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【為替 ドル円】2年間のドル円チャートと出来事を振り返りつつ、なぜ高値掴みをしてしまうのか?傾向と対策を考えよう

【はじめに】
 今回に記事では、「2年間のドル円チャートと出来事を振り返りつつ、なぜ高値掴みをしてしまうのか?傾向と対策を考えよう。」というテーマで話を進めていきます。まず結論から述べますが、高値掴みをしてしまう方は、後に述べる「絶頂期」もしくは「過去の栄光期」に買ってしまう傾向にある、ということです。
 そして高値掴みをしないためには、情報収集をした上で「情報の出始め期」もしくは「上昇期」に買っておくのが対処法になります。
 
 そしてここでイヤな質問ですが、皆さんは高値掴みをしてしまった経験はありますか?
 私はあります。テレビやTwitterなどでトレンド入りしている銘柄に、「まだまだ上がるんじゃないか?」「しまった!チャンスを逃してしまった。もったいない。」「今からでもまだ上がりそうだからチャンスかもしれない。」という気持ちでエントリーした結果、損してしまうことが多かったです。そこでその反省も込めて、高値掴みをしないためのコツを、去年大きく動いたドル円の例を使って、見ていきたいと思います。

目次
1.         チャートの確認
2.         情報の出始め期
3.         上昇期
4.         絶頂期
5.         過去の栄光期
6.         さいごに

【チャートの確認】
まずはこちらのチャートを使って今までのドル円相場の復習をしましょう。

Trading Viewより

 こちらは米ドル/円の週足のチャートで、期間は2021年3月~現在までの2年ほどのものになります。

 私の方で左側から順に、緑○、赤○、黄○、青○、の4つの○をつけさせてもらいました。それぞれ緑○が情報の出始め期、赤○が上昇期、黄○が絶頂期、青○が過去の栄光期、と区分分けさせていただきました。

【情報の出始め期】
 この緑○が情報の出始め期に当たります。この時期を2021年9月~2022年3月FOMC前までとさせていただきました。というのはアメリカ経済がコロナショックから立ち直りはじめ、インフレ率が2021年9月頃に6%を超え始め、金融引き締めが意識され始めた時期に当たります。
 参考に2021年1月~のCPIの結果を載せておきます。

Tradingeconomicsより

 順を追ってFRBのスタンスがどのように変化していたかを見ていきましょう。

2021年9月会合
 政策金利、量的緩和ともに維持を決定しました。しかしこのころには経済、物価ともに持ち直してきており、政策金利の引き上げ時期について、2022年末までに利上げを見込む参加者が9人と参加者の半数を占めました。6月の前回予測時の7人から増加しており、2022年中の利上げの可能性が高まっていることがわかります。

2021年12月会合
 政策金利は維持、量的緩和は米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル購入してきた量的緩和策について、前回11月会合で毎月150億ドルずつ(米国債100億ドル、MBS50億ドル)の減額に決定・開始しましたが、2022年1月から倍の毎月300億ドル(米国債200億ドル、MBS100億ドル)とすることを決定しました。

 さらに政策金利の引上げ時期について、前回は2022年の利上げを見込まない参加者が半数を占めたが、今回は全参加者が利上げを見込み、かつ、2022年末までに3回の利上げを見込む参加者が10人と過半を占めました。

 パウエル議長は、「インフレが加速し、雇用が急速に回復する、これ以上の政策支援は必要ない」と記者会見で発言しており、2022年に金融引き締めに移る姿勢を明らかにしました。

2022年1月会合
 政策金利は維持を決定し、毎月300億ドルずつ(米国債200億ドル、MBS100億ドル)の減額(テーパリング)の維持を決定しました。
 しかしインフレ率は7.5%となり、これを抑えるためにパウエル議長は「委員会は3月の会合でFF金利を引き上げる考えであると伝えたい」と発言し、2022年3月で利上げする姿勢を打ち出しています。

Trading Viewより

 2021年9月時点では、1ドル109円~111円あたりでしたが、時間がたち利上げムードに向かっていくにつれてドル高に向かい、2022年3月FOMC前には、116円付近まで上昇しました。

この期間での特徴としては
l   早いところではドル建て商品の勧誘が始まる
l   投資上級者の方が動き出している
l   世間的にはまだ注目されていない

などがあげられます。

【上昇期】
 次に赤○を上昇期と命名し、期間は2022年3月~2022年9/22とさせていただきました。2022年3月に戦争が始まり、物価の高騰が意識されはじめ、FRBが今まで類を見ないペースで利上げを行い、9/22に日銀が24年ぶりに円買い介入を行いました。

 一般的に為替は、金利差で動くと言われております。日本の政策金利は-0.1%で維持されているのに対して、FRBは2022年3月から利上げを始め、9月には3.25%程度まで利上げを行っており、日本との金利差が拡大し、ドル円も116円付近から一気に145円付近まで上昇しました。

Trading Viewより

 私は証券会社にいた頃に上司から、「水は高いところから低いところに流れるが、お金は金利の低いところから高いところに流れる。」、と聞いていましたが、言い得て妙な表現だと思います。

