アストロズの新たな取り組みとは
先日、7月31日のトレード期限を迎えた。最終日に計30件のトレードが成立し、総勢77人の選手が移籍した。
参考:2019年トレード一覧
今回はメジャーで最もデータを有効活用していると言われているアストロズのトレード期限での動きをチェックする。同球団が何に注目し、選手を獲得しているのかを考察していく。
これまでのアストロズの投手補強の方針は「速いフォーシーム」と「空振り率が高い変化球」を持ち合わせている選手であった。そして、フォーシームはリリースポイントの位置を変更するなどして縦変化量を増やし、高めのコースに投げることによって空振り率を改善した。
代表的なのはジャスティン・バーランダー、ゲリット・コールだ。しかし、18年オフに1年450万ドルで獲得したウェイド・マイリー以降、アストロズはそれらに加えて新たな取り組みをしていることが補強した選手の特徴から伺い知れる。
※マイリーの件については「アストロズの次なる革命はカットボールか」の記事で詳細にお伝えした通りです。
アストロズは今回のTDLで将来有望な若手選手4人と引き換えにダイヤモンドバックスから球界を代表する技巧派右腕ザック・グレインキーをトレードで獲得した。
注目すべき点はグレインキーのフォーシームの性質がシュートよりではなくカットよりということだ。(バーランダーやコールはシュートよりのフォーシーム)
◯グレインキーの今季のフォーシーム
平均球速90.07マイル
縦変化量8.93インチ
横変化量-0.83インチ
過去2年間(17~18年)のフォーシームの変化量別被本塁打率をデータによって解析してもらった。その結果、横変化量がカットより(画像では右側)の方が被本塁打率が低いということが分かった。
結論
アストロズがフォーシームの横変化量がカットよりであるグレインキーに目を付けた背景として、バーランダーやコールの今季の被本塁打の多さがあると推測される。
バーランダー
平均球速94.86マイル
縦変化量11.13インチ
横変化量-5.58インチ
コール
平均球速97.32マイル
縦変化量10.01インチ
横変化量-6.41インチ
バーランダーは今季自己ワーストペースの被本塁打の多さであり、またコールも自己ワーストに次ぐペースである。
そのため、アストロズはフォーシームの被本塁打を抑える一つの対策として「カットフォーシーム」いわゆる「真っスラ」に目を付けた可能性がある。
ただ、今回獲得したグレインキーは先発投手の中で7番目にフォーシームの平均球速(90.07マイル)が遅い。そのため、カットよりのフォーシームがどこまで被本塁打を抑えられるのか今後注視していきたい。
データの参考
http://www.brooksbaseball.net/pc_splash.php
https://www.fangraphs.com/
https://baseballsavant.mlb.com/statcast_search