Moto2マニュエル・ゴンザレスの鉢巻き事件についての備忘

Moto2のマニュエル・ゴンザレスの鉢巻き事件についての2024年10月12日20時時点での私の感想を自分用の整理のために以下にまとめておきます。 #MotoGP_jp

<起こったこと>
2024年10月6日
 MotoGP日本ラウンド決勝でグレジーニレーシングのMoto2ライダーマニュエル・ゴンザレスが日の丸に「いちばん」と書いた鉢巻きを締めた。
2024年10月8日
 チームのメインスポンサーである中国バイクメーカーのQJ Motorが中国語のみで(中国のLineみたいなものである)微信に「グレジーニレーシングはマニュエル・ゴンザレスとの契約を今すぐ解除すべき」と。またメーカー公式サイトのMoto2ライダー紹介ページからゴンザレスを削除。


2024年10月9日
 一方グレジーニレーシングはイタリアメディアのGPOneに対して、全然きいてないとコメント
2024年10月12日
 グレジーニレーシングのMoto2サイトからメインスポンサーであるQJ Motorが消える。

 同日、ゴンザレスがinstagramに謝罪メッセージを掲載
「日本GPのグリッドの写真を不快に思われた中国の皆さんに謝罪します。
政治的なメッセージを出そうと思っていたわけではありません。単に開催国のイメージとして使っただけでした。
中国の人々の気持ちを無視したり傷つけたり、そういうつもりはありませんでした。考え無しになんとなくやってしまったことで、今は後悔しています。
本当に心から謝りますし、皆さんに許してもらいたいし、これからも応援してほしいと思っています」。

<私の感想>

  1. 鉢巻き自体は問題無い

  2. しかし日の丸を染め抜いた鉢巻きというのが第二次世界大戦中の日本軍の中国での蛮行を想起させるのは当然(日本軍が中国で蛮行をしなかったという認識を私は持っていないしそこを議論するつもりはない)。

  3. それに対して中国メーカーであるQJ Motorが国内市場と民族主義的かつ全体主義的中国政府を慮って過剰反応するのもあり(Threadsでも書きましたが、今回のゴンザレスの行為は、「出光チームアジアのライダーがアメリカGPで『リトルボーイ(米国が広島に落とした原爆)のイラストにVictory!のロゴが入ってるTシャツをグリッドで着る』ようなもの」だと思えばわかりやすいかも)。

  4. とは言えチームに何も告げることなく、しかも中国語のみで中国ドメスティックなSNSである微信にリリースを掲載するのは意味がわからない。

  5. 普通の感覚ならチームと落とし所を探って、共同リリースを出して、ゴンザレスが反省のポーズを見せて終わりでは?(契約解除を要求するならもうちょっとちゃんとやろうよ)。

  6. (合理的な話し合いができないという意味で)今の中国はそんな国になっちゃってるというのはビジネスリスクとしてちゃんと折り込んでおかないとね。

  7. グレジーニ・レーシングがメインスポンサーであるQJ Motorを切ってゴンザレスを守ったというのは大したものだし、チーム・グレジーニが理不尽と戦うだけの度量を持っているのはその通りだけど、おそらくMotoEやMotoGPも合わせた資金繰りの豊かさもあるのだと思う。また「(たとえ14億人の市場を抱えているとしても)中国のような全体主義国家のスポンサーを維持するより今後優秀なライダーに来てもらうことの方がビジネスとして合理的」という判断もありそう。

  8. という話とは別に、本件を嫌中な文脈でとらえて「ざまぁ」とか言うのも違うし、日の丸鉢巻きというアイコンがアジア諸国でどういう意味を持つかはちゃんと認識しておいた方がいいとは思う。そういう意味ではもてぎのオフィシャルが侍コスプレで日本刀で袈裟切りポーズを見せたのも結構危ないよな。

  9. さらにそういう話は別にして、ゴンザレスが謝罪メッセージをインスタにあげてることを考えると、グレジーニがQJをサイトから落としたのって、QJが黙ってゴンザレスをサイトから消したのに対する一種の返答で、裏ではめっちゃ高度が駆け引きが行われている可能性もあるよな。だって都市国家間の憲法に揉まれたイタリア人とこれまた古代から内戦を繰り返してきた中国の間のやりとりだぜ?

とりあえず、こんなところで。

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