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【チェリーの薔薇の秘密】1部 ~寒い冬~

第1部 寒い寒い冬~バラ王国からの使者

そんなに遠くない昔のおはなしです。
ここは、「チェリーの庭」と呼ばれる、
それはそれは、きれいなバラがさく公園の一角にある庭園でした。

なぜ、「チェリーの庭」なのか?
あるたいくつな人たちは、サクラ/チェリーの並木道にそれたところにバラ園があるので「チェリーの庭」と呼ばれているといい、ある人たちは、目を輝かせて、「ある子猫のチェリー」が勇気を出して起こした行動がきっかけで「チェリーの庭」と呼ばれたと訴えています。

その子猫チェリーがどうやって勇気をふりしぼって行動をおこしたのか?
をこれからお話しします。

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ここのチーズは、とても有名です。
冬は寒いのです。
雪もふります。
ある地方ではひょうもふってきます。 
街の人々は、とても音楽が好きでした。
おじいさんからおばあさん、こどもから若い男女まで、毎年、春になるとこの公園で音楽演奏をしながら朝まで踊り続けるのです。  

春にはきれいな花が咲いて、蝶やハチやいろいろな生き物が生きる楽しみを楽しんで踊っているのです。

ブラスバンドが何バンドもあって、大きな大会もここで行われます。
ここからそんなに遠くない所にマンチェスターという工業都市もあります。 

チェリーのお父さんはマンチェスターで生まれました。今は、事情があってお父さんはチェリーといっしょに暮らしてはいませんでした。お父さんの弟のジェフおじさんとミョミョねえと3人でこの街でくらしていました。

ある朝、誰もまだ起きていない朝靄の丘。
鳥たちが起き出す前のほんの一瞬。 静かな寝息が聞こえてきました・・・ 

Zzzz-- Zzzzz--

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真っ白い外の空気に何回も白いペンキをぬったために、窓じたいが重くなってしまった白い窓枠の窓ガラスがくもっています。くもった窓ガラスに水滴がひかってキラキラと宝石みたいにかがやいています。 

窓際の机の上でポンポンポンと白いしっぽとグレーのしっぽが音をだしながらじゃれあっています。 

ポンポン・ポン、ポンポンポンと次第に音がおおきくなって、2本のしっぽがまるで兵士の剣の立ち会いのように、くるっとからんでけんかになってしまいます。 

「おねえちゃん、やめてよ!」

「しっぽがからまって、またとれなくなっちゃうよ」

と白い子猫がいいます。 

いつもおねえちゃんから、しかけてくるのです。 

「な~にー」
シルバー柄のミョミョねえが眠たそうに返事をします。 

「おねえちゃん、しっぽでたたくのやめてよ!いい気持ちで寝てたのに」「あと、コンコン、コンコンいきおいあまって窓をたたくのもやめて」

白い子猫は少し怒り気味でミョミョねえにいいます。そんな時、いつも真剣で、興奮して鼻のあたまがピンク色にそまります。 

おかあさんに甘えた時でもその鼻はみごとにピンク色になります。 
そんなわけで、この白い子猫はチェリーと呼ばれていました。 

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【~バラ王国からの使者~】

「こんにちワ、コニャ~にチワワ」 
窓の外からかすかな声で素っ頓狂なトーンの音が聞こえてきます。
ミョミョねえの耳は、パッと立ちました。でもチェリーの耳はスコテッシュフォールドなのでまがって立っているように見えません。 


「おねえちゃん、今の何?」

「なにかしらね」

2人は水滴のついた窓ガラスをしっぽでぬぐいながら外をのぞきこみました。 

うすぐらい光の向こうに四角いカードのかげがうつっていました。

その影はだんだんはっきりとして、

トランプのカードの身体におおきい頭に、大きなひげ、右手には旗やりをかかげて、その旗には真っ赤なベルベットでバラの紋章がかかれていました。 

「私は、バラ王国 女王メアリーローズから使われてきた秘密24時50分の1省ミッション遂行部綜合隊長の“ジャック・ザ・カード”である!!」 
トランプダイヤ
「にゃにゃニャ長い名前・・・ひみつ24じごじゅー・・・カード・・・」とミョミョがいいました。

「私は、秘密24時50分の1しょしょ・・・ション遂行部綜合隊・・・“ジャック・ザ・カード”!

