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23 日本の美しさを学ぶ|歌川広重の名所江戸百景

46歳・女性・おひとりさまが、最高の50歳になるためにしたい100のことをやっていく体験レポートを書いています。

今回は23個目「日本の美しさを学ぶ|震災後の江戸を励ました、歌川広重の名所江戸百景」


どうせ円安で、海外いくの厳しいなら、日本の良さを学ぶチャンスにしちゃえばいいじゃん。

と思って、最近日本のことを調べている。

インテリアが趣味になって、日本の高級感ある和の魅力もわかるようになって、部屋にも、和のテイストを取り入れたいし。

私は、歌川広重の画集を1冊持っている。

去年、フランスで行った、モネの家で出会ったのだ。

一緒にいったセンスがいい友達が、モネの家のミュージアムショップで腕に抱えていたのは、歌川広重の画集だった。

「え? 広重買うの?モネの家で?」

「うん。だって、美しいんだもん。すごいよ、見てみて。」

ほんとだ。

モネの家だから、モネの絵しか見ていなかったけれど、友達が抱えていた広重の画集が、なんだか、とっても魅力的に思えて、私も欲しくなってきた。

「真似して、同じもの買っていい?」

「もちろんだよ!」

じゃあ、私も買っちゃう!

というわけで、私はフランスから、歌川広重の画集を持って帰ってきた

なぜ、モネの家のミュージアムショップで歌川広重の画集が売られていたかというと、モネは114点もの浮世絵の版画を持つ、コレクターだったのだ。そのうち48点が広重の版画だったそう。

私が買った画集は「名所江戸百景」というものだった。

江戸の名所を切り取った風景画。

大胆な構図が神。

そして、空の色のグラデーションの美しさよ。赤と青っていう反対色がどうして自然と溶け込むんだろう。美しすぎる。

広重はドイツの青い絵の具を使っているのが特徴的で、「広重ブルー」って呼ばれているらしい。

調べてみたら、この名所シリーズを出した背景があることがわかった。

この名所江戸百景は、当時、江戸に起きた直下型の大地震の後に、復興を願って描いた絵だったのだ。

安政江戸地震は、1855(安政2)年10月2日に発生。マグニチュードは7程度、震度6強以上あったと推測。江戸市中は壊滅状態となったんだって。

その地震の1年後に、復興を願って書かれたシリーズだったのだ。

私たちの時代も、大きな震災あったから、震災後の恐怖、不安、悲しみとか想像できる。

日頃の行いとか、努力とか、一切関係なく、ただ、ただ、偶然の采配で、命がなくなる。

時間とエネルギーをかけて作ってきた街がなくなる。

自然を前に、人間の無力を心底思い知ることになる。

変な噂に翻弄されたり、自粛警察が出てきたり、きっと同じようなことが当時もたくさん、いや、今よりもっと起きたであろう。

そんな中、1年後に現れる広重の美しい江戸の絵。

いったい、どれだけ励まされたことだろう。

こんなに美しいんだよ!

また復興できるよ!

立ち上がれるよ!

って広重の声が聞こえてきそう。

この名所江戸百景は、冬よりも、春の絵を圧倒的に多くの数を出しているのだそう。

春って希望だよね。

日本画の千住博氏が、芸術がもつ力について、こんなことを書いている一文があった。

全く違う価値観の時代でも存在しうる、歴史のふるいに残った芸術というもののすごさを、私は改めて感じました。
根本的な人間のレベル、真摯な人間存在というものに触れていたからこそ、どんな時代においても、どんな思想の人たちにおいても、どんな物の考え方の人たちにおいても、それは等しく芸術として機能していたのではないかということに気がつきました。

芸術として機能しているとは、つまり、人を励まし、癒し、元気づけるということです。

「モネ入門 『睡蓮』を読み解く六つの話」

広重の名所江戸百景は、まさしく、どストレートに人を励まし、癒し、元気づける作品だったんだろうな。


読んでくださり、ありがとうございます(^^)/
自己紹介&サイトマップもぜひ読んでください。


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