201900512_20代

20代の僕たちにとって本当に重要なこと

「人生は20代で決まる」という本を紹介します。僕は今27歳ですが、内容は非常に納得感のあるものでした。著者は若者向けのセラピスト業務をしている心理学者で、TEDにも出演されているメグ・ジェイという方です。

過去のセラピーの具体的なやりとりを取り上げながら、若者の悩みの実態と著者が考える道標について言及されています。今若者はどんなことに悩んでいるのか?そして、その悩みはどのように解決すべきか?セラピストとして、それを本人にどのように伝えるべきか・・?舞台はアメリカなので何もかも僕の感覚にマッチしているわけではありませんが、大筋は共感できる内容でした。自分は何がしたいのか?をよく考え、前を向いて生きていこうという気持ちを後押ししてくれる内容だったと感じています。振り返りも兼ねて、いくつか重要だと思った内容を紹介します。

こんな方に読んで欲しいです。
★20,30代で、これからの人生に漠然とした不安を感じている
★今の若者が何を考えているのかのヒントを得たい

「子供を育てる将来」に向き合う

30代から40代にかけて二つ変化する。ひとつは卵子の質の低下、二つ目は妊娠とその信仰をつかさどるホルモンシステムの衰えである。30歳になると妊娠率は20代の半分に、35歳で4分の1に、40歳で8分の1になる。

これは、女性の妊娠・出産に関わる情報です。昨今、日本では晩婚化が問題視されていることはご存知のとおりです。僕自身27歳ですが、友人の多くは結婚しておらず、肌感覚としても実感があります。だからといって、周りのみんなが結婚を望んでいないわけではないし、どちらかといえば「いつか子供欲しいな」と言っている人の方が多い印象です。子供はいつか欲しいけど、今の状況は十分楽しいし、無理をして結婚をしたいなとは思わないかな・・?むしろ焦って結婚して、失敗するほうが怖いなあ・・。僕もそんな若者の一人です。

一方で、30歳を超える頃から身体は大きく変化します。統計的に妊娠率は大幅に減少をする、ということです。実は、このような”情報”を多くの人は認識しています。けれども、あまり自分ごととして捉えることができていない。ふ〜んそうか、まあ自分は大丈夫だろう、というような現実味のない楽観視をしている人も多いのではないでしょうか。

著者から言わせると、これは「現在バイアス」という将来のリスクを軽く考えてしまうバイアスがかかった状態。特に、若者はこのバイアスに陥りがちである上に、周りも「まだまだ若いからね」のスタンスで接してくることが多いので、なかなか現実を直視することができず気がついた時にはもう手遅れになっている・・ということが王道の(王道では困るけれど)パターンだということです。

そして、僕は男性なので、(女性じゃないからセーフ)と心のどこかで思っていましたが、そうも言ってられません。なぜならば、30歳を過ぎて子供を生むということは、20歳で大学生、とてもお金のかかる子供に加えて、80歳を迎えた両親の面倒を見る、そんな時期が待ち受けているからです。両親の面倒を見ることそれ自体を僕自身ネガティブな負担と捉えているわけではありませんし、一緒に過ごせる時間は今後も大切にしたいなと思っています。が、やはり肉体は一つしかない中で、そのような状況に全く不安を感じないかというとそうではありません。恋愛に対しても、積極的に行動を始めるべきだと感じました。

「人生の現実の選択肢」に向き合う

人生には無限の選択肢があるように見えるけど、各々のバックグラウンドを踏まえると本当に現実的な選択肢はせいぜい6つくらいしかない。無限に感じる選択肢の中から何を選ぶかわからない状況を放置するのではなく、自分と真剣に向き合った結果、取りうる6つの選択肢の中から、最も良いと思う道を選択しよう。

ガツンといかれた主張でした。人生の選択肢は無限ではない・・。そして、同時に紹介されていたのがスーパーでの購買の意思決定に関する研究のデータです。スーパーに24個のジャムが並んでいるときにジャムが購入された確率が1.8%であるのに対し、6個のジャムが並んでいるときにジャムが購入された確率は12%である、という実験結果です。6個のジャムしかなかった方が、約6倍購入された計算ですね。行動経済学の文脈で紹介されることも多いようですが、直感的にはイメージしにくい結果です。

