注射が嫌いなのに献血する
私は定期的に献血に行く。しかし注射は苦手だ。
行く理由はひとつ。
小さな成功体験を得たいからだ。つまり自己評価が低い時によく行くのだ。
初めて行ったのは、就職活動中。全然うまくいかず、友人も決まってきていてかなり焦っていた。気分も上がらないし、遊びにも行けない。(これはそう思っていただけで後から考えると気晴らしに行くべきだったのだろうが。)どうにかして自分のテンションを上げないと…と思っていた。
今でこそ少し慣れたが、病院や薬・注射など、昔から苦手だった。特に薬は、これぞ人工物!と過度に主張するような形や変な味、すべてが嫌で子供の頃からそれを飲ませたい母親との格闘だった。余談だが、錠剤も飲めなかった私はピンキーというタブレット型菓子で夜な夜な丸飲みの練習をしていた事もある。
小学生の頃は学校の健康診断で採血があり、血が出て行く様子をじっと見ていたら、クラクラと貧血をおこした。
おばあちゃんが入院した時のお見舞いも、総合病院の廊下の独特の匂いと雰囲気が、鬱々とした気分に勝手にさせられて泣きそうになった。(おばあちゃんは今は元気。)
出産を経た今、体調が良くなるなら薬も頑張って飲みます、医師や看護師の皆さんありがとう、いやほんとに文字通りお世話になりました、医療ってすごいよね、ありがとう!みたいなスタンスだが、社会人になるまではやっぱりどうしても苦手だった。
そんな就活に迷える私が、いつもの帰り道、広告がふと目に留まり献血に行ってみようと思ったのだ。
内心めっちゃ怖い。知らない事をする時って勇気がいる。いやいや、別に嫌なら無理して行かなくて良いんだよ。けど。一回やってみようか、それから判断してみようか。…というチャレンジ精神が就活に必要か?これは面接のネタになるのか?と、就活に思考回路を乗っ取られてしまった私は無事にあっさり献血を終えた。
スッキリした。(あ、もちろん血を抜いて、という事ではない。)
出来ないと思っていた事が、少し勇気を出したことで出来たのだ。
私は注射が嫌いなんですよ!なのに献血してる!私ってすごいよね!満足!!と献血ルームで叫びたいぐらいだった。(実際は、献血後も安静にしていないといけないので、一人でじっと座って雑誌を見ていた。)
低迷していた自己評価が少し上向きになった気がした。
当時の私は、自信があるものとないものの差が激しかった。
そして一度ダメだと思い込むと、途中で修正することも出来ず、ダメだと思ってどうにかすることもしていなかった。
人から見ればたかが献血をしただけの話だが、私にはかなりの「突破」だった。なんだ、私出来るんだ。大丈夫だ、と安心した。
そこから就活が少しずつ変わった気がする。もちろん当時の彼氏や友人、先生の助けもあったが、気持ちに余裕が出た。結果的に希望職種で内定も出た。
定期的に献血に行くのはこういうわけである。
最近は献血自体楽しくなってきて、「あ、献血行こう」ぐらいの気分で行く事が多いが。
結果的に社会貢献にもなるし、よく続いてると思う。
※なんだかPRみたいになったが、まったくもって関係はない。
妊娠出産授乳、ひと段落したし、そろそろ献血にも行きたいなぁ。