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DAOの社会実装に向けて

長らく、DAOが成立する組織設計やエコシステムについて学習を進め、様々なパターンを想定しては挫折を繰り返し、もう2年以上が経った。

・コミュニティ型
・プロジェクト型
・インフラ型

という3分類を行い、それぞれに必要なDAOとしての要素や機能を整理しつつ、既存組織への部分的な導入シナリオを想定したシミュレーションなども行ってます。

DAOの分類分けと重要要素の抽出


当初は、もっと早くアイデアが浮かび、DAOのプロトタイプくらいはできると思っていましたが、想像以上に難しかった。

しかし最近のホワイトカラーに多く見られる『ブラック企業問題』は、DAOに向かうための社会変化にとって成長痛のような時期なのだろうと考え、当事者の気持ちを考慮せずに好印象を持っている。

これまで、どういう原理か不明だがホワイトカラー的な、何をしているかわからない存在が根拠のない『存在価値』を示してきた時代から、ある意味正当な評価に近づきつつある。
ワリを食ってる世代は大いなる犠牲者であり被害者であるが、先行優位を決め込んだ世代にも、この流れは遠くない将来、必ず派生していく。

その流れは、人財の流動性を起こし、労働時間の流動性を全員に与える。
人の時間を奪う組織よりも、人の時間を有効活用させる器を持つ組織や集団が、有能な人材を獲得できる。
そんな社会環境へ変化していくだろう。

その代表的な組織形態として、DAOという組織形態が、改めて注目されることが予想される今日この頃だと、とても期待している今日この頃。

直接的対価の見込みにしか報酬が発生させられない現状

貢献に対する対価の設計を考えたとき、必ずどこかが報酬の源泉を用意しなければならない。
そして、その対価を用意した存在が、貢献によって発生した価値の使用権を得る。

単純なエコシステム

この構造自体を変えず、DAOに投票の仕組みを取り入れた場合
・報酬の源泉をDAOで用意
・貢献の判断をDAOで行う
・発生した価値の使用権をDAOが獲得する

としたときに起こる価値観の齟齬や、不公平な貢献への還元、そこで起こる人材の流出など、様々な要素を予測した結果、どのルートを辿っても、持続的かつ自律的に残る設計が浮かんでこない。

DAOが成立しうる環境には、参加するメンバーの価値観が既存の資本主義ベースでは原則不可能。現代社会のスタンダードとなっている、ネズミ講的なビジネスモデルは、人口減に突入している現在ではもう限界を迎えている。

何を価値ある活動とし、何に対して貢献と判断するか
そして、その貢献度合いの判定方法がAIやスマートコントラクトによって既定され、それを受け入れることからDAOのスタートラインに立てる
となった場合に、現時点でスタートラインに立てるシナリオが、いまだに設計しきれない。

そのタイミングの到来は、もうしばらく時間が必要であるように感じる。
最近のAIやweb3関連事業、その活用方法などを見ている範囲では、DAOが目指している『自律分散組織』に至りそうなものは少なく、注目されているプロジェクトの大半は、新しいビジネスモデルとして既存の価値観に基づく一定の成功を、一時的に得る・・・という以上の可能性は、まったく感じない。

過剰ハラスメント社会で最小コスト実現へ

現代社会では、〇〇ハラスメントが蔓延っている。
新しい『〇〇ハラスメント』を考えるのが楽しくなるほど、色々なハラスメントがある。
ハラスメント全盛期。

人と交流し、嫌な気持ちになり、共通の価値観を持った人同士が『〇〇ハラスメントだよね』と言い、インフルエンサーが広めたら、新たなハラスメントが世の中に定着する
みたいな流れなのでしょうか。
僕は、結構そういうのが好きなので、自分でも〇〇ハラスメント作ろうと考えてた時期がありました。

そして、このハラスメント全盛期時代は、必ず人との交流にハードルを設けさせるわけで、会話やコミュニケーションをするリスク及びコストを、ガンガン引き上げていく。
ハラスメントリスクを避ける一番の方法は、人と関わらないこと
になるのだから当然。

しかし、これまで同様、組織での様々な活動や業務では、共同作業による組織活動は避けられない。
分業制、職能性問わず、組織として何かしらの価値を効率よく提供しようとしたら、組織内での人的コミュニケーションを皆無にはまだできない。

組織の参加者はリスクを避けて人との交流を最小化し、組織は問題発生リスクを最小化するために、無用な情報交換を非推奨とする。
この動きは一層加速していくはずで、その結果
『最小接点でパフォーマンスを最大化させる』

という環境に近づく。

効率化される価値創造の可能性


言語化能力が全体的に上がる土壌

ハラスメントを避けつつ、自分が求める結果を相手に提供してもらうためには、端的に自分の求めていることを理解してもらう能力が必要となる。
また、それはAIの普及も手伝って、より一層進むと思われる。

察してもらう、汲み取ってもらう、相手の良かれと思って期待
など、ホワイトカラーの付加価値として計上されていた上記のような無用コストは、どんどん排除されていくことが予想され、ハラスメントの流行は、実はより良い社会環境を形成するための援護射撃になりうる。
※よりよい社会とは決してベストではなく今より良くなる、という表現

また、水掛け論によるトラブルを回避する方法も、コミュニケーションコストを最小化するために、スマートコントラクトが採用されていくことも予想される。
認識の不一致などが一定期間問題化するとしても、法的解釈やトラブル発生による知見の蓄積が、スマートコントラクトとAIによる人間活動の最小化を加速していってくれる数十年。
ここから起こる短期的未来の流れだと思う。

そして、その環境変化の先が、DAOという組織形態に近い、自律分散のスタートラインなのだとも思っている。

端的かつ正確に目的を提示する → タスクの明確化
水掛け論防止 → スマコンによる自動執行

そう、容易に想像がつく。

メリット推しよりデメリット回避

今まで、いくつかのサービス設計に関わり、事業としての収益化を背負って設計してきた際に、やはり収益化達成したサービスは2パターン。

・できないことを実現させられるサービス
・やりたくないことを回避できるサービス

他でも実現可能だけど、わがサービスを選んでください
ってスタイルで展開するサービスを自社で行って成功した事例が、僕にはありません。
オリジナルや代替不可能な要素を取り入れて提供するサービスしか、自分の事業としては成功していない。

代替可能だけど成立するサービス事業者になれない弱さを克服するよりも、どうやって代替不可能な要素を組み込むか考えるほうが、自分に向いてるという判断です。

多くの人が行動する要素として、メリットをきっかけとした行動よりも、デメリットをきっかけにした回避行動の方が、圧倒的に人は実行するように思います。
その観点から、DAOの社会実装を目指す最短距離は、様々な『回避したい問題』に対する解決策として打ち出すことが重要なのではないか
と考える最近です。

現代で言うところの労働や仕事
に関しては、最小限のコミュニケーションコストで完結するスタイルに進んでいき、管理手法としてDAOで提唱されている形態が一定の存在意義を見出される。

その先には、そもそも価値交換の方法や、あるべき姿そのものが変化して『価値観の変化』が起こり、そこで使用される価値交換ツールが、DAOで活用される分散管理されたトークンになっていき、それらの交換方法が自動化された環境で、人は生きていくことも可能な状態になっているかもしれない。

思考能力が衰えた自分に嫌気がさす昨今ではあるものの、朧げに見えてきた次のフェーズに向けて、AI様の力をフル活用して、DAO設計と進めたいと思います。

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