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ゴールド、長期債考察~コロナショック編~

こんばんは。とまとです。

今回は前回のリーマンショックに引き続き、コロナショックをみていきたいと思います。

前回の記事はこちら


読み解く背景

FFレート

このときの利上げのサイクルは、2015年12月に利上げを開始し、途中利上げを停止したりするものの、最終的に2018年12月に利上げを完了しています。金利のピークは2.25-2.5%でリーマンショックの前に比べるかなり低くなっています。そして、2019年7月に利下げを開始し、最終的にコロナで2020年2月に緊急のFOMCでゼロ金利まで利下げすることになりました。

ユーロ金利

ユーロの金利はこの期間ずっと、ゼロ金利のままでした。これは、リーマンショックと異なる点です。米国が一方的に利上げと利下げをしていたことになります。

原油WTI

原油は2018年の後半に下落が見られ、コロナショックで大幅下落があったものの、大きく上昇する場面はなかった状況です。比較的横ばいの期間が長かったです。

ドルインデックス

ドルインデックスは2018年半ばに大きくドル高になるものの、その後は緩やかなドル高が続く展開でした。コロナショックで大きく上下したものの、2000年半ばからドル安にふれていく展開でした。

ドルインデックスの上昇はドル建てゴールドにネガティブな影響を与えるにもかかわらず、後ほどのゴールドの価格をみるとわかるように、ゴールド価格が上昇している時期となります。

米国2年債利回り

米国2年債利回りは、ピークは2018年Q4で3.0%程度でそこから低下を続けます。

米国10年債利回り

米国10年債利回りも2018年10月前後に3.25%程度をピークに利回りを低下させていきます。2年債利回りとの逆イールドは8月に少しだけなっただけで、ほとんどの期間は順イールドになっています。

米国30年債利回り

米国30年債利回りも2018年11月に3.45%程度をピークに利回りを低下させていきます。

失業率

失業率はコロナショックが起こるまでずっと下がり続けています。

CPI

CPIはコロナショックの前では1.5-3%で推移し、2018年の利上げとともに低下して、2019年前半には2.0%を割り込みます。

CPIコア

CPIコアは1%台で推移し、同様に2019年前半は1.1%程度に停滞します。

S&P500

指数は利上げ・BS縮小により、2018年10月からクリスマスにかけて大きな下落をするものの、その後はコロナショックになるまで、調整をしつつも、上昇を続けていった流れになっています。コロナショックで暴落するも、緊急のFOMCで利下げと量的緩和によって、早い段階で回復していきました。

NASDAQ100

NASDAQ100も同様の動きをしてきます。

ゴールド

ゴールドの動きをみていきます。2018年10月頃までは、利上げとBS縮小によって、ゴールドは下げ続けます。これは昨年に似ているところもあります。その後、10月のCPI予想下振れによる株安でゴールドは上がりだします。当時のCPIはかなり低いので、それをさらに低くなるということは景気後退懸念を表します。そこから、年末の株の暴落に対して、ゴールドは上昇していきます。その後、しばらく上昇が一服するものの、5/31のメキシコ追加関税を皮切りに、米中貿易摩擦懸念、タンカー攻撃、イラン追加制作などの国際政治的な要因と利下げの可能性も加わって上昇していきます。さらに、8月には米中貿易摩擦と数カ国が利下げを行い、グローバル経済の不安が高まり大幅上昇。その後は、しばらく停滞するも、年末年始のゴールド上昇にのってあがっていきます。その後はコロナショックとなるため、割愛します。

アップサイドはどこを起点とするかによりますが、コロナ要因を除けば、20%台ぐらいでしょうか。

長期債TLT

長期債TLTの動きをみていきます。政策金利上昇を続ける2018年の終わりまではTLTは下がっていきます。12月に利上げ打ち止め感のあるパウエル発言が上昇の始動となっています。その後、ヨコヨコして、3/20のFOMCでハト派となり、今年利上げなし、9月にBS縮小の終了を発表し、さらに上昇します。さらに5月にはメキシコ追加関税や中国貿易摩擦などの政治的な理由により、グローバルな経済停滞懸念で買われます。その後、7月のFOMCでBS縮小の終了と利下げ開始を発表され、その後急騰します。その後は、コロナによる上昇のため、ここでは割愛します。

全体的に見ると、BS縮小の終了と利上げ終了・利下げ開始と国際政治的な要因で上昇していっていることがわかります。アップサイドとしては、どこを起点にするかによりますが、コロナによる上昇を除くと、20%台ぐらいでしょうか。TMFならば60%程度と、それなりの上昇がありました。

