20年ぶりに親に本を買ってもらった話
思い返せば、修学旅行でも新婚旅行でも鳥の写真を撮っていた(しかもカモメやスズメなどの割とノーマルなヤツら)。
高校時代に仲が良かった友人からはトリさんと呼ばれていた。(これは私の唇が尖っていてクチバシのようだったかららしい。私は結構気に入っていた。)
私は鳥が好きである。
夫の海外単身赴任により、昨年から私の実家に息子とお世話になっている。結構な田舎での暮らしに加えコロナ禍により、近くの農道をやたらと歩く日々である。
特に何もないと思っていた家のまわりが、最近やけに楽しい。
トンビの巣が近くにある。実家は縄張り圏内らしく、毎日頭上を飛ぶ。少し前に子供が産まれたらしく、最近ではもう飛び始めている。
ピーヒョロロー(これは親。鳴き方に迷いがないし、声も大きい。なにより言い間違えない。)
ピーひょろ〜 (最近デビューしたお子。声が小さいし、たまに噛んでる。息子がいる身としてはぜひとも応援したくなる。)
さらに、いつも2羽のカラスがちょっかいをかける。トンビが応戦する時は違う鳴き方。ピーピピ!ピーピピ!鳥の空中戦は、人間からすると落ちないかハラハラするが、杞憂なんだろうか。
川や田んぼでエサを狩る時は羽を少し曲げて一気に急降下。このフォルムがかっこいい。iPhoneの待ち受けにしたいのだが、早すぎて写真を撮るまでいかない。
まだ歩かない息子を抱っこ紐に装着し、トンビを追いかけまくる。もはや息子のための散歩ではなく、私による私のための散歩 with息子。
トンビもウザかったのだろう、一度2メートルほどの距離まで詰められて慌てて逃げたこともある。
そして、トンビだのカラスだのと毎日家で話のネタにしていたら、私の親が、鳥の図鑑を買ってきた。親に本を買ってもらうなんて、20年ぶりぐらいだろうか。(いや、勝手に私が買ってもらったように書いているが、表向きは孫のため。)
小学館図鑑neo 鳥
名作である。
ちなみに、別の友人にこの話をしていたら、先日公園で鳥に追い回されたらしく、何の鳥かの質問が来た。カワウだった。さっそく役に立って嬉しい。
これから図鑑も1冊ずつ揃えていきたいなぁ。
分厚い図鑑を見ていると、息子はこれから何に興味を示すのだろうかと思いを馳せるようになった。無限の可能性とはよく言ったものだが、よく言うフレーズ…として特に意識もしてこなかった。
息子を産んで、最初に思ったのは、『え、無限の可能性ってこの存在のことだよね?え、冷静に考えて凄くない?言語も思想も身体も心も今から何とでもなる!え!!なんて凄いもの(ヒトだけど)を産んでしまったんだ私は!!』である。産まれた感動とかすっ飛ばしてしまった。もちろん最愛の息子である。
というわけで、改めて、息子には好きなものを伸ばしてあげたいと切に願う日々である。
と同時に、親も私にそう願ってくれているのだと図鑑を買ってもらって気付いた。いや、これはずっと前から知っているけれど。時々(ほぼいつも)重いぐらいに私たち兄弟のことを優先し尊重してくれている両親。しかも現在進行形で。ありがとう。
子を産んで改めて思うことは、親になるのも一歩ずつ。
毎日バタバタだし、私の再就職やら保育園やら、夫の単身赴任やら、色々あるけど、一歩ずつ進んでいこう、と本を買ってもらって、改めて思う。