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私のダンナが辞めるまで(16)

プライド

月曜の昼、協力会社の先輩から電話が入った。
「朝から社長が〇〇(夫)のことすごい聞いてきたよ。どんな男だー!経歴はー!仕事出来るのかー!新規事業任せてやれー!て言われたけど、お前社長に何言ったの?」

私は金曜の社長との会話のあらましを話した。
先輩はため息をつきながら言った。
「確かにアイツなら、現場責任者として頑張ってくれると思うよ。でも、本人の意思は?」
実は、私が先輩や社長と話していることを、夫は知らない。ただ黙っていた訳ではなく、理由があった。
先輩から、夫を誘って頂けませんか?
私の言葉に先輩は声を荒げた。
「はぁ?お前なぁ、自分で言い出したことだろう!?」
怒るのは当然だ。私は答える。
違うんです。言いたくないのではなくて、先輩は奥様が紹介した会社に転職したいですか?
絶対嫌だと思うんです。プライドやメンツがありますから。
でも、先輩に来て欲しいと言われたならどうでしょうか?すごく嬉しいはずです。
私は夫に自分の意思で、前向きに転職を考えて欲しいんです。

作戦

「なるほど。でもお前はそれでいいの?社長や俺をここまで説得したのに。」

先輩、私の名前は一切出さないでください。
夫にはやりたい仕事を気持ちよくやって欲しいし、私も今の会社で営業を続けたい。そのためには私は黒子じゃないとダメなんです。
結婚してもし子供を授かっても、夫婦両方が長く働いていくために、これが最善だと思っています。

「お前、意外と色々考えてたんだな。よし、じゃあ近いうちにアイツと飲みに行くよ。」

その日の夜、夫は電話で私に、久しぶりに先輩に飲みに誘われたと嬉しそうに言っていた。

つづく…

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まきんこ
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