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私のダンナが辞めるまで③

強行手段

その日、自称名探偵は友人の席へやって来て、○○君(夫)の交際相手を本当に知らないかとしつこく聞いた。友人は仕事をしろ!とキツく怒ったらしい。
拗ねた自称名探偵は、会社支給の携帯電話のGPS情報をしらみつぶしに調べ始めた。(私用で使うことは禁じられているのだが…)
そして位置情報から、夫の交際相手が私だと気付いた…!
執念である。

お詫び行脚

私の会社では、直属の上司に一番に結婚報告し、その上司と共に社長、役職者に報告して回る慣習があった。
連休明け、一番に報告するつもりだった役員に会いに行った。私たちが部屋に入ると、何も聞かず「知ってるよ。おめでとう」と役員が言った。「貴女の口から一番に聞きたかったよ」その一言で私は泣いた。「申し訳ありません」以外の言葉は涙で消えていった。
その後役員と共に、「報告遅くなり申し訳ありません。結婚が決まりました」と、めでたいのか、めでたくないのか分からない報告をして回った。

何度も頭を下げながら、私は名探偵野郎にちょっとした仕返しをすると決めた。

明くる日、「今日さぁ、2人で外回りしない?」名探偵野郎が私を誘った。
いいよ、と言って私は笑顔で立ち上がる。

カーン

私の中で、試合開始のゴングが鳴った。

つづく…

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