20240912

過去に老害と戦っていた武田鉄矢がいまや老害になっている。

鉄矢にとって一番の成功は幸福の黄色いハンカチに出たことで、一番の失敗は幸福の黄色いハンカチに出たことだ。
鉄矢は生粋のエンターテイナーだった。得意なこととやりたいことのベクトルが違っていたからだ。
違うベクトルに全力である。こんな滑稽で素晴らしいことはない。
だから僕は鉄矢以上のエンターテイナーを見たことがない。

俳優・武田鉄矢が嫌いな理由がまさにこれで、金八先生も星野達郎も片山元も全部が全部武田鉄矢のフラから出た人柄が出ているのだ。
生き様と生き方のベクトルが一緒なように感じるのだ。
そして生き様と仕事の方向が一致してるなんておもしろくもなんともない。

プライベートのエピソードを語られる鉄矢、ある年齢を過ぎた後にバラエティに出ている鉄矢はまたベクトルを180度逆方向に向かわせている。
それは悪役レスラーを演じるように。
世の中の共通敵になることを勝手に使命にしているかのように。

世界に愛されたいと願いながら愛されたら居心地が悪いのだ。
それが鉄矢なのだ。その鉄矢が愛おしいのだ。

鉄矢のことを考えない日はないように思う。
すべての作品を掘っているわけでも大ファンなわけでもないけどいつも鉄矢のことを思っている。
鉄矢が死ぬ日、とても泣くと思う。でも次の日にはなにもなく生活を送っている。多分そう思う。

豚の弁を心臓に入れている鉄矢。
吉田拓郎と坂崎幸之助のANNに出て楽しそうに話している鉄矢。
雨が降った日の鉄矢。
晴れた日の鉄矢。
嫌な夢を見た鉄矢。
同じことを2回言ってしまう鉄矢。

老害になったのではなく、老害になったのだ。
自分で選んだのだ、そう思うのだ。

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