見出し画像

会話の生産性を3倍にする「具体と抽象」

こんにちは、@tomiheyyです

先日、細谷功さんの具体と抽象を読みました。とても面白く実務に活用できる内容でした。今回は、特に業務上の会話やコミュニケーションに役立てる観点から整理してみます。思い返すと、私がこれまで一緒に仕事をしてきたデキるリーダー・尊敬されるリーダーはこれから話すポイントを押さえていたなと感じます。逆にできないリーダーには備わっていなかったです。その差は3倍を超えます(私調べ)。あなたの会社にも、必要最小限のコミュニケーションで同僚のモチベーションを高め、サクサク業務を回すリーダーがいませんか?思い出しながら読み進めてもらえると、より意味のある時間になるかと思います。

結論からいうと、「具体的かどうかは相対的だ」「好きな具体性のレベルは人による」この2つを理解し実践すると、コミュニケーションの無駄、そして無駄なコミュニケーションから感じるストレスをぐっと減らすことができます。それぞれ、陥りがちな罠の観点から説明します。

具体的に話して、の罠

本の内容を日常のコミュニケーションに活用するためには、このポイントを絶対に押さえておかないといけません。それは具体的であるということは相対的な概念である、ということです。

例を使って説明します。「猫」は具体的でしょうか?
猫は実在するし具体的なように思えます。一方で、猫は種別なので抽象的とも言えそうです。猫は具体的でしょうか。

正解は、猫は抽象的です。
…とはなりません。猫が抽象的か具体的かは、場合によります

スクリーンショット 2021-04-22 23.13.27

これは言葉の抽象度を階層化した図です。上にいくほど抽象的に、下にいくほど具体的になります。猫は動物よりも具体的です。集合で言えば、猫は動物に包含されます。猫は哺乳類よりも具体的です。一方で、猫はペルシャよりは抽象的です。ペルシャは猫の1つの種類なので、集合としては猫に包含されます。ここで言いたいことは、絶対的に具体的なものはないということです。つまりコミュニケーションにおいては誰にとっても具体的と感じられる説明はないのです。具体的と感じるかは人によるし、場合にもよります。

この示唆を業務中のコミュニケーションに置き換えるとどう考えられるでしょうか。例えば上司が具体的に話してください、と言ってきた時です。よくあると思います。こんな時「えー、具体的には・・」と自分の目線で考えてもスムーズなコミュニケーションはできません。なぜならば、あなたにとって具体的な説明が、上司にとって具体的な説明であるとは限らないからです。「いや、そうじゃなくて…」「え?(自分が具体的にって言ったやん)」のやりとりは、この点を理解して活用することができれば解消します。

会話がすれ違いがちな上司が具体的に話してください、と言ってきた時にはこの人は今、どれくらい具体的に話して欲しいのだろう?を意識することが大切です。また、会話がすれ違いがちな同僚に具体性のあるコメントをもらいたいときは、「具体的に話してください、例えば○○が○○ということ?」と聞くといいです。

小難しいこと言いやがって、の罠

これまで見てきたように、具体的な会話はケースバイケースであり主観的です。とはいえ、ある程度の普遍的な制約を理解することは有用だと思いますので、併せて説明します。人と場合による抽象度ですが、人によって理解できる抽象度のレベルと、好む抽象度のレベルはある程度決まっています

図にすると以下のようになります。A,B,C,Dさんがそれぞれ理解できる抽象度の幅を青い棒で表現し、好んでいる抽象度を黄色い星で表現しています。

スクリーンショット 2021-04-23 0.24.37

例えばAさんとBさんがお互いに相手のことを何も考えずに居心地の良い抽象度で会話をしてしまうと、AさんはBさんが何を言っているのかわかりません。「あいついつも小難しいこと言いやがって・・馬鹿にしてんのか!」となるのがこの状態です。この時Bさんは「この人ほんとに枝葉の話ばっかりしてるな・・」と感じています。よくありがちなシーンだと思います。この問題は、お互いが相手の理解できる抽象度と、好む抽象度を汲み取れていないことに起因します。

どうすればいいのでしょうか。実はこの問題を解決する方法は1通りです。BさんがAさんに合わせることでしか問題を解消できません。なぜならば、Bさんが自分の居心地の良い抽象度で会話していても、Aさんには理解できないからです。一方でAさんの居心地の良い抽象度の会話は、Bさんにとっては快適ではありませんが内容は理解できます。Aさんの立場からは、会話の抽象度を下げて具体的に話してもらうように働きかけるのが建設的で、Bさんの立場からは、自分から進んで具体的なコミュニケーションをとるようにするのが建設的な姿勢です。

このように抽象度のズレを解決する方法には一方向性があります。つまり「おれも譲歩してるんだからお前も譲歩しろよ!」という話ではない場合があるのです。このポイントを理解できないと、相手が自分のペースで話を持ちかけてくることに余計なストレスを感じてしまいます。人と話すときは相手にとって理解できる抽象度と好む抽象度を意識することが大切です

ちなみによくリーダーはストーリーテリングが大事だと言われますが、上記の構造がこの経験則の要因の一つです。ストーリーで語るとはつまり、具体的に話すということです。抽象的なコンセプトよりも具体的なストーリーの方が多くの人に理解してもらえるからこそ、人を動かす立場のリーダーにとってストーリーテリングが大切なスキルなのです。

一番大切なこと

コミュニケーションを効率化するための本稿の要旨は2つありました。
1つは「具体的であるとは相対的である。だから自分にとっての具体性ではなくて相手が求める具体性を想像することが大切」であること。もう1つは「人には理解できる抽象度の幅と好む抽象度のレベルがある。だから相手の理解できる抽象度と好む抽象度を慮ることが大切」であることでした。

どちらにも通ずるのは、相手に最もわかりやすい伝え方はなんだろうか、に寄り添ってあげるおもてなしの心だと思います。コミュニケーションがうまくいかない時には「これだからあいつは…」「あいつはダメだ…」と考えるのではなく「もしかしたら相手の苦手な伝え方をしているのかもしれない」と捉えることが大切です。あるいは「私には理解しづらい表現を使っていることに気づいていないのかもしれない」と捉えることが大切です。あくまでこれは違い・ズレなのだから自分から調整してみよう、という心がけがスムーズで生産性の高い会話に繋がると私は考えています。その辺りの心構えについては以下の記事も参考になります。併せてご覧ください。

また、本のリンクは以下です。

以上、ご覧いただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?