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新入社員に届けたい!WILL CAN MUSTが書けないあなたへ

最近、上司との目標設定の中で、WILL CAN MUST(以下、WCM)のフレームワークめっちゃ使いやすいな!と初めて感じたアハ体験がありました。一方、実は私がこの概念に初めて出会ったのは新入社員研修でした。人生で初めてこれ使えるな!と感じた時、私は社会人6年目でした。なんと5年かかりました。

この記事を読もうとしているあなたは、WCMが書けずに迷っているのではないでしょうか。この記事で主に伝えたいことは2つです。1つはWCMの中身に正解とかいい悪いはないこと。もう1つは、今すぐ書けなくても大丈夫だということです。

私も新入社員のとき、WCMを埋めて!自分にしかできないことを考えよう!と先輩に言われ、思いつかない自分に自信を失ったりしました。今考えるとそんなことで自信を失くす必要はありませんでした。これから、当時の自分に伝える気持ちで、何を誤解しているのか?どうすればいいのか?の順に説明していきます。

誤解①WILL CAN MUSTが書けないとヤバい

WCMを埋めてください!と言われると、そこに埋まる正しい何かがあるのだ!(あるはずなのに書けない…!きっと他の人や先輩は書けるのに…)と感じませんか?あるいは周りに見てもらい、う~んという顔をされたり否定的なコメントをもらうと、正しく書けていないのかも…と感じるかもしれません。実は、どちらも誤解です。

まず、正しいWCMというものはありません。WCMは問題ではなく、道具だからです。問題には正答がありますが、道具にはありません。この世によい道具はありますが、正しい道具はありません。野球を始めるときには、無暗にイチローと同じグローブを使うよりも、サイズの合ったグローブを選ぶ方が大事です。同じように、WCMも道具なのです。

では、よいWCMとはどういうものでしょうか?前提として、別に書けなくてもよい仕事はできます。一方で、WCMが書けると特に便利なシーンが時々あります。それはあなたがキャリアや仕事内容について人に効率的に相談したいときや、何か重要な決断をするときです。その時によいWCMはとても役立つことがあります。その役に立つよいWCMの条件は、あなたが心から納得できる内容になっていることです。心から納得できるものになっていると、人からもらえるフィードバックの納得感が高まります。また、自分の決断に自信を持つことができます。

誤解②自分にしかできないCANが書ける

まずはCANです。CANには自分にしかできないこと・強みを書いてくださいと言われがちだと思います。だけど日本には人口が1億人以上もいます。絶対的に自分にしかできないこと、なんてほとんどありません。そもそもCANに書くべきことは自分にしかできないことではありません

納得できるCANはどうすれば書けるのでしょうか。ただ書くだけであれば、CANに書けることは実はたくさんあります。おそらくあなたは呼吸が出来ますし、今の会社に出勤することができますし、カバンを買うことができると思います。でもそんなこと書いてもあんまり納得感ないですよね。誰にでもできるからです。

結論として、書いたCANに納得できるのはそのグループの中で発揮できそうな、相対的なあなたの強みが書かれたときです。例えばあなたは趣味でブログを書いていて、写真が撮るのが好きだとします。そして、メディアを運営する業務を任されます。そこではAさん、Bさんと3人のチームで、毎日1本の写真付き記事を作る必要があります。Aさんはライティング歴10年のバリバリのライターさんで、Bさんは好きじゃないけど渋々写真を撮っていたとします。この時あなたのCANには、楽しく写真を撮れることだと書けそうです。半年経ち、Aさんが育休に入りました。Bさんは記事のストーリーを作るのは得意ですが、自分で記事を書いたことがありません。この時あなたのCANには文章作成が得意と書けるようになります。

つまり納得できるCANは、目的と相対的な立ち位置によって決まります。今あなたは誰と何を生み出そうとしているのか?で変わります。そして、あなたが一緒に働く人は何が得意なのか?によっても変わります。

