土曜日は買い物
妻と二人、近所のドラッグストアに買い物に行った。妻は洗剤を買うと言いながら、その売り場に向かった。
私は子供のように、お菓子コーナーに行き、そして次は大人のように隣のお酒売り場を見回りに行った。砂糖や塩気のあるお菓子、そして酒類。年齢別や、依存性の違いで売り場が並んでいる。ぼんやりしながらウロウロしていた。
洗剤その他をカゴに入れた妻がお菓子売り場に来て合流した。いつもパッケージの裏を見て「これはあかん、それもあかん」と言う。だから有効売り場面積は実際より狭くなる。いつものようにカカオ80%のチョコと、おかきをカゴに入れた。珍しく、毒物の瓶をかごに入れても却下されなかった。
2人でレジに並ぶ。順番が来た。値段が確定し、私は先にカゴを持って袋詰めのテーブルに移動した。3つあるうちの真ん中が空いていたので、おじいさんを通り越した真ん中で1人袋詰めを始めた。背の高いおじいさんだ。歳より若く見える。同じ青色のダウンを着ている。
妻はレジが終わり、遅れて袋詰めコーナーにくる。レシートを見ながらこっちに向かってくる。「なぁなぁ、割引きになってないよな?」ラフに聞く。
「え?」小さい声でこたえる。
家内がレシートから目を離さず、もう一度聞く。「お酒は割引きになってないよな?」
「え?」声が小さい。戸惑っている。
そりゃあ「?」とか「!」となるのは無理もない。
だって妻が話しかけているのは隣で袋詰めしている背の高いおじいさんだ。同じ青のダウンを着ているが、私ではない。私は隣から声をかけた。レシートから、やっと目線を外し、気づいた妻がそそくさと私の隣にくる。「早よ、ゆってよ!」と、やはり小声で言う。私は、おじいさんに「すみません」とひとこと謝っておいた。おとなしそうな背の高いおじいさんは「あ、うん」のような返事をし、バツが悪そうな感じで再び袋詰めを始めた。おじいさんは何も悪くない。
小さい幼児が間違えて、違うお父さんの手をつなぐのを思い出した。妻は若く見えるとは言っても、いい大人だ。おじいさんもビックリしたことだろう。
いずれにしても、ながら、というのは良くない。事故る。まだ袋詰めをしているおじいさんを残して先に店を出た。そんなに買ってないけど背の高い青のダウンの人が、まだつめているのが外の駐車場から見えた。