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女神の社会の窓
https://youtu.be/KY06tlYM2GY
1日の終わりに、ある方から頂いたマッサージ機で首のコリをほぐしながら、今日を振り返る。
自動もみほぐし機になされるがままの、我が顔の動きが神がかって面白いことに失笑。
今日、私が地下鉄の階段を上がっていると若い女性が逆行してきた。
彼女はマスクの上からでもわかるくらい透けるように肌が白く、顔にはほのかに笑みが浮かんでおり、雰囲気は上品でしっとりとしてとても美しかった。まさに女神降臨。
「若いっていいな」
私も昔は若かった。
もし私が若返ることができたとしても、彼女のように神々しい美しさを手に入れられるわけではないが、羨ましさを隠すことができなかった。
「こんな綺麗な人には欠点なんてないんだろうな」
そんなふうに想像しながら、すれ違いざまにふと彼女の下半身に目がいき、思わず右腕を触ってしまった。
「あっすみません」
私は決して痴漢行為をはたらいたわけではなく、恐れ入りながら勇気を振り絞って彼女に囁いた。
「チャッ、チャッ、チャック開いてます」
一瞬見つめ合った。ブラックホールのような黒黒とした瞳に吸い込まれそうになった。
余計なことを言ったかも。
次の瞬間私の心配をよそに、彼女の大きな目がさらに大きく広がり、光をたくさん含んで、その一部が反射した。姿勢はなおさら凛として「ありがとうございます」とにこやかに去っていったのだ。
さすが女神、こんなご時世知らない人間に触られたりしたら振りほどきそうなものなのに。
外出先でトイレを借りた際、自宅でのいつもの癖で、トイレの扉の前でズボンをおろしてしまい、中途半端な知り合いの人たちの前で恥をかいた私とは次元の違う世界に住んでいらっしゃる。
あの穴は極楽浄土への入り口だったのだろうか。
彼女の後ろ姿に手を合わせた。