ただ“好き“な気持ちがあればいい。キリンビールサロンで学ぶビールのたのしみ方
ちいさな踏み切り、古いアーケード街、「ただいま」と思わず声をかけたくなるような昔懐かしい飲食店。
少し肌寒くなってきた11月のはじめの土曜日、私は「生麦」の駅前を歩いていた。ビアコミュニティ「キリンビールサロン」の初回の講座に向かうためだ。
「どんな雰囲気なんだろう?どんな人たちがいるんだろう?」
と、ちょっぴりわくわくしながら、紙袋の中には“わたしの好きな“キリンラガービールを忍ばせて、会場のある横浜工場を目指す。
淡い期待を胸に、キリンビールサロンの日々が始まった。
“知る“から“つくる“まで。全5回のビール講座
はじめましてのご挨拶にも、いつもの仲間と語り合う夜も…乾杯の数だけ、ストーリーがある。思い出のワンシーンをよりたのしく、味わい深いものにしてくれるビールが私は大好きだ。
でも「ビールが好き」と言いつつも、世界中にどんなビールの種類があって、原材料がどんなかたちで、どんな工程でつくられるのかを私は全然知らなかった。
キリンビールサロンは、ビールを“知る“から“つくる“まで、体験できる全5回の連続講座。古くからの飲み友達・平山さんに誘われて、第1期のメンバーとして参加させてもらうことになった。
メインの講師を務めるのは、キリンビールの草野さん。キリンビール横浜工場で年間60回以上開催されているビールセミナーを担当してきたビールのプロ。
参加者は、私のような初心者から、自ら醸造所を営むプロまでさまざま。
最初は、ただ好きなだけの自分がついていけるかな?と少し不安もあったけれど、初回の講座に参加したらそんな思いは一瞬で消え去った。
ただ、ビールが“好き“なだけでいい
ビールが生み出す文化は、やっぱり最高だ。
「乾杯」のひとことあれば、誰とでも仲良くなれちゃう気がするし、どんな時でもたのしい気持ちにしてくれる。形式にとらわれず、自由に味わえる懐の深さもいいところ。
キリンビールサロンでは、深い知識がなくてもいい。肩書きに捉われず、ただただビールを好きなだけでいい。ビールを片手に語り合えば、純粋に「どんなビール好きなのか?」だけでたのしめる。
そんな風に自分らしく過ごせるアットホームな雰囲気がとても心地よかった。
その先につくり手の思いがあった
スーパーの飲料売り場に並ぶ、各メーカーのビールたち。
選ぶ基準は、パッケージの印象、商品名、それから価格。いままではそんな風に、なんとなく手にとることが多かった。でも、講座に参加して、自分でビールをつくってみたら、ビールをつくることの大変さを知った。
ビールづくりでは温度管理、時間管理の2つがとにかく大切で、少しでもレシピとズレてしまうと全く違う味わいになってしまうそうだ。
麦芽を煮込む工程では、決められた時間どおりに温度を調整し、鍋の中で麦芽を撹拌し続ける。1杯のビールをつくるのに、思った以上に手間も時間もかかるんだ、とはじめて実感した。
ビール体験でつくったスタウトたち。自分でつくったビールを飲んだ時、いつも以上に感動したのを覚えてる。
そして、キリンビールサロンでは、講師の草野さんをはじめとするつくり手の方々と話をする機会があった。
普段なにげなく飲んでいたビールだけど、その奥には、真摯に消費者に向き合う姿勢や、おいしさへのこだわり、ビールの文化を伝えたいという思いなど、いろんな気持ちが込められていることに気づく。
そんな風に1本のビールには、つくり手の手間や思いやが込められているんだな、と改めて実感した。
ただただ、たのしい写真とともにサロンをレポート
ビール好きの仲間ができたり、つくり手の思いを知れたり、自分の“好き“なビールの傾向が見えてきたり。キリンビールサロンに参加してみて、学んだことはたくさんある。
でも、振り返ってみて思い出すのは、毎回たのしかった記憶ばかり。ビール好き同士の「乾杯」がこんなにも居心地が良くて、たのしいものなんだなと実感した。
何回も言うけど、本当に毎回たのしかった。
ここからは、みんなのビール愛あふれる写真とともにサロンの様子をご紹介。
🍻
第1回目は、「わたしの好きなビール」を持ち寄って、乾杯しながら自己紹介。パケ買い、期間限定品、ビアスタイル…みんながその1本を選んだ理由もさまざま。私が持って行ったのは、冒頭で書いたキリンラガービールだ。
キリンラガービールを選んだのは、小さい頃に父が家庭で飲んでいて、その記憶からビールは「誰かと分け合う」「コミュニケーションの象徴」のようなイメージがあったから。
子どもながらにロゴの中の「キリン」の文字を探したりして、私にとっては思い出深い1本だった。
最後にみんなで記念撮影。ビールという共通項だけで、ここまで楽しい時間になるんだ、と改めて思う会だった。
🍺
第2回目の講座では、ビアジャーナリスト富江弘幸さん、遠野醸造の袴田大輔さん、SVB 東京ヘッドブリュワーの古川淳一さんによる日本のビールについてのトークセッション。
従来のシェアは大手の占有率を示していたけど、時代とともにシェアの文脈が変化したとのお話が興味深かった。最近では、大手と地域の醸造所が共創する取り組みも増えているそう。
文化を共創し、ファンとシェアして、コミュニティが少しずつ広がっていく。キリンビールサロンもまさにその取り組みの先駆けだなと思った。
講座のあとは、いつもちょっぴりハイテンション。note枠として一緒に参加したせっちん丸さんとも、ビールのおかげで一気に仲良くなれた気がする。
🍻
第3回目は、世界のビールについて。ビールマガジン「Transporter」主宰である田嶋伸浩さんから、アメリカのビール市場についてお話を伺った。
アメリカではSNSが情報収集の主戦場。トレンドの変化も、より早い時代になってきているそう。ビアコミュニティも盛んで、地域の限定ビールをトレードし合う文化もあり、クラフトビールの価値はさらに高まる傾向に。
この日飲んだビールは、なんと8種類!!!