「あらあら、ちゃんといえないじゃない」とミョミョねえがひややかな流し目でチェリーをみます。キョロキョロ

「なにしにきたの?」チェリーがききます。


「私は、バラ王国の女王Queen Mary Rose からのメッセージを街のみんなに伝えに来ました」

ジャック・ザ・カードは、とても丁寧に紳士的におじぎをしながらチェリーとミョミョに説明し始めました。

・・・

「去年の冬は、とても寒くバラ女王様が病気で寝込んでいます。その病気の原因を調べる為に全世界からいろんな医者がきて診療したのですが、これといった原因が見つからないのです・・・」

「ただ、あなたの街のカエルぴょこ2ぴょこぴょこん博士…失礼しました!ファウスト博士がいうには、これは連鎖反応というもので

寒いと蝶やミツバチが起きだしてこない、

彼らが起きださないと女王様がおきない、

女王様がおきないとバラが咲かない、

バラが咲かないとみんなの笑顔が消える、

みんなの笑顔を消えると太陽がその街にでてこなくなる!

太陽がでてこないと街は寒くなる、

寒くなると蝶やミツバチがおきてこない・・・」

「この繰り返しなんです。もっと悪くなるとみんな灰色に固まってしまう、灰色に固まってしまうと・・・ああ、おそろしい、おそろしい・・・考えたくもないです。」

ジャックは、キョトンとした二人を前に続けます。

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【長くてナンセンス】

「まったく、長くてナンセンスな話だわ」とミョミョがいいます。

「でも、これは本当のことなんだ」とジャックがいいかえすと、

チェリーは、「じゃあ、どうすればバラ女王がおきだして、また街にきれいなバラをさかせることができるの?」と真剣にききかえします。

「この街で何十年も前にも寒い日が続いたとき、同じようにバラが咲かなかった。今のバラ女王がまだ少女の頃だったんだけどね。」

「クイーンズマザーがやはり病気だった。今度の病気とはまったく違っていて、病気だったけどクイーンズマザーはいつもゲラゲラと笑っていたのだよ!」

「おなかがいたい、おなじゃがいたいと言いながら、笑っているから街があかるくなると思うかい?!

ところがその逆なんだ!

それを見たまわりのみんなが、かわいそうだって、暗くなってしまって、ひとことも喋らなくなってしまったんだよ…」

ピクチャ 2


ジャックの小さな口ひげか、ゆれるたびにミョミョねえは、飛びつきたい衝動にかられそうになり、しっぽを横にフリフリしています。

「王国の大使たち総動員で、あらゆるところへ行って治療法を探したんだ。」とジャックは続けます。

「でも、だめだった。王国で沈黙の日が続き、クイーンズマザーの苦しそうな笑い声が響いていくと、外の街の方に影響がでてきたのさ。」

ガーン

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「世界は王国の沈黙がはじまってから、同じように静かになって行って、雲がだんだんあつくなってきて、太陽が届かなくなっていた。寒くなって、だんだんとみんなの心もさみしくなっていって、町中が灰色になって、みんなの心は本当に固まって行ったんだ。」

そして、ジャックの目が突然、かがやきながら、二匹の猫に語り続けます。

「…そんな時、ある勇敢なオス猫がみんなのために自分が何ができるだろうって、考えて・・・というか?私が思うに、その勇敢なオス猫のご主人様が、あまりにもふさぎ込んで、ご飯もろくに作ってくれなかったんだろうね!そんで、そいつは“こりゃヤバいぞ”って思ったんだろうね~」