主要各国の政策金利の推移をグラフでチェック! ザイFX!編集部 より引用
主要各国の政策金利の推移をグラフでチェック! ザイFX!編集部 より引用

 しかしアメリカが利上げを開始してから半年あまりという、かなりの急ピッチでドル円が上昇してきたため、日本の輸入品価格が上昇し、日銀も過度な円安は経済にとってよくないと発言するなど、私たちの日常生活に支障が出始めるレベルまで来てしまいました。

 そこで日銀は、およそ24年ぶりとなる円買い介入を行い、その金額はおよそ4兆円というかなり大規模な介入を行いました。急激な相場の変動を抑えるため、といいつつ日銀が介入することで、相場が大荒れするという、矛盾を引き起こしたことも忘れてはいけません。

この期間での特徴としては
l   市場にドル買い円売りをしておけば、とりあえず利益が取れるムードが流れる
l   Twitterなどでドル円ショート組の特大損切り報告が出てくる
l   日銀も円安を止めにかかってくる
l   インフルエンサーたちがドル円について動画をあげ出す
l   輸入品を扱う会社の厳しい経営がクローズアップされ始める

などがあげられます。

【絶頂期】
 次に黄○を絶頂期と命名し、期間を日銀の為替介入の翌日の2022年9月23日~11月10日までとさせていただきました。この期間は、日銀が数兆円規模で為替介入を行っても、意に介さず上昇を続けてきたドル買いの流れがいよいよ頂点に達し、11/10に10月CPIが発表され予想よりインフレが収まってきているとわかり、146円台から一気に140円台まで一気に下落した期間になります。

Trading Viewより

 FRBは9/22に0.75%の利上げを行ったことや、9月会合で政策金利の引き上げについて、2022年末の見通しは4.4%と前回の3.4%から大幅に上方改定されました。2022年内のFOMCは残り2回ですが、この水準に達するには、0.5%以上および0.75%の引き上げがそれぞれ1回ずつ必要になるとわかり、さらにドル買いが進みました。9/22時点では日銀が介入し142円台だったものの、10月下旬には150円台を超えました。

 日銀は9/22日に引き続き、10/21と24に介入したことを公表しない、いわゆる「覆面介入」を行いました。21日には5兆6202億円、24日には7296億円の介入をしました。この10月21日に1ドル151.944をつけ、この値が直近のドル円の最高値となりました。

この期間の特徴としては
l   ○千万円をドルに換える人がニュースで取り上げられる
l   インフルエンサーがドル買いすれば儲かるとあおり出す
l   輸入品にとって円安は不利なので、国や日銀が動き出す
l   金融機関で米ドル建て外貨預金、米ドル建て保険の申し込みが増える

【過去の栄光期】
 最後に青○を過去の栄光期と命名し、期間を2022年11月10日~2023年3月現在までとさせていただきました。
 2022年中は6月から3会合連続で0.75%乗り上げに踏み切っていたFRBですが、インフレ率が去年6月をピークに徐々に低下しはじめたことをうけ、12月会合では0.5%、1月末の会合では通常の0.25%の利上げ幅に戻し、3月も0.25%の利上げに踏み切りました。FRBの利上げ幅が縮まるとともにドル円も140円付近から、1月半ばには128円台となるなど、一気に円高が進んでいます。

Trading Viewより

 また、日本の金融政策にも一部変更が見られ、イールドカーブコントロール(以後YCCと表記)を従来の±0.25%から±0.5%に幅を広げました。この判断が日銀の実質的な利上げと受け止められ、一気に巻き戻しが進んだ形になっています。

 この期間の特徴としては
l   悪い円安のニュースが止まる
l   ドル建て資産からの引き上げが相次ぐことで急激な円高に向かう

【さいごに】
 「2年間のドル円チャートと出来事を振り返りつつ、なぜ高値掴みをしてしまうのか?傾向と対策を考えよう。」というテーマで話を進めてきましたが、いかがでしたでしょうか?

 高値掴みをしないためには、最初に述べたように、高値掴みをしないためには、情報収集をした上で「情報の出始め期」もしくは「上昇期」に買っておくのが対処法になります。

 私個人としても話題に上がっている銘柄に飛びついて痛い思いをした経験があり、どうすれば高値掴みをなくせるか考えてきました。そこでたどり着いたのが以上の4つのフェーズに分類をする方法と、常に情報収集をすることの意義が大切だと言うことです。

  2023/03/31現在、FRBあまりにも急に利上げを行ってきたために、債券価格が下落し、金融機関の経営不振につながるという金融危機も意識されるような状態に陥っています。
 そして日銀も総裁が変わり、政策変更があるかもしれないと言うことで、今後の為替を取り巻く状況を考える上で重要な局面にいるといえると思います。
 これからも中央銀行の政策にアンテナを張りながら、為替の状況を見ていきましょう。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

参考資料
インフレ率
https://jp.tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi

FRBについて
JETRO
2021/09
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/09/3cdb85588bd161aa.html

2021/12
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/12/8f6fa849b1cd49e9.html

2022/01
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/01/c264802cd38871e4.html

主要各国の政策金利の推移をグラフでチェック! ザイFX!編集部
https://zai.diamond.jp/articles/-/401200

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