キリンラガービールの慶祝から、アメリカ、ヨーロッパ、日本まで世界のさまざまなビールで乾杯した。
🍺
第4回目は、待ちに待ったビールづくり!6チームに分かれて、ビールづくりを体験。
麦芽を入れるところから、麦汁をつくり、ポップで香り付けするところまでを実際に体験した。チームのみんなで交代しながら、麦芽を攪拌し続けて、最後に濾過したら麦汁の完成。
出来上がった麦汁たち。ビアスタイルによって色味も全然違う。
後日ビールは、写真付きの認定証と一緒に送られてきた。みんなでつくったスタウトは、ちょっぴり苦い味がした。でも、自分でつくったビールだから、愛着が湧いたし、やっぱりおいしく思える。
ビール体験のあとは、キリンビールの工場見学へ。プロップスもかわいくて、ついみんなで記念撮影をしてみたり。
(Photo by せっちん丸)
工場見学の後は、生麦のお店「あぼか洞」で2次会。
急遽30人ほど(第1期生ほぼ全員と講師の皆さん)で入店したので、カウンターと、テーブル席が数席のちいさなお店があっという間に満席に。ぎゅうぎゅうに座り、ビール片手にわきあいあいと語り合う光景は、異様な熱気に包まれていた。
(Photo by せっちん丸)
この時に、みんなでどんな話をしたかは、実はあんまり覚えていない。でも、ビールが好きでよかったし、キリンビールサロンに参加してよかったなと、心から思ったことだけは覚えてる。
🍻
第5回目の講座は、コロナの影響を受けて、いまだに実施されていないままだ。
あの夜のような乾杯の時間を過ごしたかったし、みんなでつくったビールも一緒に飲みたかった。
でも、キリンビールサロンの運営陣のみなさんが、参加者に楽しんでもらえないかと考えに考え抜いてくれた結果、GWの最終日、私たちはオンラインで集まることになる。
120%たのしめたオンラインでのつながり
オンライン飲み会は、数えるほどしか参加したことがない。オンライン特有の独特な“間“が苦手で、会話が途切れた時にどうしたらいいかわからなくなるからだ。
でも、キリンビールサロンでは、全員がビール好きだから、手元に好きなビールがあればただそれだけでハッピーだ。
「かんぱーい!」の瞬間は、みんないつでもいい笑顔。
会話の流れを気にすることもない。席を立つのも気楽。オンライン上ではしごするのも簡単だ。
みんなの飲んでるビールの話を聞きながら、思い思いに好きなビールを飲んでるだけでもたのしかった。
オンラインのつながりはもうひとつ。サロンで活用していたFacebookの投稿を見るのも私のたのしみだった。
「今日のビール」では、日々みんなが飲んでるビールを報告し合うスレッド。新作ビールやちょっと変わったビールなど、ビール好きのみんなが飲んでるものを覗き見できる。
ちなみにこのスレッドは9月時点でみんなのコメント900件を超え。オンラインでもここまで盛り上がりを見せるキリンビールサロン、本当にすごい。
🍻
「自分に合うビールって、どう選んだらいいんだろう?」と、今まで思っていたけれど、キリンビールサロンに参加してみて、形式にとらわれず、自分なりのたのしみ方でいいんだと知った。
ビールとの向き合い方が変わったし、ビールのことをもっと好きになった。
そしてビール愛あふれるキリンのみなさんや、サロンメンバーと出会えてよかった。
開催できなかった最後の講座では、全5回の講座を経て、“わたしの好きな“ビールを改めて宣言する予定だった。
知る人ぞ知る醸造所でつくられていたり、ストーリーにも共感できたり、パッケージがおしゃれで目を引くものだったり…。
最初は、そんなとっておきのクラフトビールを持っていこうと思っていた。
でも、もしこの講座が開催される日が来るなら、私はまたキリンラガービールを持っていくだろう。
またみんなで乾杯できるその日まで、自分の中のビール愛を育てていきたい。
一緒にnote枠で参加したせっちん丸さんのレポートnote。また一緒に乾杯したい。