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ゴールド、長期債考察~リーマンショック編~

こんばんは、とまとです。

懲りずに、また、ゴールドと長期債のお話です。

今回は大きな変動ではなく、細かくどういうイベントで、どう原資産が動いていったかを考察していくことにしました。というのも、過去にあった歴史がそのまま繰り返される可能性は低く、それよりも、歴史の中で、どのようなイベントが起き、どのように変動していったかを学んでいき、次に起こりそうなシナリオでどう動くのかを検討するのがよいのではないかと思ったからです。

ここ最近の利上げから利下げの局面は、リーマンショック、コロナショックの2つしかないので、今回はリーマンショックを取り上げ、次回はコロナショックを取り上げ、そして、今後の考察をしたいと思います。繰り返しになりますが、今後、リーマンショック、コロナショックのようなことが起こることは想定しておらず、あくまで、その手前での動きなどを参考にしたいと思っています。

原資産の変動要因

本題に入る前に、各原資産の変動要因を復習したいと思います。

ドル建てゴールド

ドル建てゴールドと聞くと、ゴールドの価値が何で変動するかを説明するかと思われますが、実は、ゴールドの価値が変わることもありますが、それ以上にドルの価値に影響されます。ドル建てゴールドというのは、ドルとゴールドの交換比率を示しており、決してゴールドの価値の変動だけでは動きません。むしろ、ドルの価値が変動していることの方が多いです。

もちろん、ゴールドの価値は実需(宝飾品需要など)や地政学的要因によっても変動します。それ以上にドルの価値が変動しているのが実態です。

ドルの価値を表す指標はいくつかあります。1つ目としては、実質金利があります。実質金利とは、金利とインフレ率との差を示します。金利とは、ドルを債券などに投資しているとお金が増えることを示しています。インフレとは、ものの値段が上がるとも捉えられますが、味方をかえるとものに対してドルの価値が下がっていることを示します。よって、その差がドルの価値を示します。実質金利が低下すると、ドル建てゴールド価格が上がっていきます。よくみるのは、その時の金利やインフレ率よりも、5年や10年の債券利回りと期待インフレ率(ブレークイーブンレート)を使ってみたりします。

もう1つの指標として、ドルインデックスがあります。ドルインデックスは主要通貨バスケットに対するドルの強さを表す指標を示します。かなりの割合がユーロなため、ユーロドルの影響が大きいです。ユーロ建てゴールドの価格が変わらず、ユーロドルがドル高になると、ドル建てゴールドの価格は下がります。よって、ドルインデックスが下がるとドル建てゴールドが上がります。

他にも、ドルの価値を表すのに重要なものとして、量的緩和もあります。量的緩和が行われると、市中でのドルが増えて、ドルの価値がさがっていきます。そうすると、相対的にドル建てゴールドの価格が上がります。

債券(国債)

債券の価格変動は専門的ななにかを読んでください。基本的には、短期債と長期債に分かれ、短期債は政策金利の影響を大きく受けます。長期債は今後の景気や需給関係などに影響を受けます。実際の例を見ながら変動をみたいと思います。

読み解く背景

本題の原資産(ゴールド、長期債)の動きを見る前に、それを読むとくためのリーマンショック前後の背景情報を記載します。

FFレート

2006年6月まで利上げを続けて、その後、しばらく金利を据え置いています。その後、2007年7月から利下げを開始して、利下げをし続けます。BNPパリバ巨額損失が2007年8月、

ユーロ金利

次にユーロの金利を示します。実はユーロは米国と異なり、2008年6月まで利上げをし、利下げを始めたのも2008年9月とかなり遅いです。リーマン・ブラザーズ破綻は2008年9月ですから、本当に渦中になる前まで金利を高く据え置いてきたことになります。この米国と欧州の金利差がゴールドに大きく影響を与えてきています。そろそろ利上げ終了の米国、まだまだ利上げ途上の欧州という時差。なんか、現在の局面と似ているところがありますね。

原油WTI

原油は2008年7月まで上昇を続け、140ドル超えをピークに一気に下降して40ドル割れまでいく流れである。リーマン・ブラザーズ破綻の2ヶ月前まで高かったというのがポイントです。

原油価格という点では、現在とリーマンショックでは置かれている状況がかなり違うということを認識しておく必要があります。

ドルインデックス

ドルインデックスは、2008年3月まで一貫してさがってきています。これは金融不安や米国の景気不安に加えて、米国と欧州の金利差がきいていることが予想されます。そして、2008年7月に急上昇がはじまる。原油のピークもこの時期と重なります。この時期、米財務長官の強いドル支持であったり、8月にはECB総裁による、景気下振れリスク言及があるなど、米国と欧州の金利に対する不一致によって引き起こされた流れが逆流する展開です。

