私が息子に出逢うまで(11)
変化
自宅へ戻っても、何も出来ない状態は続いていたが、日中は家でひとり誰にも気を遣わなくて良い状況を満喫していた。仕事もメールで何とか対応し、課長から電話で追い立てられることはなかった。
そんなある日、課長から携帯にメッセージが入った。
"ちょっと話せるか?"
体調がマシになったタイミングで電話を掛けると、課長はすぐに応答した。
「おぅ!体調は大丈夫か?」
それは妊娠を報告する前まで毎日聞いていた、穏やかな課長の声だった。一体どうしたのか気になり、私は聞いた。
-何かありましたか?
「お前、いつ復帰する予定で考えてる?」
-再来週には戻るつもりです。
「無理するな。今月いっぱい休め。俺が対応するから。」
-えっ!?
離脱
私は混乱していた。
1ヶ月半の間、誰にもフォローしてもらえず電話で追い立てられ、歯を食いしばり耐えてきた。一日も早く復帰しようとしていた矢先に「休め。」の一言。
今私が電話で話してるのは本当に課長か?と疑いたくなるほど別人のようだ。
「復帰しようとする気持ちは認めるけど、無理して出てきてしんどくなってまた休むってことになったら困るから。」
-いいんでしょうか?
「うん。大丈夫。気にせず休め。元気になって帰ってこい。」
そこまで言うなら本当に対応してくれるんだろうと思い、甘えることにした。
-分かりました。
「おぅ。でさ、俺、今月で会社辞めるから。」
-えぇっ!?
つづく…
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