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おまえに
おまえに
一月二十九日
午前二時
分娩台にのぼる
山を削るように
太腿をひらく
くくりつけられる両足
鉄棒をのみこむ両手
吹き出る額の汗
一分ごと
おまえは
子宮内で炸裂し
わたしは
いたみに
焼きつくされる
むしょうに寒い
ふきでる汗
ぜっきょうする産道
四年前
死にものぐるいでダイを産み
そして
リュウを産み
いま
おまえを産む
発露のおまえと拮抗して
おまえの力に負けまいと
ひたすら
憑かれて
いきむ
力つきる
頂点
とつじょ
股間に
まっかに
爆裂する
太陽
産まれましたよ
おまえだ
おまえだ
ああ
世界が
火のようだ
詩集「生える」より (25)