現在もドルインデックスの下げは一服しているものの、昨年からドルインデックスが低下し続けているときことは、当時とかなり似ているところがあります。

米国2年債利回り

2007年6月の5.1%程度をピクに下落していき、最終的に1.0%程度まで落ちます。

米国10年債利回り

2007年6月の5.25%程度をピークに下落していき、2008年Q4に大きく下落し、2009年に回復していきます。

米国30年債利回り

2007年6月の5.35%程度をピークに下落していき、2008年Q4に大きく下落し、2009年に回復していきます。

CPI

CPIは原油価格の上昇もあり、リーマンショックの手前の7月に5.6%まで上昇しています。当時はかなりのインフレだったことがわかります。

CPIコア

そして、CPIコアは2008年以降は2.0%以上で推移しています。今に比べるとかなり低いですが、2%を超える水準で2000年代に入ってからは高めの水準であったことがわかります。

S&P500

S&P500は2007秋口をピーク位、金融不安や景気後退により、やや株価を低下させていきました。しかしながら、2008/9/15リーマン・ブラザーズ破綻でも大きな下ヒゲで大きな下落なくきていましたが、10月頭に大幅下落し、2009年に2番底をつけて、その後は上昇していった相場であった。

NASDAQ100

NASDAQ100も同様のチャートとなっています。ただ、こちらは、2009年はダブルボトムということで、2番底までは深く掘らなかったことがわかります。

ゴールド

これが、ゴールドの推移です。BNPパリバ巨額損失ではほとんど動かず、その後、2007年9月の雇用統計悪化からゴールドの相場が始まります。FRBの予想外に大きかった利下げもさらに拍車をかけます。ゴールドは実質金利の低下で上がるので、利下げはゴールドの上昇の大きな要因となります。その後も利下げを続け、さらに地政学的な要因でも上昇していきます。現在も、中国、中東など、地政学的な要因はくすぶっているので、それらの材料でも大きく魚国かもしれません。その後も利下げが続き、ベア・スターンズの救済で一度ゴールドはピークをつけます。

その後はぐずぐずした展開で、2008年7月に米財務長官による強いドルの支持やECBの景気下振れ懸念により、ドルの流れがドル買いに変わり、ゴールドにはアゲンストな風がふきます。

その後、リーマン・ブラザーズ破綻で上昇するも、2008年10月には換金売りにおされて下がります。重要なポイントとして、株は10月頭に売られましたが、ゴールドが売られたのはそれから時差をおいてとなります。なので、ゴールドの売りは、株に対して時間差がある(その間に逃げられる)ことを覚えておく必要があります。

2007年、2008年の相場では、アップサイドでは+48%あったことがわかります。その後、2009年以降さらに上昇していくことになります。

長期債TLT

これまで、長期債の参考チャートとして、米国30年債利回りを使ってきましたが、現実問題、みんな買うのは TLT, TMFあたりなので、これからはTLTのチャートをのせることにしました。

TLTは実は、リーマン・ブラザーズ破綻の9月も、株価暴落の10月もそれほど上昇していません。10月までのアップサイドは10数%程度になっています。大きな上昇相場は11月にきています。ここらへんの解釈が十分研究しつくせてないですが、11月からQE1が始まっていることが影響しているのではないかと思っています。もちろん、失業率の悪化や金融不安も影響していると思いますが、10月の上がり方にくらべてはるかに11月に動いているため、QE1による米国債の買い入れが材料視されたのではないかと思っています。11月に急上昇を見せるも、2009年の半ばにはその上昇分なくなってしまう動きをしています。このときのピークまでもてば、+36%程度のアップサイドが存在しました。

暴落時の動きの振り返り

リーマンショックのような暴落が起きることを今回は想定していませんが、たぶんもしものときのために気になる方がいると思い、日足で振り返っておきたいと思います。

S&P500

リーマン・ブラザーズ破綻(9/15)のショックはあるものの株価は耐えていましたが、本格的に落ち始めたのは9/29からと時差がありました。大きなショックがあるとすぐ暴落するイメージがありますが、実際の暴落は投資家心理によって引き起こされる部分もあるので、時差があるのが現実です。

ゴールド

ゴールドは、リーマン・ブラザーズ破綻ではなく、その前のドル高によって下げ続けます。そして、リーマン・ブラザーズ破綻(9/15)で急上昇することになります。よくリスクオフでゴールドが売られるという話がありますが、実際にそれが起こるのは10月中旬で、9月末から売られ始めたS&P500に比べて時差があります。よって、リスクオフのゴールドは、株が大きく売られるのを確認してから手仕舞っても間に合うのではないかと思っています。むしろ、その手前の急激なドル高などへの注意が重要ではないかと思います。

長期債TLT

最後にTLTですが、正直リーマン・ブラザーズ破綻(9/15)、S&P500の暴落、ゴールドのリスクオフの期間はアップダウンはしているものの、変動はそれほど大きくありません。それらの資産と組み合わせても十分なヘッジとならない可能性があります。

次回はコロナショックと考察を行いたいと思います。

https://note.com/tomatous/n/nd92ef9b374f4



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