暴落時の動きの振り返り

リーマンショック以上にコロナショックと同様なものが起こる可能性が引くですが、一応暴落時の動きを日足で確認しておきます。

S&P500

コロナ患者の上昇を基にしながらも、2/21の前までは高値を更新していきます。特段なにかがあったわけではないですが、2/21から下落がスタートします。

FRBはFOMCを3/3, 3/15, 3/23に開催し、最終的に3/23にFRB保有資産額の拡大規模を無制限にしたことで、株価は底打ちし、その後上昇をします。

ゴールド

ゴールドは株価下落に対して、一旦上昇をはじめます。その後、2月終わりに換金売りがでて下落するも、3月にかけて安全資産として再び上昇をはじめます。そして、3/9をピークに換金売りで暴落をはじめます。そして、S&P500と同じタイミングで上昇に転じます。

長期債TLT

長期債TLTは株式市場が下落する前から、コロナ不安により1月から上昇をはじめます。その後は株価下落開始とともに、安全資産として買われ始めます。3/9をピークにその後下落を始めます。その後は、金融緩和の好感や、さらに、換金のために債券すら売らなくてはあんらなくなったり、コロナで在宅になったため、十分な市場が形成できず、債券が枯渇して、ボラティリティが高まるなどによって、急落を始めます。急落も3/18におさまり、戻るということで、TLTといえども、上下に激しくふられる展開になっています。

ここでわかることは、株式市場の下落の開始時はリーマンショック同様、ゴールド、債券ともに買われるということです。債券の方が事前に買われているので、債券の方がヘッジ機能はありそうですが、これもコロナの感染拡大をどう読んでいたかによるかと思います。いずれにしても、株の下落をみて、しばらくしたら換金売りがくることを見通して、ポジションを落とすなり、両建てでヘッジをするなりして、判断すれば、暴落時は十分対応できると思います。暴落時はボラティリティが高いため、無理にはとりにいかずに、静観するのがよいかもしれません。

よって、リーマンショック同様、暴落時にゴールドも暴落するというのは対応可能なリスクと考えています。

考察

さて、2つの記事でリーマンショックとコロナショックの主に暴落前のゴールドと長期債TLTの動きをみてきました。正直、リーマンショックでは下落局面が気になるもののゴールドが魅力的にうつり、コロナショックは似たようなもので、安定感を考えると、長期債もよさそうな気が個人的にはしています。

では、これから起こることはどっちに近いのでしょうか。ドルインデックス主導でゴールドが上がっているところは、リーマンショックに似ていますし、利上げに加えて、BS縮小もやっているという点をみると、コロナショックに似ているといえますね。果たして、どちらに近いのでしょうか?

その前に、今(5/7現在)のゴールドと長期債TLTの動きを振り返ります。

ゴールド

11月起点でみると、ざっくり+22%の上昇となっています。2月に調整があったものの、地銀不安で3月にさらに上昇しています。

長期債TLT

長期債TLTについて、こちらも10月下旬起点でみると現在の位置は+13%となります。昨年11月こそ上昇しましたが、その後はずっとその高値を抜けられずにいます。ここまでみると、ゴールドが上回っていることがわかります。

となると、どちらかというとリーマンショックに近いような気がしています。この差はどこからきているのでしょうか。個人的な推測になりますが、その差は現在の物価や将来の期待インフレにあるのではないかと推測しています。リーマンショックは前回の記事で説明したように、暴落の数ヶ月前まで原油価格は上昇し、CPIは今回ほどではないもののかなり高い水準にありました。CPIコアも現在ほどではないものの、やや高い水準にありました。そうなると、将来の期待インフレも高くなり、長期債の金利も下がりにくくなって、長期債TLTの価格も上がりにくくなっていたのではないかと思っています。一方で、コロナショックはCPIは低い水準になっていました。国際政治の影響もありますが、そこからの下振れ懸念で長期債TLTは上がっていったことが考えられます。

今回も予想されたこととはいえ、CPIの低下の鈍ってきていき、今後もCPIの高止まりの懸念が出てきています。となると、リーマンショック級の大きな衝撃が出るまでは、リーマンショックの前に近い流れとなるのではないかと思います。その場合は、長期債TLTよりもゴールドの方がアップサイドが大きいのではないかと思います。すでにこの半年ぐらいのパフォーマンスでもそれが現れています。

ゴールドはドルの価値に影響されます。ドルの価値の1つとして、実質金利があることを述べました。実質金利は債券利回りとインフレ率であり、その1つの変数であるインフレ率が高止まりするならば、ゴールドに分があると考えています。

では、ゴールドに死角がないかというとそうでもありません。株式暴落時の対処方法はすでに述べたので気にしていません。問題は2018年7月に起こったドル高に逆流するタイミングです。このタイミングでドルインデックスが上がり、ゴールドは大きく売られています。このタイミングの判断が難しいですが、ドル高に大きく動くイベントに注視するぐらいしかないように思います。この注意点をよく頭に入れて、ゴールドへの投資を検討したいと思っています。

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