やかさとはかけ離れているかもしれません。
だけど、
「それが答えなんだ」
という強さがある表現。それが、魂の叫びです。

また、そこにはぼくらしい感性、世界観があります。
自然の表情の機微の中に感じた、命の美しさや大いなる愛です。
それは、歌詞というよりも、自然に触発された詩に近い表現です。
そしてそれを通して人生観や死生観を表現することは、ぼくらしい作品だと感じます。

そして、多重録音コーラスもぼくらしい表現のひとつです。
コーラスラインを作るとき、楽譜やメモを書いたりしません。感じるままに声を重ねていきます。(そもそも楽譜が書けません)
そのときに目を閉じてイメージしているのは、アカペラグループとして経験した練習や数々のステージです。

アカペラグループ時代に、高いコーラスパートでハーモニーをリードしたことも、低いコーラスパートでハーモニーを支えたことも、今の自分の音楽に生きています。決して目立たないコーラスポジションだったときも、一つ一つの持ち場に誇りを持ち自己表現していました。
心の中で問いかけると、その当時の自分がコーラスラインの答えを教えてくれるようにして音が聴こえてくるのです。

そして完成したコーラスの音量やバランスを、何度も何度もやり直しながらミックスしていきます。聴いてくれる人の耳はボーカルにいくように、歌詞が聴こえるように、でも世界観を引き立たせる存在感を放つ意味のあるコーラスであるように。

また、ぼくはピアニストですが、ギターサウンドというものがぼくらしい世界を解き放ってくれる部分があります。「すずなり」もそうでしたが、ギターのアルペジオが自分の表現を受け止めてくれるという安心感が、良い化学反応を起こしてくれます。
アレンジの際、間奏ではトレモロ奏法をリクエストしました。
切ないギターの調べが楽曲の世界観を助長してくれています。

さて、歌の内容についてです。
この歌には、ぼく自身が感じる家族というものの姿があります。
なかなか、家族の中ではいつも心を素直に伝え合うことが難しいと思います。
近い関係であるからこそ、本当のことを聞いたり言ったりする機会を逃すということがあるのではないでしょうか。
そして、この楽曲で描いている横顔のイメージには、“お父さん”という存在があります。

これまでの時代、日本の家族の中において、“お父さん”という存在は、実に難しい、もっと言えば切ない立場であったように感じます。
強い存在であることを求められながらも、なかなか敬意の対象とはなりにくい社会構造や時代背景があり、家庭や職場の中において、口には出せない多くの思いを抱えながら、“お父さん”という役目を果たしてきたのではないでしょうか。

どんなに強い人でも、笑顔を携えている人でも、弱さや悲しみを持っていない人はいないと思います。
誰かの悲しみや寂しさに気付ける感性を、そして言葉をかけてあげられる勇気や大きな愛を持っていたいと思います。

それは近い存在でこそ難しいかもしれません。
でも、間に合う時に、そうしたいと思うのです。

本日10月27日は、亡き父の誕生日でもあります。

ギターと野球が好きな父でした。
そしてきっと、ぼくの歌を好きでいてくれたと思います。

今ならその横顔に、なんて言えるだろう。
聴きたかったこと。
伝えたかったこと。
振り返ればそんなことも浮かんできますが、その切なさも含めて、歌で表現するのがぼくの使命であり、ぼくの生き方だから、魂を込めたこの歌を届けます。
それがきっと、未来にも、そしてもしかしたら空の上にも届いているかもしれません。

そして、この歌を聴いてくれただれかが、だれかの孤独に心を寄せるきっかけになったら、それが自分が生きる意味だと思うのです。



『横顔』           作詞作曲 冨永裕輔

今ならなんて言えただろう 寂し気なあなたの横顔に…

だれでも強いだけの人はいない
その笑顔の影にある涙を隠していても
だれにも言わなかった哀しみがある
言葉にすれば きっともっとだれかを傷つけるから

優しさこそが強さと 教えてくれたのはあなたでした

今ならなんて言うんだろう
虚ろ気なあなたのために
これからどこへ生きてゆこう
残されあなたの温もりと

確かなことがひとつあるとすれば
そばにいられるその奇跡 人はいつもあとに気づく
今ならまだ間に合うかもしれないと
思ったときに その時に ただ抱きしめてやればいい

言葉はいつも追い付かなくて 大きなあなたへの愛よりかは

今更なんて言わないから
素直な思いを伝えたい
花々を草木を揺らす
風の中にあなたがいる

今ならなんて言えるだろう
大切なあなたのために
晴れた日の優しい雨に
残されたあなたの思い出に
寂し気なあなたの横顔に…


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明日もあなたに良いことがありますように♪

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