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1625の追憶
[RINGOMUSUME現体制6周年記念生配信
初めてメッセージ読んで貰った記念 完全版]
近ごろ、岩木山を眺める事が増えた。
出勤途中の車窓から。
仕事中ふと顔を上げて。
雨雲に煙ればガッカリするし、
晴れた朝の勇姿にはテンションが上がる。
日に照らされた山肌にスマホを向け、
夕陽に陰るシルエットを写真に収める。
俺こんな岩木山好きだったっけ?いつから?
って考えたら、思い出した。
忘れてたわ。
彼女らを好きになって、あの曲に出会ってからだ。
RINGOMUSUME、3rdアルバム収録曲
「1625」
初めて聴いたのは、青森市内のイベント会場。
若干記憶が曖昧だけど、3曲くらいのミニライブ。
その時は確か新曲という触れ込みだった記憶が。
発売前だったのかな?
周囲の喧騒もあり、
良曲とは思いつつもその時のイメージは単に、
「岩木山がテーマの歌」
初対面はあっさりしたもんだった。
その時には、まさかこんな泣かされる曲だとは
思わなかったなぁ。
とき姉さんがりんご娘になった少し後。
愛踊祭で彼女らが栄冠を勝ち取るより少し前。
親が体調を崩したのをキッカケに、結構長いこと
勤めてた当時の仕事を辞め、
青森にUターンする決断をした自分。
まだ大丈夫だから、って言う親の言葉を振り切る様に
最後は自分で決めたんだけど、
一緒にやってた仲間にも色々言われたっけ。
でも、色々、散々考えて悩んだけど、
戻らない選択肢はなかった。
しがない営業販売職。でも好きな仕事で、それなりの
ポジションにもついて、部下も仲間もいて
やりがいもあって…そんな頃。
けどそれと同時に、結果や業績、競争。色んなプレッシャーに晒されて、少しばかり疲れてて…そんな頃。
実際やり残した事はいっぱいあった気がするし…
ホントに続けたかったんならどーにかなっただろとか、
ラクな方に逃げただけじゃねーのかなとか思ったり。
東北道を青森に向け走りながら、
どっちが正解だったのか分かんなくてムダに悩んで、
ずーっと一人、荷物満載の車ん中でモヤモヤして。
そんな時、辿り着いた久々の故郷の景色。
びっくりするくらいホッとして、色々楽になるのが
自分でも物凄くよく分かった。
——ああ。そうか。
帰って来たかったんだ…俺。
それでイイや。
ここでやってくわ。青森で頑張るわ。
十数年ぶりの懐かしい景色のど真ん中。
ひときわでっかく岩木山が居てくれた。
それから数年。
当時の記憶も、日々の喧騒の中に埋もれかけてた頃。
手にしたアルバムの中に、その曲があった。
よく…とまでは言えないが、知っている4人。
自ら手繰り寄せたチャンスを見事に勝ち取り、
なおも目を見張る成長を見せていた、
彼女たちの曲だった。
逃れようのない現実に翻弄され挫けそうになりつつも、
故郷の景色に優しく包まれ、励まされ、
大切な人達のため、奮い立ち、顔を上げる歌。
聴くほどに、当時の記憶が、気持ちが戻って来た。
あの時の自分の心境が歌われてる様に思えた。
もう「雨」は止まらなかった。
あの山は何にも言わないけれど
あの風も何にも言わないけれど
正しい
よく出来た歌だよ多田さん。
すげー響くよRINGOMUSUMEのみんな。
今でもその時の気持ちがオーバーラップして、
この曲だけは、ちょっとだけ頑張らないと
平常心で聴けない。
こんな素敵な歌を生み出してくれた事、心から感謝。
でも、少しだけ思い違いしてた事がある。
彼女達は、好きにさせてくれたんじゃなかった。
忘れてたものを思い出させてくれたんだ。
岩木山を好きになったのはいつか?
…そんなん、「生まれた時から」だった。