「ピエロのかっこうをして仲間達と楽団をつくって、みんなの笑顔を取り戻そうって、一軒一軒みんなの家をたずねて訪問の演奏をはじめたんだ!」


【ネコの楽団】


「ピエロのかっこうをして仲間達と楽団をつくって、みんなの笑顔を取り戻そうって、一軒一軒みんなの家をたずねて訪問の演奏をはじめたんだ。」

「みんな、最初はなんだい、何しに来たんだいっていってたんだ!」

「でも、彼らはくじけずに街を2週間も歩き回って演奏をし続けた!」

「そしてある日、いじわるなカラス軍が彼らをからかったり、かれらの楽器をいじくっていたずらをしていたんだ。カラス達は電線の上から彼らを見下ろして、ゲラゲラ笑っていた。 そのオス猫が、自分よりも何倍も大きいベースバスという楽器をおもいっきり、ありったけの力でふいた時・・・ブワッオ~ンって!!」

「そうさ、あまりにも強く吹いたもんだから電線にのっていたカラスの羽が全部吹き飛んでいった!」

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「すると、どうだろう、それを見ていた街の農家のおじさんが大笑いをした!ものすごい大きな笑い声は、街の中に響きわたった!」爆笑笑い泣きニコニコ爆笑笑い泣きウインクニコニコ

「そして笑顔が街中に溢れ出したんだ!」 

「笑顔が戻ると太陽も戻って来て、蝶やミツバチが起きだしてマーチをしはじめた!」

「そして、今までで一番のきれいなバラが咲いたんだ!」


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【グリーン・アイド ・キャッツ&ロンリーハーツクラブ・バンド】

ジャックが話おえると同時にチェリーが自分の鼻をピンク色にそめていいました。
「ねえ、そのオス猫は、あたしたちと同じグリーンの瞳とながいまつげ、長くて長くないようなしっぽをもっていた?」

「うーん、そうだねー、私はその話を今の女王様から聞いたので実際はみていないんだけど。グリーン・アイド・キャッツ&ロンリーハーツクラブ・バンドって彼らが名乗っていたみたい・・・」

「フン、どうせ作り話にきまっているは全部!」とミョミョねえは関心なさそうに、 水飲みおけの近く去ろうとしました。

「あたしは信じるよジャックさん」チェリーは独り言のようにつぶやきました。

「おかあさんが言ってたもん。ひとりひとりに大切なしごとというものがあって、そのためひとりひとり生まれて来たんだって。チェリーはまだ、わからないけど、その大切なしごとをするために、あたしはここにいるし、あなたとも出会えたんだと思う。」

ジャックが聞き逃さずに言う。「白いお嬢さん、それはネ、“使命”っていうんだ。"大事なもののために命を使って、立派に生きる事"。って、女王様が言っていたな~!」

「チメイ?」

「チメイではなくて、シメイ!ね」
「さあて、私はお邪魔するとしよう。」とジャックは立ち去ろうしました。「きみたちには伝えたからネ、みんなにこのことを伝えておくれ」

するとすくっとミョミョねえが立ち上がっていいました。

「なんで、私達がそんなことしなきゃならないの!全然関係ないじゃない」「だいたい、なんで人の家にきて、勝手な話、バカげたはなしを伝えなきゃならないの?伝書鳩たちにでも伝えた方がいいんだわ・・・」 

ミョミョねえがいかりながら言いながら、低いうねり声を上げました。

ジャックは何か想い出したように腰につけていたズタ袋に手を伸ばしていいました。

「ああ、そうだ、そうだ。忘れていたよ、これはバラ女王からの贈り物だよ。これがシルバーのあんたに、そしてこれが白いお嬢さんに・・・」 

ミョミョねえは、キョトンとしながら、肉球の上にあるものをみました。

それはクリスタルでできたトロンボーンのマウスパイプと呼ばれている部分そっくりそのままでした。

「何これ?クリスタルはいいけど、私のネイルのデコレーションにもならないわね。でもきれい。そして、なにかとても落ち着くわ。」


【クリスタルのオルゴール~第1部終り】

チェリーがもらったものは、クリスタルでできたオルゴールでした。全部クリスタルなのですがハンドルのところだけ、金でできてます。音をならそうとハンドルをまわしますが音がでません。 「ねえ、ジャックさん。これは音がでないみたい。壊れているのかな?」とチェリーが言うとジャックが目をひからせながら答えます。「それは、こわれているわけじゃないんだ、白いお嬢さんがあることをすると素晴らしい音色で音楽をかなでてくれるんだよ! 」

