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二度と見れないあの頃の風景(留萌市)

2023年4月1日、留萌市から鉄道が消えた。かつて留萌駅は留萌本線だけでなく当駅から日本海沿いに北上する羽幌線などが接続するターミナル駅だった。だが、私が生まれたときにはすでに留萌本線だけとなっていた。

留萌本線には悔やまれる記憶がある。2016年12月に留萌~増毛が廃線になっているが、当時は動画撮影を始めたばかりということもあって廃線予定区間の撮影を今ほど重要視していなかったので片道しか撮影していない。さらに天候が雪で車窓を綺麗に撮れなかったのだ。廃線直前の撮影でもあったので車内も混雑していて、今思うと撮影に成功したとはいえなかった。そして、撮り直すこともできないまま廃線になった。

なるべく日常に近い留萌本線の動画を撮りたいと思っていた私は2020年、2022年にそれぞれ撮影に行った。コロナ禍の影響があった頃ではあるが人出が少ない状況を逆手にとって撮影できた。因みに同じカメラで2回同じ区間の撮影をしたのは今のところ留萌本線だけである。あのころの悔しい気持ちがあったからなのだろう。これとは別に道道21号留萌停車場線の車載動画や留萌駅を発車する普通列車の動画も廃線前に撮影した。少しでも鉄道が存在していた頃の動画を撮りたかったからだ。留萌駅舎は市役所などの移転計画のため解体されるようなので、今後ますますこれらの動画は貴重になると思う。

私の知人に留萌市の隣、小平町出身の人がいる。帰省するときはJRで留萌駅まで行き、そこまで車で迎えに来た家族の車で実家に帰っていたそうだ。高速バスはペットを連れての乗車ができず、それが可能だったJRでペットを連れての帰省をしていた。だが、もうそれもできなくなってしまった。私も残念な気持ちになったのを覚えている。その知人に廃線直前の2023年3月、”留萌線の記憶”という本をあげた。自分の生まれ育った街、地域から鉄道がなくなるというのは寂しいものだ。実家のご家族も羽幌線の廃線を経験しているから留萌本線が廃線になることが決定したときはその時のことを思い出したのではないかと思う。だからこそ鉄道があった時代をいつでも思い出せるように何かお土産をと思って買ったのが先述の本だった。

それから約2年が経ち、留萌本線の残りの区間の廃線も近づいてきた。深川駅から留萌本線が分岐していく光景ももう少しで見られなくなる。今年は留萌本線が丸々一年残っている最後の年になる。カメラを現行のものにしてからまだ撮影していない。悔いが残らないように撮影に臨みたいと思う。

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