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石川県のうつわを“ハレの日”に|12月14日(土)𠮷田太郎さんとの展示会を実施
12月14日(土)に陶芸家・𠮷田太郎さんの展示会を実施します。
今回のテーマは、“ハレの日”のうつわ。本企画は、2024年1月1日に起きた能登半島地震がきっかけでした。
なぜ、ハレの日のうつわなのか。
今回の企画に込めた思いをお届けします。
多治見で出会ったうつわづくりの世界
私がうつわに興味を持ったきっかけは、立ち上げから2023年4月まで携わっていたD2Cのうつわブランド「きほんのうつわ」とその前身のライフスタイルメディアです。
同ブランドの製造パートナーは、岐阜県多治見市で100年以上うつわづくりを手掛ける老舗の窯元「丸朝製陶所」。多治見が位置する東濃エリアは、日本の市場の約5~6割を占めるうつわの一大産地であり、日常使いのうつわの生産を得意とするエリアです。
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プロダクト開発のために私自身も現地に足を運び、ものづくりの背景をお伺いしたり、製造現場を見学させてもらったり、その土地固有のうつわ文化について、多くのことを学ばせていただきました。
「地域固有のうつわ文化を知りたい」「その生産背景をお客さんに伝えたい」と心から思えるようになったのは、丸朝さんとの交流があったから。この経験は、私の活動の原点でもあります。
小松が生み出すうつわ文化
そんな中、2020年3月に縁あって石川県小松市に足を運ぶ機会がありました。当時は、「きほんのうつわ」のリリースを控えていた時期でもあり、また同ブランドの前身でもあるメディアのコンセプトもふまえ、九谷焼を日常使いのうつわとしてどう提案できるか…と思いを巡らせながら過ごしました。
ですが、現地のつくり手とお話しする中で、九谷焼は日常使いのうつわではなく、むしろ“ハレの日”のうつわの方がその真価を発揮できるのではないかと感じるようになります。
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小松はかつて加賀藩の献上品として陶磁器産業が発展したため、五彩や金彩などがあしらわれた豪華絢爛なうつわ文化が根付いた地域です。
文化的背景や華麗な意匠を鑑みても、普段使いのうつわよりもハレの日のうつわの方が、この地域に合うと感じました。現地の方とお話しすればするほど、土地が持つ文脈を尊重しながらものづくりをすべきなのではないか、改めてそう思ったのです。
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九谷焼の文化施設「CERABO KUTANI」で地域のさまざまな取り組みを発信していたり、絵付けではないアプローチで小松のうつわ文化を発信する窯元を見学させてもらったり、三者三様の表現を追求する若手作家のみなさまと出会ったり…2日間の短い滞在でしたが、貴重な体験ばかりでした。
この滞在を機に、小松の町を面白いと思うようになり、小松のうつわ文化にも興味を持つように。
当時、現地を案内してくれた緒方さんをはじめ、お世話になった方々とはその後もSNSを通じて交流が続いていました。
石川のうつわを“ハレの日”に
2024年1月1日。能登半島地震が起きた時、まず気がかりだったのは小松でお世話になった方々の安否でした。
小松は石川県の中でも南側に位置するため、早い段階で安否を確認できましたが、ほっとしたのも束の間……それぞれの立場で支援をする友人たちの姿を見て、私も何かできることはないかと考えるようになりました。
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被害の状況が読めない中、スピード重視で展示会を企画するのは難しい。そして、現地のつくり手さんたちにも、うつわづくりよりも目の前の生活を立て直すことを最優先して欲しい。すぐに動けずもどかしい気持ちではありましたが、長期的に企画を温めた方が、陶芸家の方との関係構築においても、お客さまへの伝え方においても、いい取り組みができるかもしれない。
そんな思いから1年後の1月1日に焦点を当て、石川県のうつわを提案すると決めました。そして、お正月向けの企画であれば、4年前に叶わなかった地域の文脈に合う“ハレの日”のうつわとして提案したいと。
小松のうつわ文化をより深く伝えるために、現地をよく知る方とご一緒したい。そう考え、年が明けて1週間ほど経った頃、小松訪問の際にお世話になった緒方さんに相談をしました。「ぜひ一緒にやりましょう」と力強いお返事をいただき、余震が落ち着くまで待つことに。
そんな中、出合ったのが小松を拠点に活動される陶芸家・𠮷田太郎さんです。
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自然が生み出す表情が美しいうつわ
太郎さんのご実家は、100年続く伝統的な九谷焼の窯元「錦山窯(きんざんがま)」。かつて加賀藩の御用窯として発展した錦山窯は、五彩を駆使した色絵や、金彩をあしらった金欄手など、絢爛華麗なうつわづくりを得意とし、国内外から注目されている窯元です。錦山窯の作家のみなさまは、それぞれの表現を追求されています。
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太郎さんも錦山窯の陶芸家のひとり。特徴的なのは、金彩や絵付けは一切せず、土や釉薬の表現を追求されている点。「うつわといえば絵付けがすべて」だと思っていた中、大学時代に土や釉薬のうつわと出逢い、その表情に魅せられて追求するようになったそうです。
太郎さんのうつわは、釉薬や炎の軌跡のような、自然が生み出す表情が美しく…初めてInstagramで見た時に、強く印象に残っていたのを覚えています。
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一つひとつのうつわの中にさまざまな色が溶け合い、独特の重厚感を醸し出しています。料理を引き立ててくれる色味や表情で、特別な日のうつわとしてもぴったりだと感じました。
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2,000種類以上の釉薬を試作し、現在の作風に辿り着いたという太郎さん。今回は、2種類の色みをご用意しました。
グレーのうつわは土や炎など、自然が生み出す力強い表情が魅力。うつわづくりでは素焼きをした後に釉薬をかけて本焼きする流れが一般的ですが、太郎さんは既存の工程に加えて独自で生み出した複数の工程を経てうつわづくりをされています。
白いうつわは、貝殻のように繊細な色みが特徴です。白、撫子色、透明感あるガラス質の水色…多彩な表情の変化を楽しめます。
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多くの方に太郎さんのうつわを手に取っていただけたら嬉しいです。ですが、ご来場が叶わずとも、このnoteを読んだ方がお正月に向けて石川県のうつわを手に取ろうと思ってくれたら……それもとても嬉しいです。
地域の文化を外の視点から面白がり光を当てることは、巡り巡ってその文化を支えることにつながると思います。
小さな取り組みですが来年の1月1日に向けて、少しでも賛同していただける方がいたら嬉しく思います。
展示会の詳細はこちら
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