【ハーモニカ仁義】高原でハーモニカを演奏するの巻【仲村哲也】
山登りなどで標高が高くなると、大気圧が下がり空気の密度が下がって、チョッと歩いただけでも息切れしますヨネ。そういう状況でもハーモニカを吹かなければならない時もあります。
以前のロード(演奏巡業生活)で、最初にコロラド州へ行った時、アスペンという名のデンバーからおよそ車で約3時間半を要する街を訪れました。
到着したらすぐステージへ。
旅行気分はありません。
我々は、時差まで移動時間に費やします。
アスペン(Aspen) は、コロラド州の西部、ロッキー山脈の山中に位置する都市で、北米きってのスキーリゾート地ですが、夏場は様々な音楽イヴェントも開催され、それに出演した時のことです。
会場は、スキー場の広場に設営された野外特設ステージで、「到着後すぐにサウンドチェック」の時から、少々息苦しさ感じておりました。
それを見ていたステージクルーが、酸素吸入ボンベを用意して下さり、私のアンプの後ろへソ~っと設置してくれました。
標高およそ2,405mですからやはり、その土地のクルーは流石に心得ていますネ。
しかしながら私的には必要ないだろうとタカを括っておりました。
しかし、いざ本番となり数曲演奏した頃、段々と息苦しくなって来ました。
当時の我々の興行は、ダンスや振り付けしながら演奏しておりましたので、ホント、ショーセットの半ばまで来ると、呼吸困難に陥り、やむなく酸素ボンベにすがりつきました……。
しかし、音楽は続いていますので、充分に呼吸を整える間もなく演奏し続けます。
モーその後は、ソロの合間のブレスのタイミングで酸素吸引、そしてソロ→酸素吸引→ソロの繰り返しでなんとか乗り切りました。
モー死ぬかと思いましたネ。
しかしながら、翌日にはその薄い空気にスッカリ慣れて、2日目のショーは、全く酸素吸入は必要ありませんで全力投球出来ました。
いや~、やっぱ、人間の順応性ってスゴいですネッ。
終わり。
(2024.1 ハーモニカライフ103号に掲載)