給与を自己申告する取り組みへの思い
9月と3月は、自己申告型給与制度をご導入いただいているお客さまのところで、給与額についての対話をファシリテーションすることが多くなります。
社員さんが給与を自己申告する取り組みを10年以上やってきて、私自身のお金に対する価値観が変わってきました。
給与を自己申告で決めるというアイデアは、実際に取り組み始めるずいぶん前から持っていましたが、なんとなくパンドラの箱を開けてしまうような不安があって、行動に移すまでには時間がかかりました。
給与の自己申告に取り組んでいる社員さんも、自分で給与額を決めるということにはかなりのプレッシャーを感じているとお聞きしますが、その背景には「給与額が自分の価値を表している」という思い込みがあるように思います。
その思い込みは、以前の私自身にも存在していて、それが「パンドラの箱を開けるかも」という不安になっていたのだと思います。
長年取り組んできて実感することは、給与額は人の価値を表すものではないということです。
お金というものが生活を営む上で必要で、そのお金を主に給与という形で得ることになっている社会の仕組みなので、仕方なくなんらかの方法で給与を決める必要があるだけです。
じゃあ、お金というものがない社会になったり、ベーシックインカムのような生活に必要なお金を得ることへの心配がなくなったら、かなり安心して暮らせる社会にはなるとは思いますが、根本的な問題は残ってしまうような気がしています。
お金の存在によって生じた感情が、カタチを変えて生じるような気がするのです。たとえば、SNSでのフォロワーやいいねの数や、友達の数などの他者と比較できる数字によって。。。。
もしそうだとすると、一人ひとりが自分の内面としっかり向き合って、自分が望む人生を描き、他者との比較ではなく自分の心に正直に生きていくことが大切なんだと思います。
そんな思いがあって、自分の人生における仕事や給与の意味について向き合っていただくきっかけになればと願って、自己申告型給与制度に取り組んでいます。