著者の主張は、人生の選択肢についても同じことで、多くの選択肢があるように感じるからこそあなたはキャリアに向けて一つの道を選択することに迷ってしまうのだ、というもの。無限に見える選択肢の中でも、自分の過去を振り返り、好きなものに素直になり、本当にやりたいことは何か?をよく考えるならば、あなたに合った現実的な選択肢はそんなに多くないでしょ?その選択肢の中から自分に合った目標を選んで、その目標に向けた一歩を今すぐに踏み出すべきなんじゃない?という内容です。

一方で、親から与えられるような「べき」の押し付けは設定すべき目標ではない、とも言います。二者択一を迫る「べきか否か=MUST」を根拠に目標を設定するのではなく、自分の本心「WANT」をもとに目標を立てる方が統計的にもうまくいくよ、という心強いコメントがありました。

「とりあえず同棲」に向き合う

まず同棲、はあたかも合理的な考えに見えるが、統計的にはまず同棲したカップルの方が結婚に対する満足度が低い。

意思を確かめ合う前に同居するカップルは、コミュニケーション不足に陥りやすく、互いへの関わり方も浅い傾向にある、ということです。同棲は、うまくいかなかったらやめればいいしちょっとやってみる?とカジュアルに始められる体験であるように感じる。一方で、現実的にはよっぽどのことがないと別れるのはそんなに簡単ではないし、実際に誰もがそういう決断をできるわけではない。そしてズルズルと関係が続いていき、時既に遅し、のタイミングでようやく別れたときにはもう遅い・・。そんなデータが突きつけられています。

私が20代に求めるのは、重要な事柄については妥協せずに本当に自分と会う人を探す方がよい、ということ。あえて選り好みをするべきだと思う。でも究極の理想的な相手を探し求めたとして、二人の間に生まれた子供が自分と相性がよくなかったらどうする?あなたが望むように行動してくれないとしたら批判して軽蔑するの・・?

著者はこの文脈において、選り好みすべき観点は、「価値観や人生の目標は共有できるか?」「パーソナリティが極端に違わないか?」「愛し合っているか?」の3点で、これらは特に重要だと説きます。世の中に100%確実なことなんてないんだから、他の決断と同じようにいろいろな要素を考えて自分の声に耳を傾ける。何が重要かをよく考えて、些末な問題に囚われず、先延ばしにせず真剣に向き合うことを推奨しています。

これらが20代にとって難しい理由

20代は、快楽追求な感情的脳は成熟間近である一方、前もって思考する前頭葉はまだ発展途上にあるそうです。その前頭葉の働きは、不確実な状況の中でいかに冷静に考えて行動できるか、という能力に貢献します。まさに「どんな仕事に就くか?」「誰をパートナーにするか?」「いつ子供を作るか?」というジレンマを乗り越える能力が発展途上であるわけです。

また人は、進化の過程の観点からも新規の事態に不意を突かれることに敏感にできており、それを強く記憶するようにできています。20代はとりわけ、他の世代に比べて失敗の記憶をそういうところに残しがちだということ。

そんな逆境の中で、白か黒かではなく、ベターな灰色を受け入れることが求められます。そのために、難題に挑戦して乗り越えよう、そして目標を設定しよう、と続きます。

不安と未知の要素を乗り越えていく自信は、恋愛においても仕事においても、現実の瞬間、特に難題に挑戦して成功した瞬間から生まれます。目標を設定することには、自分がどういう人間で、これからどうなりたいのかを主張するという意味合いがあるため、目標を設定すると幸せになりやすいのだということ。 

最後に

いかがでしょうか。僕はこの本を読んで、今自分は何に力をかけて生きていきたいのだろうか?を真剣に考えるきっかけをもらいました。そのために、少しずつではありますが行動を変えることができています。ぜひ、同世代のみなさんにも手にとってもらえたらなという想いで今この記事を書いています。そして、年配のみなさんには、こういった事実を鑑みて(説教っぽくならないように・・!)周りの若者に接してもらえると嬉しいです。最後に、一文を引用して終わりたいと思います。

よい人生を送るための公式はありません。人生に正しいも間違いもありません。でも、選択と結果は存在します。

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