【今週の空き家のすすめVo.8】空き家を活用?DIY型賃貸のメリット・デメリット
こんにちは、トマルバの河村です。
空き家を所有しているが、活用方法に困っている大家さんと住居の内装デザイン、インテリアにこだわる入居者、両者にとって最適な「DIY型賃貸借」をご存知でしょうか。
一般的に賃貸住宅は、貸主が維持管理を行うため、借主が設備や内装を変更することはできません。仮に借主が内装を変更したとしても退去時には元の状態に戻す必要があります。
しかし、近年ではDIY需要が高まり、賃貸でも借主が自由にリフォームやリノベーションができるDIY賃貸と呼ばれる物件が増えて来ております。
今回は、そのようなDIY型賃貸借の解説やメリット、デメリットをご紹介いたします。
DIY型賃貸借とは
物件オーナーさんは、空室物件に入居者を募るために住みたいと思ってくれるような魅力的なリフォーム、リノベーションをしなければなりません。しかし、リフォームやリノベーションするにも数百万円の費用がかかるので、入居者が決まるかどうかわからない状態で工事を行うことはとても不安になります。
そんな中、近年のDIY需要が高まっている背景も相まって、自分好みの暮らしを実現したい借主とリフォーム費用を抑えたい貸主、両方のニーズに応えられるのが「DIY型賃貸借」です。賃貸物件でも内装のDIYを借主が気軽に、自由にできることからDIY好きの方が中心に人気となっております。
DIY型賃貸借契約と通常の賃貸借契約との違い
契約形態は通常の賃貸借契約がベースとなっており、DIY型賃貸借契約という種別があるわけではありません。賃貸借契約に特約を追加して、DIYができる旨の取り決めを行います。
DIY型賃貸借契約では、主に下記の2点を決めておく必要があります。
DIYの施工部分の所有権が貸主に帰属するのか、または借主に帰属するのかを明確にしておき、明け渡し時に撤去するのか残置するのか、原状回復や明け渡し時の費用精算についてなど細かく取り決めを行います。
合意書では、原則的な所有権の帰属と契約期間中の管理義務についての取り決めを行います。
DIY部分については、契約期間中は借主に所有権があり、その管理義務も借主にあります。しかし、「退去時にはDIY部分についても所有権を放棄して貸主に譲渡するという内容が多いです。
DIY型賃貸借の契約の流れ
DIY賃貸の契約の流れは一般的に下記の手順で進行します。
DIY型賃貸借は通常の賃貸借とは異なり、借主が好きにリフォームできることからも契約の当事者間でのトラブルが発生する可能性が高いです。
そのため、国土交通省からDIY型賃貸借による契約当事者間のトラブルを未然に防止する観点から、平成28年4月に「DIY型賃貸借に関する契約書式例」と、活用にあたってのガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」が用意されておりますので、DIY型賃貸借を検討されている方は一度、確認しておきましょう。
「DIY型賃貸借に関する契約書式例」とガイドブックの「DIY型賃貸借のすすめ」はこちら
DIY型賃貸のメリットとデメリット
DIY型賃貸借の一番の魅力は、賃貸でも借主が自由にリフォーム・リノベーションができるといった点ですが、貸主側にもDIY型賃貸借として賃貸するメリットが十分にあります。
ここでは、貸主と借主それぞれにとってのメリット、デメリットを紹介します。
貸主側の主なメリット
上記3点を主なメリットとして挙げましたが、一番の魅力は、リフォーム費用を節約できることです。
通常なら空き家を賃貸物件として貸し出すには、集客するためにリフォームをする必要があります。特に築古の空き家では、水回りやキッチンなどは一通り新しく入れ替える必要があることが多いので、リフォーム費用も高くなってしまいます。
しかし、DIY型賃貸借では借主が好きなリフォームをしてもらうので、貸主側で先にリフォームすることは不要なので、通常の賃貸物件より費用を大きく節約できます。
また、退去時の原状回復義務を免除しておけば、空き家だった状態よりも綺麗になって戻ってくるので、そのままの状態で再募集ができます。
借主側の主なメリット
借主側の一番のメリットは、賃貸でも自分好みにリフォームできて理想の部屋に住めることです。
マイホームを購入しようとは思わないが、自分好みの家に住みたいというニーズに応えるのがDIY型賃貸借の一番のメリットです。そして、貸主側がリフォームしない分、家賃が通常より安くなっている可能性も高いです。
DIY型賃貸の主なデメリット
DIY型賃貸借は、貸主と借主両者にとってメリットが多いのが特徴ですが、ここではデメリットもご紹介します。
DIY型賃貸借では、借主がある程度自由なリフォームができることから、どこまでのリフォームを認めるのか、退去時の原状回復、費用精算など借主側と貸主側で契約時に明確にすべき事項が多いのが特徴です。
両者取り決め事項、確認するべき事項が多いので、面倒だと思われますが、費用精算など一番トラブルにつながりやすいことなので、両者がお互いに契約内容を理解した上で手続きを進めましょう。
まだまだDIY型賃貸借の物件は少ない状況です。
そのため、立地条件や広さなど自分が住みたいエリア、広さの物件を見つけることはできないかもしれません。また、借主のこだわりが強い個性的なデザインにされてしまうと、再募集の際の入居ニーズを狭めてしまい、次の入居者が見つかるまで時間がかかるおそれがあります。
もしくは、万人に受けるために多少の改修を要するかもしれません。
まとめ
DIY型賃貸借は、貸主からすればリフォーム費用を節約でき、借主は自由にリフォームをして自分好みの部屋に住めるというメリットがある新しい賃貸方法です。
契約時には、DIY部分の所有権や原状回復、費用の精算など細かく取り決める事項や確認するべき事項がたくさんあります。
そのため、トラブルを回避するためにも不動産屋さんに仲介として入ってもらい、メリット、デメリットを理解した上で手続きを進めましょう。
当社に関して
トマルバにて京町家や古民家などの空き家活用とエリア再生の事業を行っておりますので、空き家を住宅や店舗、ゲストハウスなどに活用する際には、是非、一度、下記からお気軽にご連絡頂ければ幸いです。
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