よく新入社員研修で、WCMを書かせる課題がありますが、研修でCANを書くのはとても難しいと私は思います。新入社員研修は基本的に、何かを生み出すことよりも学びを得ることに目的の重点が置かれていているからです。また多くの場合、研修を共にする同期とは最近知り合ったばかりで中身をよく知りません。生み出すべきものが曖昧でよく知らない人が多い新入社員研修は、納得できるCANを書くのに適した環境ではありません。

誤解③WILLはすぐに書けるようになる

次にWILLです。WILLにはあなたがやりたいこと・実現したいことを書いてくださいと言われることが多いと思います。ほとんどの場合、WILLが書けないと思う人の多くは時間が必要です。納得できる自分の思いというものは、時間をかけて考えることで醸成されるものだからです。

WILLを書くということは、絵を描くようなものです。絵は、うまい人やすぐに上達する人もいますが、苦手な人はなかなか上達しませんよね。とても個人差があります。だけど、ある程度の時間をかけて練習すればうまくなります。そしてある程度上達してうまく描けるようになった時、その絵は誰に評価される必要のない、オリジナルな絵のはずです。納得できるWILLを書くのもそれと同じで、上達に個人差があります。人によっては得意で、サッとできてしまう人もいます。でも決して、だからすごいわけではありません。苦手な人は時間をかけて少しずつ上達していくのです。何度も書き直して納得できるWILLを書くことができたら、人がなんと言おうとあなたの大事な財産です。

新入社員研修は、せいぜい1ヵ月程度の会社が多いと思います。それで時間が足りるのは人一倍才能がある人か、既に十分な時間をかけて自分に向き合った人だけです。

どうすればいいのか?

その前に、MUSTは?と思われたかもしれませんが、MUSTだけはなんとなく書ける方が多いと思いますので、割愛します。例えば研修の目的は多くの場合、配属後の仕事に役立つマインドやスキルを身につけて帰ることや自分を含むチーム全体の学び向上に貢献することです。また実際の業務につけば、上司や先輩があなたのやるべき仕事を説明してくれます。それが彼らの仕事だからです。

ここまで、WILL CAN MUSTを書く上での誤解について説明してきました。とはいっても書かないといけないんだよ!という気持ちもわかりますので、取り急ぎ、どうすればよいのかを説明します。

まずはCANの書き方です。CANを書くコツは1つ。周りの人に聞いてみましょう。前述のように、CANに書くべきなのはあるグループの中で発揮できそうな、相対的なあなたの強みです。あなたが周りよりも得意だと自負していることではありません。あなたがどう思っているかよりも、実際に相対的に秀でているのかどうか、がとても重要です。そして相対的なあなたのことは、あなた自身よりも周りの人がわかっています。人間の脳は思っている以上に、自分を客観視して他人と比べることが苦手だからです。でも、自分ではない他人同士を比べることは容易にできます。その特性を活かして、周りの人にあなたの強みを聞いてみましょう。そうそう!と思うものと、えーそうかな?と思うものと、どちらも出てくると思います。どちらも、実際に客観的に見たあなたの強みなのです。

次に、WILLの書き方です。納得できるWILLを書くコツは、先述のように絵を描くようなものだと理解することです。まずは練習だと思って書いてみましょう。なんか違うな、と思ったら、何が違うのかを深堀りしてみましょう。できるだけ、懲りずに何度か繰り返してみましょう。飽きたら筆を置いてしまっていいと私は思います書きたいと思った時に書くほうが捗るからです。自分のペースで書けばいいと思います。これから先、キャリアや人生に悩んだ時に書きたくなります。絵は描きたくなったら描けばいいのです。とはいえ、WILLの書き方、いわゆる自己分析にはいくつかの方法論が提案されていますので、書籍を参考にしてみるのも手です。山ほどありますし、合う合わないがあるのでここでは紹介しませんが、個人的に重要だなと思うポイントは2つあります。1つは過去のエモい自分を振り返ること、もう1つは自分で自分を偽らないことです。かっこ悪い自分の本心に気がついてしまった時に話をすり替えないこと。そのままの自分を受け入れることが近道になると思います。


当時の自分を思い返すと、つい熱が入ってしまいました。ぜひ、やった方が良さそうだから取り組むのではなく、自分の意思決定をより納得できるものにするために取り組んでもらえたらいいなと思います!

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