オルゴールふたを開けるとそこには、少しくちゃくちゃで汚れた紙がはいっていました。それは、譜面のようでした。

??????

「あることって何?この楽譜にも関係があるの?」

「そのあることってのは、自分で見つけなければならない、大事な事で、オルゴールが動くにはそのある事が必要になってくるんだ。」とジャック。

ミョミョねえが「謎解きなのね?私も謎解き好きだけど・・・この楽譜は、本当に楽譜なの?まるで現代音楽家のなんていったかしら、ドイツ人のカールハインツなんとかの作品みたいじゃない。それともなんだっけミュージックコンクリートジャングルの、えっと、えっと・・・」と言い終える前に、風がすっと窓から吹いて来てカーテンが大きく揺れました。窓わくを見るともうそこにはジャックはいませんでした。 

そしてチェリーは、窓の外に暗くあつく街を覆っている雲を見上げて何かブツブツいいはじめました。

つづく

第1部終わり

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・・・購入ありがとうございます・・・
この物語の背景には、私のイギリス在住時の思い出と数年前まで飼っていたチェリーという猫とみょみょという実在した😹子たちがまだ元気だった頃に書かれた物語です。 
その後、外猫さんたちの面倒をみて、保護猫エイミーが去年2019年より家におります。
まだまだ未完成のところもあり、未熟ですが、こんな大変な時期であるからこそ続けていこうと思っています。
この世界観の絵を描ける方を探しています。絵があると素晴らしい作品になる確信しています。もし、推薦される方のご紹介や絵を描いてみたいという方がいれば
と思っております。

追伸

そうだ、私の音楽活動も紹介しておきます。私の人となりがわかってもらえばと思います。 TOM DANTE(トム・ダンテ ) という芸名でやっておりました・・・やっております笑

ノイズ風テクノバンドのファーイースティーンは、イギリスの小さいレーベルからシングル盤も出しているんです。

https://fureasteen.wixsite.com/fureasteen

付録

登場人物:
★チェリー Cherry the Cat/スコティシュフォールド/白猫
★ミョミョねえ MyoMyo the Sister cat /ブリティッシュショートヘア/シルバータビー
★ジェフおじさん Uncle Jeff the Cat/シルバータビー
★ガチョウのレンくん/Ren the gander/白黄色
★ファウスト博士(かえる)Dr. Faust the frog scientist科学者/緑
★ブタのピート Pete the Pig /肌色
★羊のロニー Ronnie the Sheep/白
★ミリーおばさん Milly the Gooseレン君おかあさん/
★ガチョウ4兄弟 Gander 4 brothers
★牛のモォ Moe the Cow
★ロニー3羊兄弟 Ronnie’s 3 brothers
★ピート豚姉妹 Pete’s 2 pig sisters
★ジェフの子猫兄弟 Jeff’s 2sons and 1 dauter kitten
バンドメンバー★

グリーニーおじいちゃん Greeny the Gran /ブラウンタビー
アップルおばあちゃん Apple the Granma /白

薔薇王国の人々
ジャックカード<ダイヤのジャック>/Jack the card
薔薇女王/Queen Rose
薔薇女王の母/Queen's Mother

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トム・ダンテ/Fureasteen/だてあさいち
こんなコロナ禍の中、大変な中にサポートをいただいて、ありがとうございます。活動を円滑にさせるを準備金にいたします。録音機材や画材に使うつもりです。