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超圧縮地球生物全史

超圧縮地球生物全史
ヘンリー・ジー


氷河時代は八〇〇〇万年つづき、
前回のときみたいに地球全体を覆った。
だが、生命はまたもや、この困難に反旗をひるがえしてみせた。
温和な海藻類、藻類、菌類、地衣類が生命のリスト入りを果たしたのだ。
それはタフで機動力があり、困難をものともせずあらわれた。
地球上の生命は火で鍛えられ、氷で固められたのだ。

超圧縮地球生物全史
1章 炎と氷の歌

生命がかっこよく、躍動的に感じられる表現が多々あり、
わくわくする内容になっていました。

聞いたことのない生き物の名前がいっぱい出てきますが
色んな生き物が長い年月をかけて地上へと出てきたりする感動や
くじらが地上の生き物だったなんて!という驚きもあったり
興味深く読み進められました。

最終的には人類は滅亡するというのですが、
一冊読み終えるころには、人類だけ生き残っていたり
または今のような状態が長く続く事の方が
違和感があるように思えるほどです。
地球の激しい災害と絶滅まみれのオンパレードで
ハッキリ言って何も起きていない地球の方が不思議に
思えてきます。
とはいえまだ人類は宇宙とかにも出ていく気満々だし、
それは何があるか分からないのではとも思っています。

それにしても。
今の私の命は、自分一人のいのちではなく、
大昔から地獄のような環境に立ち向かって来た
生命たちのつづき、なのだなぁと思いました。
そしてそのつづきは人間だけでなく、
この地球の生き物全てが、つづきのすべてなのだなぁと。
そう思うといのちそのものが、愛おしく感じられます。

印象に残っているのが、恐竜には小さい物もいたという話です。
手のひらサイズの恐竜もいたそうで、可愛すぎて飼ってみたいと
思ってしまいます。

また、空中プランクトンの話は衝撃的です。

しかし、塵ほど小さいものにとっては、
空気の分子は実際よりかなり大きく、
例えばハチとかハエくらいの大きさに見える。
小さなホコリにとって、空気は水やシロップみたいに粘性があり、
飛ぶことはむしろ泳ぐのに近い。

超圧縮地球生物全史
7章 空飛ぶ恐竜

空気が水やシロップみたいって、どんな具合でしょうか?
驚きの世界ですよね!

そして、笑い事ではないのですが、作者の表現が可笑しくて
声を出して笑ってしまった箇所があります。
恐竜が小惑星の衝突で絶滅してしまう話で

一夜にしてロックスターになるのと同じで、
この衝突も長い時間をかけて準備されていた。
恐竜は、はるか前からロックオンされていたのだ。

超圧縮地球生物全史
7章 空飛ぶ恐竜

ロックオンて(笑)。恐ろしい恐竜たちも何だか
可愛くすら感じさせるシュールなこの表現が本当たまりません。笑

さて、作者はホモ・サピエンスは社会的組織を作るからこそ
成功したのかもと語っています。
それを言われてみると本当にそうだなぁと思わずにいられませんでした。

また、

次に森を歩くときは、足元の地面で、さまざまな植物の菌根菌がつながって、
養分を交換し、森全体の生育を制御していることに思いをはせてほしい。
森は、木々も菌根菌も含め、一つの超生物とみなすことができるのだ。

超圧縮地球生物全史
12章 未来の歴史

これは森の見方をがらりと変えてしまいますよね。
普段は意識もしないし知ることもないような生き物の世界を知り
とても面白く読むことが出来ました。

ちなみに帯には、ジャレド・ダイアモンド超絶賛とありました。
この方の本の感想もご紹介しています↓


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