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私が息子に出逢うまで(2)

進展

妊活開始から半年、幸いにも妊娠することができた。夫は泣いて喜んでくれた。

これでもう「まだか?」と言われることはない。
私は安堵した。

安定期に入ったら職場にも報告するつもりで、翌日から私は営業の合間に担当顧客の引継書を作成し始めた。大好きな人たちばかりだから、人柄に合った人を割り当てて貰うべく、性格など詳細に記載するようにした。

異変

私の仕事は外回りの営業がメインで、日中のほとんどを外で過ごす。それは妊娠後も変わらず続けていた。

ある日、下着に少量の血が付いていた。

(あれ?おしりが切れたかな?)
そう思ってやり過ごしたが、次の日も、その次の日も、少量の出血が続いた。
検診で産婦人科の先生に報告すると、何やら慌てて検査が行われた。

「大丈夫だと思うけど、職場にはすぐに報告して、外出はやめてください。」

そう言われても、仕事上、どうしても外出は避けられない。とりあえず上長に報告して相談してみることにした。

表情

翌日、会議の後に課長から話したいことがあると言われた。私も妊娠の報告をするつもりだったので、タイミングが良かった。

課長の話は後輩の指導方法の相談だった。
方針が決まり、話が一段落したところで、妊娠したことを話した。

課長は毎日のように子供はまだかと言っていたから、喜んでくれるだろうと思い、私は笑顔で話した。

しかし、私の報告を聞いた課長の顔は、いつもの優しい表情ではなく、怒りに満ちたものだった。

つづく…





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