本番前の話。
もうすぐ本番です。今日の夜、ゲネです。
今電車に揺られつつ書いています。緊張と腹痛と戦ったりしているトミです。
こうなって仕舞えばもうあとは野となれ山となれダァ‼️などと思うこともなく自分にできることを出来る限りやらせていただこうという気持ちであります。
自分の書いた脚本を何度か「自分の芝居」と言う機会があったのですがどうもしっくりこない。脚本を書き上げた瞬間からもうどこか私のものではない気がしています。演出家さんが目を通して作品の良さを見出し役者さんと共に形づくり、音響や照明、衣装に舞台部の皆さんなどたくさんの人の協力のもと一つの公演へと向かっていきます。本当にえげつないことをしているなと思ったりするんです。色んな意味で。
ただ、みんなのものだから自分の芝居でないと言うことでもないんです。なんと言ったらいいのか。昔に捨てたと思っていた仮面ライダーベルトを見つけたような気持ちなんです。気恥ずかしいようなちょっと見たくないような、忘れているならそのままでいいけれどどうしてもなんとなく忘れられない。覚えたままでいる。でもなんか嫌いじゃない。そんな捨てたはずの仮面ライダーベルトのような気持ち。あ、仮面ライダーベルトで伝わらなかったらアンパンマン太鼓とかでもいいです全然。
確かに昔そのおもちゃで遊んでいたんですよね。忘れてるだけで。きっと楽しかったんですよね。それを私ではない誰かが
「これ、いいじゃん〜!」
と言って当時の私も知らなかった良いところを見せてくれるんです。仮面ライダーベルトで言うと隠し要素みたいなのがあるらしくて、そういうことですかね。違いますよね。はい。アンパンマン太鼓でいうと………ま、いっか。
ちなみに僕の家には姉のせいで捨てられない仮面ライダーベルトがたくさん残っています。押し入れが使えないくらいめっちゃあるので本当に早く捨てて欲しい。このように誰かのせいで捨てられない過去もあったりするもんです。………捨てたい。
公演後、信頼するあらゆるセクションの皆様が私の舞台をやってよかったなと思えたら嬉しいことこの上ないですが、すでに僕なんかはこのメンバー(座組とかいうのはまだ恥じらいが………)でここまで積み上げたことがだいぶ嬉しいんです。それがこれから大事な、捨てられない過去になっていくんだと思うと嬉しいようで切ないようで。本当にまたこの人達と色々やりたいな〜と思ってるんです。とっても。
ただここにいつまでも長居はできないみたいで。ならせめて本番前の時間くらいちょっとした話ができたらいいなと思います、親愛なる全ての人たちと。あと、面白いかどうかは観てみてのお楽しみですが。でも、なんとなくきっと。信じていたりするので。
ちょっとセンチメンタルな話をすると、本番はずっと前からそこにいてこの世界がビックバンで始まって(今の言説に従うとだけど)今日までずっと本番前だったんだなーとか思ったりするんです。そう考えるとずっと長い間待ってたんですよね。明日からの本番を。僕が待てた期間はたったの20年とちょっとですが地球は4600000000と数年待ってるんだからそりゃ楽しみだろうなぁ。
まだ見ぬ「本番」がこれからたくさんの人に待っています。演劇じゃない「本番」も待っています。もちろん僕にも。緊張するけど怖いけど。失敗もあるけど。それでも何か待ってます。遅いよ〜って言ってきっと何かが待っている。それは素敵なことだと私は思います。どんなことが待ってるとしても。そういう意味で本番が来ることを「楽しみ」にしています。
今は少しだけ泣きそうです。どんな涙かはナイショですがね。本番前の今だけはそんな風になったっていいんじゃなかろうか。地球だってそんなに短気じゃないんだから。
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