Mean Streets 【Yokefellow】
『Mean Streets』trailer 03
Yokefellow
ミーンストリートの海岸にある時計塔の時計には針がない。針がない代わりに時計自体が回転している。10年前にある芸術家が建てたものだった。
時計塔からはいくつものコードが垂れ下がっていた。夕方になる海岸は黄金色に染まっていた。その時間にはいつも子供が一人で野球の練習をしている。野球少年は毎日プラスチックのバットとやわらかいボールでその時計に当てようとバッティングの練習をしていた。
一度も当たったことがなかった。いつものように練習をしているとスピーカーを持ったおっさんが歩いてきて時計塔の下でとまる。スピーカーを地面に置いて時計から垂れ下がるコードを引っ張ってスピーカーにつなげる。そしてスピーカーの横で体育座りをしている。スピーカーからはなんの音も聞こえず波の音だけがしていた。
またバッティングを再開すると今度は二人のおっさんが椅子やらテーブルやらを持って砂浜に捨て始めた。色々な家具や木を積み重ねたと思ったらそこに火をつけて焚き火をし始めた。
バチバチと小気味がいい音と炎が立ち上がりキャンプファイヤーのようになり海にいたサーファーは陸に上がって暖をとり芋やマシュマロや紅鮭やシシトウを木の棒に刺したミーンストリートの住民たちが集まってパーティーのようになっていった。
いつもは誰も見ていないバッティング練習もこれだけのギャラリーがいることで興奮した野球少年は程よい緊張感の中でボールを打つと初めて時計の真ん中を捉え酒を飲み始めていたギャラリーたちは歓声を上げ音が鳴っていなかったスピーカーから小気味よい四つ打ちのリズムが鳴り始めた。
お祭り騒ぎの中、タバコ屋はタバコを吸い酒屋が持ってきたビールを一缶拝借して呑んでいると足元に豚がいた。「あれを見ろ」とその豚は渋い声で言った。英語だった。どこかで聞いたことのある声だった。
豚が喋るという気まずさを忘れて海を見ると晴れた夕景の空から何かが落ちてきた。それはボチャンと水音を立てた。皆が静まり返って眺めているとスピーカーを持った男だった。それはジョニーボーイだった。
Drawing/Suga Takuya,Izmix
Music/Shintarow Takemiya
Story/SugaTakuya
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Instagram @subterraneans_film
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『Mean Streets』最後のストーリーは2021年12月28日特別ロングバージョンの映像とライブ演奏による生サントラでの上映をDAYS386にて行います。
さらに2021年12月10日から28日まで絵の展示も行っています。
12/10-12/28
Suga Takuya×Izmix Exhibition
『Mean Streets』
12/28
Movie Screening
Live/Subterraneans
Entrance free/19:00 start
more info DAYS386