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【ハーモニカ仁義】海外でのレコーディング現場の巻 前編【仲村哲也】
自分のハーモニカ演奏に自信が持てるようになると録音したいと思うのは心情です。
勿論、自分自身の作品作りには、余念なく全神経を集中させて時間も惜しまず取り組んでいる事と存じます。しかしながら、人に雇われて、商業的に録音する場合はそうは行きませんヨネ?
日本国内での録音では、スタジオ代やエンジニア等の人件費などもあるので、決められた時間よりも出来るだけ早く最良のテイクを録って終わらせたいと言うのが雇い主の考えです。
ですから事前に楽曲資料をもらい、理解した上で予習してから先方とミーティングして、その方向性、要望などを確認し合い、ある程度マトを絞って録音に望みます。そして日程を決め、銭の話は1番後、もしくは録音が終わるまで話さない人等もいます。
しかしながら海外録音の場合は、旅先の空き時間に誘われ、サクッと録ったり、さらわれるようにスタジオへ連れて行かれたり(笑) マーいろんなケースがありましたが、自分の経験では、ダィタィ「○○ドルだけどやる?」と先に金額を提示され、そこから交渉します。
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そして、事前に楽曲の資料なんてもらえることなんて殆どないので、予習もヘッタクレもありませんッ。
毎回出たトコ勝負が多いですネ。
その場で自分を120%出せなければ仕事になりません。
日程も「今から来れる?」とか「今週末までには終わらせなきゃなんだけど、いつ来れる?」とかで、出来るだけ先方の予定に従います。
じゃないと、他へ持ってかれちゃいますからッ(笑)
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チャンスを逃さないのも実力のうちとキモに命じています。
後編へ続く…
(2023.7 ハーモニカライフ101号に掲載)
仲村哲也 (TEX NAKAMURA)
-Profile-
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1980年代始めまで、自己のバンドでエレクトリック・ベースを担当していたが、1950年代のサウンドに取り憑かれ、アップライト・ベースに転向。
1983年に、FENから流れてきたJ ガイルズ・バンドの「ワーマージャマー」に衝撃を受けハモニカを手にする。
妹尾隆一郎氏に師事し基礎のテクニックを収得。その後は、「F.I.H.ハモニカコンテスト」入賞、アポロシアターのアマチュアナイト・チャンピオンシップに出演(日本人初)するなど、数年の間にトップクラスのハーピストとして活躍する。
以後国内でスタジオミュージシャンとして数多くの録音に参加。1992年渡米。
西海岸人気ファンクバンド「WAR」にリーオスカーの後釜として抜擢され、年間平均100本ワールドツアーに13年間参加。Tex NakamuraやWeeping Willow(咽び泣く柳)の名で、現在も米国ロサンゼルスを拠点に幅広い音楽性と美しい音色で活動中。
●オフィシャルWebサイト
http://blueslim.m78.com/nakamura_tetsuya.html