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パスパルトゥーの青い夢:『パスパルトゥー:アーティストの描いた夢』プレイ感想

画家とは何か。

優れたセンスを以って美しい芸術作品を世に送り出すロマンチストか。
あるいは常識に囚われない発想で人々を唸らせる天才、だろうか。

さまざまなイメージがあるだろうが、平たく言ってしまえば「絵を生業にする人」だ。
そして、『パスパルトゥー:アーティストの描いた夢』は、そうした画家の半生を体験できるゲームである。


「アーティストの半生を体験できます」

なんてきらびやかでオシャレな響き。
しかし、パスパルトゥーで経験できる画家人生というのは、そう生易しいものではない。

寂れた裏通り。
ひとり、キャンバスの前に立つパスパルトゥー。
私たちはそんなパスパルトゥーとして、絵で食べていくことを要求される。

毎月の出費は、家賃と食費、ワイン代。
絵が売れようが売れまいが、請求は毎月やってくる。

目の前にあるのは白いキャンバス、手には筆とパレット。
さあ、どうやって生きていく?


ひとたびこのゲームを始めたら、終始絵を描き続けることになる。

街に繰り出して近隣の住民たちと会話を楽しんだり、季節ごとにスペシャルなイベントがあったり...なんてことは一切ない。

ただ淡々と、毎日が過ぎ、費用の引き落としがあり、

それに向けて絵を売るだけだ。



絵が売れなくなったら生活ができなくなる。
誰にも買われない絵がテーブルに並んでいき、預金残高は次第に減っていく。

お金が払えないという現実に直面したとき、パスパルトゥーは目の前のキャンバスに、何を描くのだろう。


このゲーム、私はすっかりのめり込んだ。
1プレイは5時間もあれば終わる。

「絵が売れない」
「もう描けない、何も思い浮かばない」

弱音を吐きながらNintendo Switchに齧り付く私に、ソファで寛いでいた姉が一言。
「そのゲーム、楽しいの?」


どちらかと言えば楽しくない。
つらい。手が痛い。もう何も描きたくない。

それでも私は、描き続けるしかないのだ。


だって、私は画家だから。



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