初めて聴いた驚きのハーモニカサウンド
『たかがハーモニカ、されどハーモニカ 』
第1回 初めて聴いた驚きのハーモニカサウンド
昔の話になりますが、高校時代、僕はハーモニカがほしいと母にせがみました。幼少時に聴いた叔父さんの吹くハーモニカの哀切な音色がずっと心に残っていたからです。母が買ってくれたC調のハーモニカ、それは紙箱に収まって銀色に光るトンボバンドでした。
大学に進学して親元を離れ、下宿生活を始めるにあたって、ハーモニカも心の友として荷物に加えました。下宿先は東京台東区・根岸。しばらくは望郷の念にかられ、夕方になると近くの上野公園まで出向き、ベンチで「ふるさと」を吹いたりする日々でした。
30歳を期して帰郷。本屋を始めてのとある日、大矢博文先生宅で初めて耳にしたハーモニカアンサンブルのサウンド。それは「アザレアカルテット」という若い女性たちの演奏する歌劇「ウィリアムテル序曲」の録音でした。
音楽を「ボン、ボン」と牽引するバスハーモニカ、「シャカシャカ」と小気味よく跳ねるコードハーモニカ。ハーモニカでここまでやれる! そのときの驚きはいまでも忘れることはできません。ハーモニカの奥深さと可能性、いろんな楽しみ方があることも初めて知りました。
さて、マイ・ハーモニカに出会ってからの半世紀を思い起こしながら、ハーモニカをどう楽しみ、何を学んだかを徒然なるままに綴らせていただこうと思います。
(2019.4 ハーモニカライフ84号に掲載)
岡本吉生
-Profile-
日本唯一のハーモニカ専門店「コアアートスクエア」の代表。教室を主宰するほか、1996年にはカルテット「The Who-hooo」を結成。全国各地に招かれて演奏活動を続ける。
コアアートスクエア(月曜定休)
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津3505
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●コアアートスクエア Webサイト
http://www.harmonica.bz/index.html