【チェリーの薔薇の秘密2】 2部 冒険のなかま
5、リトルベア・コールド・ヒムセルフ・ハギス
「わっ、わっ、わっー、なんだスなんだス!俺らのこと食べに来たデスかー!
オラおいしくねっすよー」
その毛むくじゃらはピョンと飛び上がって、大きな木の影にかくれました。
木の影にかくれた毛むくじゃらにチェリーが声をかけます。
「ねぇ、ねぇ、わたしたちは、あなたのことを食べやしないわよ」
「・・・・」
「そんな毛むくじゃらだったら、私たちでも遠慮するわ」とミョミョねぇが
小さいポシェットを持ち替えながらいいます。
「私はササミ以外が食べない主義だしね・・・」
毛むくじゃらは、大きな木の影から大きな眼でこちらを見ています。
「・・・・」
「オメェたちは、あのだましクロネコでないのか・・・・・・・
そっか、黒くないわな・・・それにそんなに大きくねぇしな」と毛むくじゃらは木の陰からそっとよってきました。
しばらく、じっとチェリーたちを見つめていいました。
「ちっせぇ、猫でねぇかー・・・あらら~、これは、これはしつれいしました。」
毛むくじゃらがその全身を見せると、
ミョミョねぇが「あんたいっぱい毛が伸び放題でお目目がみえないんじゃないの!」と
毛むくじゃらに近づいていきました。
チェリーも毛むくじゃらに「あなたのお名前は?」と問いかけます。
「ハギス!・・・おめぇたちの名前はなに?」
「私はチェリー、こっちは私のおねえちゃんミョミョ!」
ハギスは、チェリーたちの前にある大きな荷物を見て、一歩前に出てきました。
「チミたちは、これからどこに行くの?そんなにいっぱい荷物もって!」
「バラ王国。バラの王女に招待されて行くんだけど・・・」
ハギスは大きな眼をもっと大きくして
「いいねー!オラのにいちゃんたちも招待されて、昨日出かけていったんだ・・・オラもいきたかったのに!」
チェリーとミョミョねぇは、顔を見合わせました。
「ねえ、ハギスさん、私たちは途中でいろいろあって、迷子になってるの!
ハギスさん、バラ王国までの道知ってる?」
「あー、一回だけもっとオラが小さいころ、おかあさんたちの演奏旅行についてったんだ
・・・わかってるつもりだよ」
チェリーは目を輝かせました。
「じゃー、決まりネ!ハギスさん、私たちをバラ王国まで連れてってくれない?」
と言ったとたんに、毛むくじゃらハギスは、突然、大きな木の後ろにパッと走って消えました。
「何よ、あの子」とミョミョが言うなり、
ガサガサと言う音と共にもどったと思ったら茶色いボディーのギターを持ってきました。
「それ、ギターでしょ!チェリーたちのパパも持ってたよ。」
「オラの荷物はこれだけ!さー行こう!にいちゃんたちには、迷いネコさんを
連れてきたんだって言えば、怒られないシネ!」
ハギスは毛むくじゃらの頭を振り乱しながらしゃべりまくります。
「ねー、その前に何か弾いてみてよ!」ウキウキしながらチェリーは、ハギスに頼みます。
「あんま、うまくねぇけど・・・」
ハギスは、ギターを爪弾かせながら鼻歌交じりで、演奏を始めました。
『~ポン、ポンポロロ~ン…風に聞いとっとくれ~♪何か変わりはじょまるよ~、
アーっ、僕らのじゅだいに風が吹いてるよ~~♪
アーっ、DonDokoDon!DOWADOWA!』
ハギスは歌いながら、時々、腰を振ってリズムをとって、毛むくじゃらの頭を揺さぶっていました。
まるで、毛の長い西洋タワシでお風呂場でゴシゴシと洗われているみたいで、
ミョミョねぇとチェリーは吹き出しながら笑っていました。
ハギスは曲が終わると、笑ってる二人をギターを持ちながらキョトンとしながら立っていました。
「ど、どうオラの歌? そうさね~、にいちゃんたちに比べたら、あんまり上手くないけどね。」
「あら、あなたのお兄さんも毛モサモサで、楽器も弾くの?」とミョミョ。
「そうだよ、女王様のお気に入りのバンドHairy highlanders(へアリー・ハイランダーズ)のメンバーなんだよ!」
ハギスは、嬉しそうに踊るように首をふってぐるぐるまわりをします。
「さー、いこいこ、いこーーーー!」
あまりのはしゃぎように、チェリーもつられて嬉しく小躍りしました。
自分をハギスと呼ぶ毛むくじゃらの動物は、ギターを背中にしょって、
藪の中をかき分けて、細い道をチェリーたちに見せて言いました。
「さぁ、こっちが近道なんだ!出発しよう!。」
6、大きな影のクロスケさん
3人は、まだ高いお日様の中、てくてくと歩いて行きます。
途中で大きな白い滝のふもとにでてきました。
滝からいきよいよく水が流れていました。
かなりの間、歩きました。
ミョミョねぇがハアハアいいながらゆっくり歩いています。
「ハギス、まだなの~?」
「もう着いてもいいころじゃないの?」
ミョミョねぇがしびれをきらして、ハギスに話しかけます。
でも、ハギスは少し先に行きながら、真剣に振り返りもせずに進んで行きます。
チェリーがハギスにむかって話しかけます。
「ねー、ハギスさん、あなたやあなたのお兄さんって、なんという生き物なの?」
すると少しゆっくりと歩きを止めて、ハギスが答えます。
「オイらの祖先は、海の向こうからきたと言われてトルだよ。
大きな舟にのって、大きな鹿のつのカブトをかぶったバイキングといっしょにきたんだって・・・
すごいだろ!」
「よく、オラのママが話してくれたよ。オイラたちの祖先は、バイキングの檻に入れられていたんだけど、
勇敢な祖先がそこから抜け出して、ここの土地に住み始めたんだって!
すんげぇべ!
そう、それとママが教えてくれたんだけど、オイラたちの祖先は赤いものもいたり、
月の輪を胸に勲章としてもっているものとかもいるだんってさ~・・・
そうだ。そうだ。北極というところには白いオラたちの仲間がいるっていってたよ!」
「白い毛むくじゃらさんもいるの!私とおんなじ白なのね!」
チェリーは、北極というところにいってみたいと思いました。
「あのさー、悪いんだけど、あなた、ただの仔熊じゃないの?」
とミョミョねぇがズパッと言いました。
するとハギスはぱっと立ち止まって、振り返りいいました。
「いいかい、オラたちはクマのようでクマでないよ!
その証拠に他の動物の肉とか一切たべないし、卵とか牛乳もダメなんだよ!」
大きな声を出したハギスに、ミョミョはビックリしました。
「あらら、そんな大きい声だして・・・そう、わかったわよ、クマじゃないのね」
ハギスは、パッと振り返り黙々と歩き始めました。
ミョミョねぇはささやきました。
「ベジタリアン?ビーガンのクマなんて、信じられない、最低~~!」
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