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私のダンナが辞めるまで⑧

決戦前夜

役員会当日、私は日帰り出張の予定が入っていたため、前日は資料や手土産の手配に追われ、残業になった。
帰ろうとしたジュニアが私に気付き、肩をポンッとたたいた。
「明日は自分の仕事に集中な。俺も全力で伝えてくるから。わざわざ会社戻ってくるの禁止。OK?」
私はうなづき、ジュニアを見送った。

伸るか反るか

大荷物を抱えて、新幹線に乗り込む。
正直、気が気じゃなかったが、ジュニアを信じて待つしかない。私は私の仕事をしよう。

日中は過密スケジュールで、他の事など考える暇もなく過ぎていき、客先を出たのは18時前だった。
役員会はもちろん終わっている。
ジュニアからも、夫からも連絡はない。
会社に戻ろう。私は新幹線に飛び乗った。

駅を出発した直後、夫から着信があった。
慌ててデッキへ移動し掛け直す。
直ぐに出た夫は泣いていて、話が支離滅裂だった。分かった、帰ってゆっくり聞くよ、と告げて電話を切り、座席に戻った。
結果は見えている。
ただ、何があったのか早く知りたかった。

2時間半の道のりが、半日くらいに感じた。

つづく…


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まきんこ
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