私の人生を変えたドラマ
みなさんは、ドラマの影響でその後の人生が劇的に変わったというような経験がありますか?
「テレビなんて最近見ないし」とか、「ドラマなんてどうせ現実世界ではありえないし」的な理由で、深く考えたことはないかもしれません。
実は私は一つのドラマで人生が劇的に変わりました。
今日は、そのドラマについて紹介したいと思います。
人生を変えたドラマ『ドク』
私の人生を変えたドラマは、1996年安田成美さんと香取慎吾さん主演の『ドク』です。
ベトナム旅行中に出会った男性と、日本の日本語学校で再会し、恋に発展していくというドラマです。その中に、日本に滞在する外国人が抱える悩みや問題も取り上げられています。
中学生の時、私は海外留学したくて悶々としていました。
理由は単純で、海外に行ったらかっこいいから。笑
そんな陳腐な理由では両親に話しても鼻で笑われるだけで、まともに取り合ってもらえません。
もちろん金銭的に無理だったという理由もあったと思います。
しかし、中学生の時の私は金銭的な問題なんて知ったこっちゃありません。
海外への憧れを持ちながら、ただひたすら英語の勉強を頑張りました。
でもなかなか上達しないことにも焦りを感じていました。
日本語教師という職業を知る
そして高校生になり、このドラマに出会います。
忘れもしない高校2年生の春。
水泳部の合宿所でみんなでドラマを見始めました。
当時、私が住んでいた地域はフジテレビがなく、半年遅れ、しかも別の局の夕方ぐらいにやっていたような気がします。
安田成美さんは日本語教師の役柄。
「日本語教師って何?」
私はその時に日本語教師という仕事があることを初めて知りました。
その時の衝撃は相当大きかったことを覚えています。
「日本語を使って、海外で働けるんだ!」
海外に行きたいという夢が一気に広がって行きました。
そして、英語が伸び悩んでいた私の唯一の得意科目が国語。
まさに日本語教師にぴったりなのではないかと思った瞬間でした。
「留学させてもらえないなら、自分で仕事で行けばいい!」
そう決意したのです。
高校2年生の時でした。
あの時、あの時間にドラマを見始めなければ、今の私はいなかったかもしれません。
それからの私は英語の勉強もそれなりに頑張りながらも、国語を一生懸命勉強しました。
大学も日本語学科がある大学に入学し、夢に向かって一直線でした。
日本語が分からないから大学で勉強するんだろ?
大学に合格した私は、親戚中に「日本語が分からないから大学で勉強するんだろ?」と言われました。
当時、本当に日本語教師という仕事の認知度は低かったのです。
これから大学に入るのに、毎日のようにバカにされ、流石にイライラしていましたことを覚えています。
日本語学科でも日本語教師になる人は少ない
毎日バカにされていた生活も終わり、大学に入学。
ワクワクして授業に参加するも1年生の時は散々でした。
なんせ日本語関連の授業が少ない。
どこの大学もそうだと思いますが、教養科目ばかり。
本当にやりたかった日本語の勉強は、「日本語学概論」ぐらい。
正直、なんで入学したのか1年生の時は悩みました。
それでも2年生からは「文法」「音声学」「意味論」「比較文化論」など、興味のある授業を受けられるようになり満足していました。
私は日本語教師になるという夢の実現のため、毎日楽しく、時にサボったりもして過ごしていました。
しかし、卒業間近になってあることに気が付きます。
実際に日本語教師になる人が、思いの外少ないということ。
私の所属する日本語学科には40名程度の学生がいましたが、当時日本語教師になったのは私ともう1人だけ。
今もそうですが、日本語教師は海外、それも比較的経済的に豊かではない国の人を相手にすることが多く、収入が極端に低いのです。
その現実を目の当たりにし、大抵の人が別の仕事につきます。
「やりがい」を取るのか、「安定」を取るのか選択に迫られる瞬間です。
それでも私は夢を取り、教授の勧めでメキシコへ行くことになります。
そして、安月給問題や、やりがいの搾取と戦い、今も日本語教師を続けているのです。
海外の日本語教師は外国人にとって初めての日本人かもしれない
あるイベントで大使館の文化担当官の方がこんなことを言っていました。
「学習者にとって日本語教師の皆さんが初めての日本人かもしれません。みなさんから日本語を学び、日本が好きになり、それが家族や友人に伝わります。するとそこから旅行者が増えたり、日本の製品を買ってくれたり経済にも影響してきます。日本語教師の皆さんは、日本語を教えるだけではなく、日本の経済にも強く関わっているんです。だから、この仕事を誇りに思ってください」
私はこの言葉を聞き、とても勇気づけられました。
日本語教師は意外にも日本に貢献しているんだと気がつくことができました。
まとめ
『ドク』は私の人生に日本語教師という仕事を教えてくれたとても大切なドラマです。
私世代の日本語教師の人は、結構共感してくれる人が多いのではないでしょうか。
今日は『ドク』から影響を受けて人生が変わった過程を書いてみました。
みなさんもそんなドラマに出会えますように。