私が息子に出逢うまで(12)
理由
突然会社を辞めると言った課長。一体何があったのか。当然、私は理由を尋ねた。
-何があったんですか?
「まぁ、色々あってな。」
(言わないのか!気になるわ!)
「でも、お前が戻るまでは会社にいるようにするから。」
-それなら、早く戻った方がいいのではないですか?来月ではなく、再来週に戻ります。
「いや、万全な状態で戻ってきてくれ。来月でいいから。」
そう言うと課長は黙った。何だか煮え切らない状況に、私はだんだんイライラしてきた。
しばらく沈黙が続き、電話を切ろうか迷っていた時、課長が言った。
「お前に課を任せたいんだ。」
-………は?
私の役職は営業主任だ。私の所属する課には課長の下に課長代理がいて、課長不在時はもちろん課長代理が対応する。主任が課を纏めることはありえない。
好き嫌い
-課長、私は主任です。課を任せるべきは課長代理ではないのですか?
「アイツには任せられない。部下の面倒を見れないし、他の部署から評判が悪い。」
課長の分析は間違いではなかったが、それは主任が課を纏めていい理由にはならない。
「いいか?お前は上からの評価が高い。他部署からの評判もいい。部下の指導も出来る。お前は主任じゃない。」
何故それを今言うのか、私には理解できなかった。課長の言葉を素直に受け止められない。
妊娠を報告した時、体調を崩して休むことになった時、休んでいる間の嫌がらせは何だったのか。
悔しさで私は震えていた。
だが、怒っても時間は戻らない。
私は深呼吸を繰り返し、答えた。
-役職的に課を纏めることは出来ませんが、課長代理をサポートします。課長代理には誤解のないように説明をお願いします。
「じゃ、来月待ってるから。お大事に。」
こうして私の自宅療養、いや在宅勤務(無給)は2ヶ月で終わりを迎えた。
つづく…
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